がん死亡率が4.5倍に上昇!身近にせまる「フレイル」とは?対策は〇〇を食べることだった!

がんの死亡率が4.5倍に?「フレイル」とは何か

今回は、がんの死亡率を大きく高める可能性がある「ある状態」についてのお話です。
それは「フレイル」と呼ばれるものです。最近ではテレビや雑誌などでも耳にする機会が増えましたが、まだ「詳しくは知らない」という方も多いかもしれません。

フレイルとは、英語の “frailty(フレイルティ)” という言葉からきており、直訳すると「虚弱」や「弱っている状態」という意味です。つまり、筋肉の力や体の機能、活動量が少しずつ落ちてきて、全体的に体が弱くなっている状態のことを指します。

年を重ねると、どうしても体のあちこちの機能が少しずつ低下していきますが、フレイルは「まだ健康」と言い切れないけれど「要介護」でもない、その中間の段階にあたるといわれています。
つまり、「放っておくと寝たきりや要介護になってしまうかもしれない」というサインでもあるのです。

フレイルのチェックポイント

フレイルのチェックポイント

では、自分や家族がフレイルに当てはまるかどうかは、どのように判断できるのでしょうか。
実はフレイルには、簡単な目安となる5つのチェック項目があります。

  1. 半年のあいだに2キロ以上体重が減った
  2. 握力が弱くなっている(男性で28kg未満、女性で18kg未満が目安)
  3. なんとなく疲れやすくなったと感じる
  4. 歩く速度が遅くなってきた
  5. 週に1回も運動や体操をしていない

このうち3つ以上が当てはまる場合、フレイルの可能性があるとされています。
もちろん、正確な診断は医師などの専門家による評価が必要ですが、まずは自分自身で「最近少し動くのがしんどい」「筋力が落ちた気がする」と感じたときは注意が必要です。

フレイルを放置するとどうなる?

フレイルの状態をそのままにしておくと、体の回復力や抵抗力が低下し、ちょっとした風邪やけががきっかけで寝込んでしまったり、思うように治療が進まなかったりすることがあります。
また、病気になったときに回復が遅くなる傾向があり、結果的に寿命が短くなるという報告もあります。

特に最近の研究では、「がんとフレイル」には深い関係があることが分かってきています。
つまり、フレイルの状態があると、がんの治療の効果が出にくくなったり、治療に耐えられなくなったりして、生存期間が短くなる可能性があるのです。

最新の研究でわかったこと

2024年2月に発表された「Frontiers in Oncology」という国際的な学術誌に、フレイルと大腸がんの関係についての報告が掲載されました。
これは、過去に行われた15件の研究(世界中の4万5千人以上の大腸がん患者さんを対象)をまとめて解析したものです。

その結果、患者さんのおよそ15%がフレイルの状態にありました。
そして、フレイルがある人とない人を比べると、フレイルがある人では大腸がんによる死亡率が約4.5倍も高く、すべての原因による死亡率も2倍以上になっていたのです。

これは大腸がんだけでなく、ほかの種類のがんについても同じような傾向が報告されています。
つまり、がんの治療においては「病気の進行度」だけでなく、「体の元気さ(フレイルの有無)」が大きく関係しているということです。

フレイルになっても、あきらめる必要はない

では、「もしフレイルの状態になってしまったら、もう改善できないのか?」
そう思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

フレイルは、生活習慣を整えることで回復したり、悪化を防いだりできるといわれています。
その中でも、最近注目されているのが「食事」、特に「肉の摂り方」です。

肉を食べると長生きできる?

肉を食べると長生きできる?

2024年2月、「The Journal of Nutrition, Health and Aging」という雑誌に、興味深い研究結果が発表されました。
イギリスで行われたこの研究では、40~69歳の中高年でフレイルに当てはまる約2万人を対象に、食事内容をアンケート調査。
特に「肉の種類」や「どのくらい食べているか」と、その後の寿命との関係を調べました。

その結果、次のようなことが分かりました。

  • 鶏肉(とりにく)を多く食べている人ほど、死亡リスクが低かった。
    鶏肉の摂取量が1日25グラム増えるごとに、がんによる死亡リスクが16%減少し、すべての死因による死亡リスクも約20%低下していました。
  • 牛肉や豚肉は、週に1~2回ほど食べるのが理想的。
    週に1~2回食べているグループでは、まったく食べない人よりも死亡リスクが14%低くなっていましたが、週に2回を超えると効果は見られませんでした。
  • 加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージなど)は逆効果。
    摂取量が多い人では、かえって死亡リスクが20%高くなっていました。

鶏肉中心の食生活がカギ

この結果から分かるのは、フレイルのある人にとって「鶏肉」がとても良い選択肢であるということです。
鶏肉は脂肪が少なく、良質なたんぱく質が豊富に含まれています。消化もしやすいため、体力が落ちている方にも向いています。

もちろん、「たくさん食べれば良い」というわけではなく、無理のない範囲でバランスよく摂ることが大切です。
一方で、牛肉や豚肉も週に1~2回くらいなら問題ありません。食べすぎず「ほどほど」に楽しむのがポイントです。

高齢者こそ「肉を食べよう」

よく「年をとったら肉を控えたほうがいい」と思っている方も多いですが、最近の研究ではむしろ逆で、「高齢者こそ肉を食べたほうがいい」といわれています。
特にフレイルの人は、筋肉を作るための材料であるたんぱく質が不足しがちです。
ですから、毎日の食事の中で、鶏肉や魚、大豆製品などをしっかり取り入れることがとても大切です。

まとめ

まとめ

フレイルとは、年齢とともに体の力や機能が少しずつ衰えていく状態のこと。
放っておくと要介護になったり、病気の回復が遅れたりすることがあります。

特にがんの患者さんでは、フレイルの有無が治療成績や寿命に大きく関係しており、ある研究では死亡率が4.5倍にも上がることが報告されています。

しかし、希望はあります。
食生活を見直し、特に「鶏肉を中心とした食事」を意識することで、フレイルの悪化を防ぎ、健康寿命をのばす可能性があるのです。

「体が弱ってきたな」と感じたら、それは体からの大切なサイン。
無理をせず、栄養のある食事をとり、軽い運動を続けること。
この小さな積み重ねが、がんをはじめとする病気に負けない「強い体づくり」につながっていきます。