今回は、「老化を進める」「がんの原因にもなる」といわれている“AGE”についてのお話です。
AGEとは「エージーイー」と読み、英語の Advanced Glycation End Products の略です。日本語では「終末糖化産物(しゅうまつとうかさんぶつ)」と呼ばれます。少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するにたんぱく質に糖がくっついて劣化したもののことを指します。

私たちの体の中では、食べたご飯やお菓子に含まれる「糖」がエネルギー源として使われています。ところが、糖が多すぎると、体の中で余った糖がたんぱく質とくっついてしまいます。
これを「糖化(とうか)」と呼びます。糖化が進むと、たんぱく質が変形・劣化して、元の働きを失ってしまいます。その“なれの果て”のようなものがAGEです。
血糖値が高い状態が続くと、体の中でAGEがどんどん作られていきます。さらに、食事からもAGEを取り入れてしまうことがあります。つまり、AGEを多く含む食べ物を食べると、その一部が体に吸収され、蓄積していくのです。
AGEは非常に“ベタベタ”した性質をもっています。体にたまると、血管の壁などにくっつきやすく、細い血管を詰まらせたり、慢性的な炎症を引き起こしたりします。
その結果、動脈硬化や肌の老化を早めたり、生活習慣病やがんの原因になることがわかってきています。
では、AGEはどんな病気と関係があるのでしょうか?
これまでに発表された研究をいくつか紹介します。
まず、2015年にヨーロッパで行われた大規模な研究があります。
1000人以上の大腸がんの患者さんと、がんのない人たちを比較したところ、血液中のAGEが高い人は直腸がんになるリスクが約2倍も高いという結果が出ました。
次に、2020年にアメリカで行われた研究では、AGEを多く含む食品をよく食べていた女性は乳がんの発症リスクが30%高かったという報告があります。
また、日本人を対象にした研究でも興味深い結果が出ています。
3万人以上の日本人を10年以上追跡した調査では、AGEを多く摂っていた男性は肝臓がんのリスクが2倍以上になっていました。
このように、AGEが体の中に多い人、またはAGEを多く含む食事をとる人は、さまざまながんのリスクが高まることがわかってきています。

AGEは食材そのものに含まれている量もありますが、実は調理の仕方によって大きく変わります。
ポイントは「高温で長時間加熱するとAGEが増える」ということです。
たとえば、
という順になります。
つまり、焼いたり揚げたりした料理ほどAGEが増えるのです。
AGE研究の第一人者である昭和大学の山岸昌一先生によるデータブックから、特にAGEが多い料理をいくつか紹介します。
海外のデータでも、ベーコンやチキンナゲットなどの加工肉やファストフードはAGEが多いことがわかっています。
こうした食べものは、できるだけ控えめにしたほうがよいでしょう。
一方で、AGEが少ない食べものもたくさんあります。
また、スープ類もAGEが少なめです。たとえば野菜スープはわずか52 exAGEしかありません。
こうして見ると、洋食よりも和食のほうがAGEが少ない傾向にあることがわかります。
AGEをためないためには、次のような工夫が役立ちます。
これだけでも、体に入るAGEをかなり減らすことができます。

AGEは、私たちの体の中で少しずつたまっていく“老化物質”のような存在です。
血糖値が高い状態が続いたり、AGEを多く含む食事をとり続けたりすると、体の中に蓄積して老化を早め、がんや生活習慣病のリスクを高めます。
しかし、日々の食生活を少し見直すだけで、AGEを減らすことはできます。
生野菜を多くとる、煮る・蒸す料理を選ぶ、焦がさないように調理する――そんな小さな積み重ねが、結果的に体を若々しく保ち、健康を守ることにつながります。
「食べ方」が未来の自分をつくります。
AGEを意識して、今日から少しずつ、体にやさしい食事に変えてみませんか?