胆石・胆嚢炎治療のPTGBD 合併症や看護について解説

 PTGBD(経皮経肝胆嚢ドレナージ)は、胆嚢に炎症が生じる急性胆嚢炎や閉塞性黄疸の治療に用いられる方法です。特に急性胆嚢炎に対して頻繁に実施される治療で、胆嚢に溜まった胆汁を排出することで感染症を抑え、重篤な状態を防ぎます。

 この記事では、急性胆嚢炎の概要とPTGBDの詳細、治療の流れ、合併症、そして看護のポイントについて詳しく解説します。


急性胆嚢炎とは?基本を理解しよう

胆嚢の役割

 胆嚢は肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にある袋状の臓器で、肝臓から分泌される胆汁を貯蔵・濃縮する役割を担っています。胆汁は脂肪の分解や吸収を助ける重要な消化液です。


急性胆嚢炎の発症メカニズム

急性胆嚢炎は、以下のプロセスで発症します:

  1. 胆石による閉塞
    胆石が胆嚢管を塞ぎ、胆汁の流れが途絶える。
  2. 胆嚢内の胆汁が細菌感染
    胆汁が溜まり続けることで細菌が増殖し、炎症を引き起こします。
  3. 症状の発現
    o 右上腹部痛(Murphy徴候)
    o 発熱
    o 嘔吐
    ※急性胆嚢炎では黄疸が出るケースはまれで、総胆管の閉塞がなければ発症しません。

重症化のリスク

放置すると、以下のような重篤な合併症が生じる可能性があります:
 • 胆嚢破裂
 • 胆汁性腹膜炎
 • 敗血症
重症化を防ぐためには迅速な診断と治療が必要です。


急性胆嚢炎の治療方法

急性胆嚢炎の治療には、内科的治療と外科的治療があります。

  1. 内科的治療
    • 抗生剤の投与:細菌感染を抑える。
    • 輸液・絶食:炎症を抑えるため、胆嚢を休ませる。
  2. 外科的治療
    • 胆嚢摘出術:胆嚢を取り除き、再発を防ぎます。
    発症から72時間以内、遅くとも1週間以内の手術が推奨されます。

手術ができない場合の対策:PTGBD

 手術が難しい場合や手術まで時間が必要な場合には、PTGBDが行われます。胆嚢内の胆汁を排出して感染症をコントロールし、胆嚢への負担を軽減します。


PTGBDの詳細と方法

PTGBDとは?

経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)は、皮膚を通して肝臓を経由し胆嚢内にドレーン(管)を挿入し、胆汁を体外へ排出する治療法です。

挿入方法

  1. 挿入経路
    o 通常は右脇腹から肝臓を経由して胆嚢に針を刺します。
    o ごくまれにみぞおちから挿入する場合もあります。
  2. 肝臓を経由する理由
    o 直接胆嚢に針を刺すと胆汁が腹腔内に漏れる危険があるため、肝臓を経由して胆汁が安全に排出できるようにします。

PTGBDの合併症とリスク

  1. 手技中のリスク
    • 穿刺時の痛みと迷走神経反射
     o 血圧低下や徐脈が発生する可能性があります。
    • 菌血症
     o 細菌が血液中に入り込み発熱などの症状を引き起こす場合があります。
    • 気胸
     o 肺を傷つけることで発症する可能性があります。
  1. 術直後のリスク
    • 肝臓内・腹腔内出血
     o ドレーン挿入に伴う損傷で出血することがあります。
    • 胆汁性腹膜炎
     o 胆汁が漏れ出ることで腹腔内に炎症が広がります。
  1. 術後数日のリスク
    • ドレーン閉塞
     o 胆汁や膿が詰まることで排液が途絶える場合があります。
    • 排液過多による脱水や電解質異常
     o 胆汁の排出量が過剰になると、体液バランスが崩れる可能性があります。

看護師が行うべき観察とケア

PTGBD後の患者さんの管理では、看護師が果たす役割が重要です。

1.排液の観察

排液の状態や量を観察することで、胆嚢やドレーンの状態を把握します。
 • 正常な排液:透明な黄色から茶色の液体。
 • 異常な排液:緑色や膿性の場合、細菌感染や胆嚢管の閉塞が疑われます。
 • 排液量の目安:通常、1日あたり約400ml前後。減少してきた場合は炎症が改善している兆候です。

2.ドレーンの固定確認

ドレーンがずれると、胆汁が腹腔内に漏れてしまうリスクが高まります。
 • 固定のチェック:テープの状態を定期的に確認。
 • 安静の確保:挿入後4時間~翌日まではベッド上安静を指示します。

3.合併症の早期発見

患者さんの体調変化に敏感になることが必要です。
 • 発熱や痛み:菌血症や胆汁性腹膜炎の兆候。
 • 皮膚の硬さや腫れ:胆汁漏れの可能性。
 • 血圧低下や意識混濁:出血やショック症状の兆候。

4.ドレーン抜去前のケア

ドレーンは、胆嚢摘出後や挿入後約2週間経過してから抜去が検討されます。抜去前には以下を確認します。
 • 排液量の減少:1日0~50ml程度まで減少していること。
 • クランプ試験:一時的にドレーンを閉鎖し、症状が再発しないか確認。
 • 患者さんの訴え:右上腹部痛や発熱の有無を細かく確認します。


まとめ

 PTGBDは、急性胆嚢炎や閉塞性黄疸の治療として重要な役割を果たしますが、その効果を最大限に発揮するためには術後の適切な管理が不可欠です。

ポイントの整理

  1. PTGBDの目的は、胆嚢内の胆汁を排出し感染症を抑えること。
  2. 合併症リスクには、出血、胆汁漏れ、ドレーン閉塞などがある。
  3. 看護師の役割は、排液の観察、ドレーンの固定確認、合併症の早期発見が中心。

患者さんの早期回復をサポートするため、看護師は正確で迅速な対応を心がけましょう。

PTGBD管理のポイントをしっかり押さえ、安全な治療を支えていきましょう。