免疫が「がん」に負ける人の特徴5つ:がん専門医が経験と研究調査から導き出した「がんに対する免疫力低下」をきたす状態とは?

免疫が「がん」に負ける人の特徴5つ:がん専門医が経験と研究調査から導き出した「がんに対する免疫力低下」をきたす状態とは?

免疫ががんに負ける人の特徴5つ

今回は、「免疫ががんに負けてしまう人にはどんな特徴があるのか?」というお話をしていきます。

はじめに:免疫はがんと戦っている

はじめに:免疫はがんと戦っている

「免疫」という言葉を聞くと、風邪や感染症を防ぐ力を思い浮かべる方が多いかもしれません。
けれども実は、免疫は細菌やウイルスだけでなく、がんと戦ううえでもとても大切な役割を担っています。

私たちの体の中では、毎日のように少しずつ“がん細胞の芽”が生まれています。
けれども、健康な免疫がそれを「異物」として見つけ出し、やっつけてくれているのです。
つまり、体の中では常に「がん細胞」と「免疫の力」との静かな戦いが続いているというわけです。

この免疫がしっかり働いていれば、そもそもがんになりにくくなりますし、たとえがんができても進行をゆるやかにしたり、治療の効果を高めたりすることがわかっています。
しかし反対に、免疫の力が弱まってしまうと、がんの勢いが一気に強まり、治療が効きにくくなることがあります。

そこで今回は、私がこれまで多くのがん患者さんを診てきた経験や、国内外の研究からわかってきた、免疫ががんに負けてしまう人の特徴5つを紹介します。

特徴① 筋肉が減っている

まず1つ目は、筋肉が減っている人です。

筋肉は、単に体を動かすためだけでなく、免疫を保つためにも大切な組織です。
筋肉が減ると、免疫の“攻撃力”が弱まり、がんと戦う力も落ちてしまいます。

特に、筋肉の量が大きく減って体力や動く力が落ちた状態を「サルコペニア」と呼びます。
この状態になると、免疫細胞の中でもがん細胞を攻撃する中心的な役割を持つ“T細胞”が減ったり、がんのある部分に集まる免疫細胞が少なくなったりすることがわかっています。
その結果、筋肉量が少ない人ほど生存期間が短くなる傾向があると報告されています。

逆に言えば、筋肉を保つことが免疫を守ることにつながるのです。
ウォーキングなどの軽い運動に加え、少しずつ筋肉を刺激するような運動(筋トレなど)を続けることで、体の免疫力を支えることができます。

特徴② 肥満

特徴② 肥満

2つ目は、太りすぎ(肥満)です。

一見すると、太っている人は「栄養の蓄えがあって元気そう」と思われがちですが、実は肥満も免疫の働きを弱めることがわかっています。

最新の研究では、肥満の人では免疫の主役であるT細胞の働きが鈍くなり、がんが進行しやすくなる傾向が見られました。
また、がん治療の中には「免疫のブレーキを外す薬(免疫療法)」がありますが、肥満の人ではこの治療の効果が出にくくなることも報告されています。

さらに、肥満の人では“NK細胞”という、がん細胞を直接攻撃する免疫細胞の数が減り、その力も弱まることがわかっています。
つまり、太りすぎると免疫が働きにくくなり、がんにも不利になるということです。

健康的な体重を保つためには、バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、体重が大きく増えすぎないように注意することが大切です。

特徴③ 栄養状態が悪い

特徴③ 栄養状態が悪い

3つ目は、栄養状態が悪い人です。

これはイメージしやすいと思いますが、栄養が足りない状態になると、免疫の力が落ちて風邪をひきやすくなったり、病気にかかりやすくなったりします。
がんと戦ううえでも同じで、栄養が足りないと免疫がうまく働かず、治療にも悪影響を及ぼします。

血液検査の指標のひとつに「アルブミン」というたんぱく質がありますが、この数値が低い人ほどがんの進行が早く、亡くなるリスクが高いことがわかっています。

がんになると、食欲が落ちたり、体の代謝が変化したりして、どうしても栄養状態が悪くなりやすいです。
しかし、免疫を守るためにも「食べる工夫」をして栄養を保つことが重要です。
たんぱく質(肉・魚・豆腐・卵など)をしっかり摂り、必要であれば栄養補助食品なども上手に活用しましょう。

特徴④ 腸内環境が悪い

4つ目は、腸内環境の悪化です。

腸には「第二の脳」と呼ばれるほど多くの神経や免疫細胞が集まっています。
そして、腸の中にいる無数の“腸内細菌”は、免疫の働きに大きく関わっています。

最近の研究では、腸内細菌の“バランス”や“多様性(いろいろな種類の菌がいること)”が整っている人ほど、がんに対する免疫が強く働くことが分かってきました。
逆に、腸内環境が乱れている人は、免疫療法が効きにくいという結果も出ています。

実際に、がんの治療中に腸内細菌の状態を改善させたところ、薬の効果が高まったという報告もあります。
それほど、腸の健康と免疫は深くつながっているのです。

腸内環境を整えるためには、発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)を食べること、食物繊維やオリゴ糖を多く含む食品(野菜・果物・海藻など)を意識して摂ることが効果的です。
これらを毎日の食事に少しずつ取り入れていきましょう。

特徴⑤ ビタミンDが不足している

特徴⑤ ビタミンDが不足している

最後の5つ目は、ビタミンDの不足です。

ビタミンDは、日光を浴びることで体内でも作られますが、食事からも摂ることができます。
ところが最近の調査で、日本人の約98%がビタミンD不足だといわれています。

ビタミンDは、免疫を活性化して外敵と戦う力を強める作用があります。
そのため、不足するとがんになりやすくなったり、治療の効果が出にくくなったりすることがわかっています。

実際に、血液中のビタミンDの量が少ない人では、がんの再発率が高く、生存期間が短いという研究結果もあります。
最近では、ビタミンDを補うことで治療の効果が上がるかどうかを調べる臨床試験も行われており、中には「効果が高まった」という報告も出ています。

ビタミンDは、魚(サケ・サンマ・イワシなど)や卵、きのこ類に多く含まれています。
また、日中に10〜15分ほど日光を浴びるだけでも、体内で作られる量が増えます。
無理のない範囲で、食事と日光の両方からビタミンDを取り入れる習慣をつけていきましょう。

まとめ:免疫を守る生活を

今回は、免疫ががんに負けてしまう人の特徴として、

  1. 筋肉が減っている
  2. 太りすぎ(肥満)
  3. 栄養状態が悪い
  4. 腸内環境が悪い
  5. ビタミンDが不足している

という5つを紹介しました。

もちろん、これらはあくまで一般的な傾向であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
けれども、どれも生活の中で意識して改善できる部分です。

日々の運動で筋肉を保ち、食事のバランスを整え、腸内環境をよくし、体に必要な栄養をしっかり摂る。
そんな一つひとつの積み重ねが、免疫力を守り、がんと向き合う力を高めることにつながります。