【日本は大丈夫?】中国で「肝臓がん」が多い原因が判明!おそろしい食品中のカビ毒(アフラトキシン)の関与

中国で「肝臓がん」が多い原因が明らかに

―最新の国際共同研究が示す“食とウイルス”の関係―

肝臓がんは、世界的にも重大な健康問題の一つです。肝臓に発生する悪性腫瘍の多くは「肝細胞がん」と呼ばれるもので、日本でも長年、がん死亡原因の上位を占めてきました。
しかし近年、日本では肝臓がんの発症率や死亡率が少しずつ減少しています。一方で、中国ではいまだに肝臓がんによる死亡者が非常に多く、その原因が長年の課題となっていました。

そして2024年2月、国際的な研究グループによる大規模な解析の結果、中国における肝臓がんの背景には「食べ物に含まれるカビ毒」や「一部の生薬成分」によるDNA損傷が関係している可能性が高いことが明らかになりました。今回は、その最新の研究結果と、日本との違いについて詳しく見ていきましょう。

日本における肝臓がんの主な原因

日本における肝臓がんの主な原因

まず、日本の肝臓がんの原因を整理しておきましょう。
日本で最も多いのは、C型肝炎ウイルス(HCV)感染によるもので、全体の60~80%を占めるとされています。続いて、B型肝炎ウイルス(HBV)感染が主な原因です。
それ以外には、アルコール性肝炎や、近年増加傾向にある非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ)なども原因として挙げられます。NASHは、お酒をあまり飲まない人でも脂肪肝から発症することがあり、生活習慣病の一環として注目されています。

これらの背景から、日本の肝臓がんの多くは「ウイルス感染」が主な原因であることが特徴です。
しかし、C型肝炎に対しては、ここ数年で非常に効果の高い新薬(DAA治療)が登場し、感染者が減少。さらにB型肝炎についても予防接種や抗ウイルス療法が進み、日本では肝臓がんの罹患率・死亡率ともに年々減少傾向を示しています。

一方で、中国ではなぜ肝臓がんが多いのか

一方、中国では状況が大きく異なります。
やや古い統計になりますが、世界の肝臓がん患者の約半数が中国人といわれており、アジア諸国の中でも突出して多いのが現状です。

日本では早期発見・早期治療が進んでいるのに対し、中国では進行した状態で見つかるケースが多く、結果として死亡率が高いことも問題となっています。

これまで「中国ではB型肝炎の感染率が高いことが原因」と考えられてきましたが、近年の研究で、それだけでは説明できない要因があることがわかってきました。

最新研究で明らかになった“もう一つの原因”

2024年2月14日に、世界的な科学誌『Nature(ネイチャー)』に掲載された国際共同研究では、中国の約500人の肝細胞がん患者の腫瘍組織を対象に、全ゲノム解析(DNAのすべての塩基配列を調べる手法)が行われました。
研究チームは、がんに特徴的な遺伝子変異のパターンを明らかにし、日本人のデータと詳細に比較しています。

その結果、中国人の肝臓がんには、がんの発生に関わるTP53遺伝子などのドライバー変異に加えて、特定の化学物質に曝露された際にみられる特徴的な遺伝子変異パターンが検出されました。

その化学物質とは――

  • 食品中のカビ毒「アフラトキシン」
  • 一部の生薬に含まれる「アリストロキア酸」

の2つです。

アフラトキシンとアリストロキア酸とは?

アフラトキシンとアリストロキア酸とは?

●アフラトキシン(Aflatoxin)

アフラトキシンは、カビの一種(Aspergillus flavusなど)が穀物やナッツ類に繁殖した際に産生する極めて強い発がん性物質です。
特に高温多湿な環境で発生しやすく、長期間保存された落花生・ナッツ類・とうもろこし・香辛料・乾燥果実などで汚染が起こることがあります。

厚生労働省の調査でも、アフラトキシンによる汚染が見つかる輸入食品の上位には、
1位:落花生
2位:ナッツ類
3位:香辛料、乾燥イチジク、とうもろこし
などが挙げられています。

とくに中国産の落花生では、これまでにも基準値を超えるアフラトキシンが検出され、5万袋以上の回収命令が出た(2017年)というニュースも報じられました。

今回の研究でも、中国人の肝細胞がん患者のうち約10%に、アフラトキシンによるDNA変異パターン(CがAに置き換わる)が確認されました。

●アリストロキア酸(Aristolochic acid)

もう一つの要因であるアリストロキア酸は、「ウマノスズクサ科」の植物に含まれる化学物質で、中国では古くから生薬として用いられてきました。
しかし、この成分には腎障害や発がん性があることが知られており、日本ではすでにアリストロキア酸を含む漢方薬・生薬の製造・輸入は禁止されています。

今回の解析では、中国の肝細胞がん患者の約18%に、アリストロキア酸による特有の変異パターン(TがAに置き換わる)が確認されています。

日本と中国の比較で見えた違い

同じ研究で、日本人の肝臓がん患者のデータと比較したところ、

  • B型肝炎感染者の割合:日本では約30%、中国では94.5%
  • アフラトキシンやアリストロキア酸による変異:日本ではほとんど検出されず

という大きな差がありました。

つまり、中国の肝臓がんの多くは、B型肝炎ウイルス感染+食や生薬由来の化学物質曝露という、複合的な要因が関与している可能性が示されたのです。

食の安全とこれからの課題

食の安全とこれからの課題

この結果から、中国で消費されている食品の中には、アフラトキシンに汚染されたものが含まれている可能性が指摘されています。
また、保存・輸送の過程でカビが発生しやすい環境が整っていることも、リスクを高める要因と考えられます。

一方で、日本では食品衛生管理体制が整備されており、アフラトキシンが検出されるケースは極めて稀です。輸入食品についても厳しい検査が行われており、日本国内の食品に関しては比較的安全といえるでしょう。

とはいえ、海外産のナッツや香辛料を購入する際には、

  • 信頼できるメーカーや輸入業者を選ぶ
  • 長期間の保存を避ける
  • 湿気を避けて保管する
    といった基本的な対策を心がけることが大切です。

まとめ

今回の研究によって、中国で肝臓がんが多い背景には、

  • 高いB型肝炎感染率
  • 食品中のアフラトキシン
  • 生薬由来のアリストロキア酸

といった複合的なリスク要因が存在することが明らかになりました。

日本ではこれらの要因の多くがすでに管理・規制されており、肝臓がんの発症率も減少傾向にあります。しかし、世界的に見ると、依然として感染症対策や食品安全の課題は残されています。

私たち一人ひとりが、食の安全に関心を持ち、正しい知識をもって日々の生活を送ることが、将来の健康を守る第一歩になるでしょう。