「段差で足をひねってしまった」
「運動中に足首をグキッとやってしまった」
こうした“足首のケガ”は、日常生活
でもスポーツでも非常によく起こります。
多くの人は
「ただの捻挫だろう」
と思いがちですが、実はその中に
骨折が隠れていることがあります。
痛みが強いのに無理をして歩き続けた結果、治りが悪くなったり
関節が変形して残ったりすることもあるため、軽視は禁物です。
今回は、足首のケガの中でも代表的な
**足関節骨折(そっかんせつこっせつ)**
について、わかりやすく解説します。

まず、足関節(足首)はどの部分を指すのでしょうか。
足関節は、
**すねの骨(脛骨と腓骨)と足の骨(距骨)**
が組み合わさってできています。
すねの骨の両側が「フォーク」のように距骨を包み込み、
関節として曲げ伸ばしや回転を可能にしています。
この構造があるおかげで、
私たちは
立つ・歩く・走る
といった動作をスムーズに行えるのです。
しかしこの関節は、非常に複雑で、
かつ多くの力が集中する場所でもあります。
そのため、
ちょっとしたねじれや転倒でも損傷が起きやすい関節
なのです。
足首をひねったとき、多くの場合は
「外くるぶし(腓骨)」
側に力がかかります。
その結果、足首の外側にある靭帯(前距腓靭帯・踵腓靭帯など)
が伸びたり、一部が切れたりします。
これが一般的に言う
「足関節捻挫(ねんざ)」
です。
軽い捻挫では、靭帯が少し伸びる程度で済みますが、
強い力がかかると、靭帯が切れるだけでなく、
骨まで一緒に引っ張られて折れてしまう
こともあります。
つまり、
「捻挫だと思っていたら実は骨折だった」
ということが少なくないのです。
では、どのように見分ければよいのでしょうか。
実は、見た目や痛みの強さだけでは判断できません。
一般的に、足関節骨折では以下のような特徴があります。
しかし、軽い骨折の場合は、単なる捻挫と区別がつかないことも多いのです。
そのため、レントゲン検査が診断には必須となります。
「歩けるから骨折じゃない」
と自己判断してしまうのは危険です。
痛みや腫れが強い場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

足関節骨折にはいくつかのパターンがありますが、
代表的なものは
「外果骨折(がいかこっせつ)」
と
「内果骨折(ないかこっせつ)」
です。
どの骨が折れているか、どの程度ずれて
いるかによって、治療方法が大きく変わります。
足関節骨折の治療方針を決める上で
最も重要なのは、「骨のズレ(転位)」の程度です。
足首の関節は、骨が正しい位置でかみ合っていることが重要です。
少しでもズレていると、体重をかけたときに関節に不均等な力がかかり、
軟骨がすり減ってしまうおそれがあります。
医学的には、骨のズレが骨の幅の1/3を超える場合には、
自然に治ることが難しいため、「手術による整復固定」が必要になります。
一方、ズレが1/3未満であれば、ギプスで固定して
自然に骨がくっつくのを待つ「保存療法」が選ばれます。
ズレの少ない骨折では、
ギプスやシーネ(副木)で4〜6週間固定します。
この間は、
**免荷(めんか)**
といって、折れた部分に体重をかけないようにします。
松葉杖を使って歩行することが多く、医師の許可が
出るまで患部を地面につけてはいけません。
固定期間が終わったあとは、徐々にリハビリを行い、
関節の可動域や筋力を取り戻していきます。
リハビリでは、足首を動かすストレッチや、
ふくらはぎの筋肉を鍛える運動を行います。
これは、再発防止や腫れの軽減にも役立ちます。
骨のズレが大きい場合や、関節面が
ずれてしまっている場合には、
手術によって骨を正しい位置に戻し、
金属のプレートやスクリューで固定
します。
手術後は、一定期間ギプスや装具をつけて
安静にし、その後はリハビリへと進みます。
手術で固定した金属は、症状が落ち着けば
半年〜1年後に除去することもあります。
手術と聞くと不安に感じる方も多いですが、
関節のズレを正確に治すことができれば、
将来的な関節痛や変形を防ぐことができます。

一般的に、足関節骨折の
骨の癒合(くっつき)は約6〜8週間
かかります。
ただし、筋力やバランスの回復にはさらに時間が必要です。
完全な回復には個人差がありますが、焦らずに
段階を踏んでリハビリを行うことが大切です。
「歩けるから大丈夫」と放置してしまうと、
骨がずれたままくっつき、
変形性関節症
を起こすことがあります。
その結果、関節の動きが悪くなったり、
慢性的な痛みが残ったりすることも。
特に中高年の方では、骨がもろくなっているため、
軽い捻挫でも骨折を伴っている可能性があります。
「ただの捻挫」と自己判断せず、少しでも腫れや痛みが強い場合は、
早めに整形外科でレントゲンを撮ることが何よりの予防策です。
足関節は、体を支える重要な関節です。
一度ケガをすると、痛みだけでなく、日常生活や仕事、
スポーツに大きな影響を及ぼすこともあります。
たとえ軽いケガでも、「痛み」「腫れ」「内出血」が強い場合は、
必ず専門医に相談し、正しい診断を受けましょう。
早期の適切な治療が、その後の生活の質を大きく左右します。
足首を守るために、正しい知識と慎重な対応を心がけましょう。