【危険】子どもの頃の抗生剤で「がん」が・・・抗生物質、腸内環境、そして、遺伝子が若年性の大腸がんリスクに及ぼす影響についての最新研究

私たちの生活の中で、抗生剤(抗生物質)は感染症の治療に欠かせない薬です。とくに子どものころ、風邪をこじらせたときや中耳炎になったときなど、抗生剤を処方された経験がある方は多いのではないでしょうか。

しかし近年、医学研究の進展により、幼少期に抗生剤を長期間、または繰り返し使用することが、その後のがんリスクと関係している可能性が示され始めています。とくに注目されているのが、若年性の大腸がんとの関連です。

日本を含む多くの国では高齢化に伴ってがん患者が増加していますが、同時に、若い世代で大腸がんが増えるという新しい問題も浮上してきました。本記事では、抗生剤、腸内環境、そして遺伝子が若年性大腸がんとどのように関係するか、最新の研究をもとにわかりやすくご紹介します。

若い世代で大腸がんが増加している?

若い世代で大腸がんが増加している?

大腸がんといえば、従来は中高年に多い病気という印象が強いかもしれません。しかし、ここ数年で状況は変わりつつあります。

アメリカの研究によると、

  • 55歳以下で大腸がんと診断される人の割合
    1995年:11% → 2019年:20%へ増加

つまり、20年以上で割合がほぼ倍になったことになります。この傾向はアメリカだけでなく、他の欧米諸国でも報告されており、国際的な医学的課題となっています。

では、若い人に大腸がんが増えている原因は何なのでしょうか。

若年性大腸がんの要因 ― 食生活と腸内環境に注目

これまでの研究から、以下の要因が関係すると考えられています。

要因説明
食生活西洋型食事、超加工食品の摂取増加
生活習慣運動不足、肥満、ストレス
遺伝一部に遺伝的要因はあるが多くは非遺伝性
腸内細菌の乱れ腸内環境の悪化が免疫や代謝に影響

この中で近年とくに注目されているのが、腸内細菌(腸内フローラ)の乱れです。そして、その腸内環境に大きく影響するもののひとつが抗生剤なのです。

抗生剤使用と大腸がんリスクの関係 ― 最新研究①

まず紹介するのは、英国の研究(British Journal of Cancer誌)です。

研究概要

  • スコットランドの医療データ
  • 大腸がん患者:約7,900名
  • 健康な対照群:約30,000名
  • 過去の抗生剤処方歴を調査

結果

  • 抗生剤を使用した人は結腸がんリスクが上昇
  • 特に50歳未満で結腸がんリスクが約50%増加
  • 直腸がんとは関連なし

つまり、抗生剤の使用が若年性結腸がんのリスクと強く関係していたのです。

子ども時代の抗生剤とリスク ― 最新研究②

次に紹介するのは、UKバイオバンクを用いた研究(International Journal of Cancer誌)です。

研究概要

  • 対象:17万人以上
  • 子ども・青年期に長期、または年3回以上の抗生剤使用を調査
  • 遺伝子(FUT2遺伝子型)との関連も解析

結果

条件大腸がんリスク
子ども期に長期 or 年3回以上抗生剤48%増加
前がん病変(腺腫)40%増加
FUT2 TT型(腸内細菌バランスに影響)75%増加

つまり、幼少期に繰り返し抗生剤を使うと、将来若くして大腸がんになる可能性が高まる可能性が示されました。

なぜ抗生剤でがんリスクが上がるのか?

抗生剤は感染症を治療する非常に重要な薬です。しかし同時に、善玉菌を含む腸内細菌全体に影響を与えてしまいます。

その結果…

  • 腸内細菌バランスが乱れる(腸内細菌叢の破壊)
  • 免疫機能の調整がうまく働かなくなる
  • 炎症が起こりやすくなる
  • 有害物質の代謝が増える
  • 発がん性のある細菌が増殖しやすくなる

特に幼少期は、腸内環境と免疫システムが発達する重要な時期です。その時期に抗生剤の影響を強く受けると、将来の健康に長期的な影響を及ぼす可能性があります。

大切なのは「必要なときに正しく使う」こと

大切なのは「必要なときに正しく使う」こと

ここで大切なのは、
抗生剤は危険だから使わない方が良い、ということではありません。

細菌感染症の治療には抗生剤は欠かせず、命を救う薬です。しかし近年、特に子どもに対して風邪などウイルス感染で不要な抗生剤が処方されるケースが問題になっています。

抗生剤は細菌に効き、ウイルスには効きません。風邪ウイルスに対しては不要なのです。

子どもの健康を守るために今できること

行動内容
❶ 抗生剤を求めすぎない風邪で自動的に抗生剤を希望しない
❷ 医師に相談「本当に必要ですか?」と確認
❸ 腸内環境を守る生活食物繊維・発酵食品をとる
❹ 運動・睡眠免疫を強くし腸を守る
❺ 乳幼児期の腸ケア離乳食や腸に良い食習慣の確立

とくに「疑問に思ったら質問する」という姿勢がとても大切です。

まとめ ― 子どもの腸を守り、未来の健康を守る

まとめ ― 子どもの腸を守り、未来の健康を守る

今回ご紹介した研究から、
幼少期の抗生剤使用は将来の大腸がんリスクを高める可能性がある
という重要な知見が得られています。

  • 大腸がんは若者にも増えている
  • 腸内環境の乱れが鍵
  • 抗生剤は必要な場面で正しく使う
  • 子ども期の腸ケアが将来の健康につながる

抗生剤は必要な薬です。しかし、「念のため」という理由で安易に使うべきではありません。

健康な腸を守ることは、がんだけでなく、免疫・代謝・心の健康にもつながります。
ぜひ、ご家庭での医療判断や日々の生活に、今回の知識を生かしていただければ幸いです。