オーガニック(有機)食品でがんのリスクは減るのか?研究によると・・

オーガニック(有機)食品でがんのリスクは減るのか?研究によると・・

オーガニック食品でがんのリスクは減るのか?

オーガニック食品でがんのリスクは減るのか?

〜「体にいい」と言われる理由と本当のところ〜

みなさんは「オーガニック食品」と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか。
「体に良さそう」「農薬を使っていないから安全そう」──そんな印象を持つ方が多いと思います。
実際、健康を意識して、オーガニック食品を選んでいる方も少なくありません。

では、そんなオーガニック食品はがんの予防にも効果があるのでしょうか。
今回は、これまで行われてきた大規模な調査をもとに、「オーガニック食品とがんの関係」についてわかりやすくお話しします。

オーガニック食品とは?

まず「オーガニック」とは、化学的に作られた肥料や農薬を使わず、自然の力を生かして作られた農産物や加工食品のことを指します。
日本では「有機JAS認定」という制度があり、この認定を受けていないと、商品名に「有機」や「オーガニック」と表示することはできません。
つまり、「有機JASマーク」が付いているものが、本物のオーガニック食品ということになります。

海外ではオーガニック食品専門のスーパーが並び、健康志向の人たちに非常に人気があります。
一方で日本では、まだ「少し値段が高い」と感じて手を伸ばしづらい方も多いかもしれません。

ただ、誰もが気になるのは、「オーガニック食品は本当に体に良いのか?」という点です。
とくに、がんの予防という観点から見たとき、どのような違いがあるのでしょうか。

フランスで行われた大規模な研究

2018年にフランスで行われた研究では、約7万人の成人を対象に、オーガニック食品とがんの発症との関係を調べました。
参加者は、どのくらいオーガニック食品を食べているかを詳しくアンケートに答え、研究者たちはその後、数年間にわたって健康状態を追跡しました。

対象となった食品は、野菜や果物、大豆製品、乳製品、肉や魚、卵、パンやシリアル、油、加工食品、飲み物など、非常に多岐にわたります。
研究では、年齢や性別、喫煙の有無、運動習慣、食生活の傾向など、さまざまな要因を調整して、「オーガニック食品そのものの影響」をできる限り正確に分析しました。

その結果、オーガニック食品をよく食べていた人たちは、そうでない人たちに比べてがんの発症率が25%低かったという結果が出ました。
とくに「リンパ腫」と呼ばれる血液のがんでは約76%、閉経後の女性の乳がんでは約34%も少なかったという報告です。

この結果だけを見ると、「やっぱりオーガニックは体にいいんだ」と思いたくなりますね。
しかし、研究者たちは慎重な姿勢を取っています。
「オーガニック食品そのものががんを減らす原因とは言い切れない」と結論づけているのです。

なぜ「オーガニックだけが原因」とは言えないのか?

その理由は、オーガニック食品を選ぶ人たちには、ほかにも健康に良い習慣を持つ傾向があるからです。
例えば、タバコを吸わない、適度に運動している、野菜や果物を多く摂る、加工肉を控える──。
こうした生活習慣そのものが、がんのリスクを下げる要因になっている可能性があります。

また、この研究では「実際にどれくらい農薬を体に取り込んでいたのか」を直接測っていません。
つまり、「オーガニック食品を食べている」と自己申告していても、実際の残留農薬の量までは確認されていないのです。
そのため、オーガニックの摂取量に基づいた正確な比較ができていない可能性もあります。

イギリスとデンマークの研究では違う結果も

フランスの研究以外にも、オーガニック食品とがんの関係を調べた研究はいくつかあります。

たとえば、2014年にイギリスで行われた60万人以上の女性を対象とした研究では、
「オーガニック食品をよく食べる人は、非ホジキンリンパ腫というタイプのがんが約20%少なかった」という結果が出ています。
しかし、がん全体で見るとリスクの差はなかったということです。

さらに、デンマークで行われた4万人以上を15年間追跡した研究では、
「オーガニック食品の摂取量とがんの発症率との間に明確な関係はなかった」と報告されています。

このように、研究によって結果が少しずつ異なっており、「オーガニック食品ががんを防ぐ」とまでは言い切れないのが現状です。

それでもオーガニックを選ぶ価値はある?

では、「オーガニックを選んでも意味がないのか」と言われると、そうとも限りません。

まず、オーガニック食品は農薬や添加物の使用をできる限り抑えているため、体への負担が少ないと考えられます。
また、自然な環境で育てられた野菜や果物は、味や香りがしっかりしていると感じる人も多く、食べる楽しみが増えるというメリットもあります。

さらに、環境への配慮という点でも大きな意味があります。
オーガニック農法は土壌や水質の汚染を防ぎ、生態系を守る取り組みでもあります。
つまり、健康だけでなく「地球にもやさしい選択」と言えるのです。

がん予防のために大切なのは「全体のバランス」

がんの予防には、食事だけでなく、生活全体のバランスが大切です。
オーガニック食品にこだわることも良いですが、それ以上に大切なのは、
・野菜や果物を毎日しっかり摂ること
・加工食品や脂っこい食べ物を控えること
・適度に体を動かすこと
・タバコを吸わないこと
・お酒をほどほどにすること
──といった、基本的な生活習慣の積み重ねです。

もし経済的に無理なく取り入れられるのであれば、オーガニック食品をうまく組み合わせてみるのも良いでしょう。
たとえば、皮ごと食べる果物や葉物野菜だけはオーガニックを選ぶなど、ポイントを絞って取り入れる方法もあります。

まとめ 〜「無理のないオーガニック生活」を〜

まとめ 〜「無理のないオーガニック生活」を〜

ここまでの内容をまとめると、次のようになります。

  • オーガニック食品を多く食べる人は、がんのリスクが低いという研究結果もあるが、明確な因果関係はまだ証明されていない。
  • その一方で、オーガニック食品を選ぶ人たちは、全体的に健康的な生活習慣を持っていることが多い。
  • がんの予防には、オーガニック食品に限らず、食事・運動・生活全体のバランスが重要。

つまり、がんを防ぐために「オーガニックでなければいけない」というわけではありません。
ただし、できる範囲で無農薬・無添加・自然な食材を選ぶことは、体にも地球にもやさしい選択です。

健康を守るためには、完璧を目指すよりも「続けられることを少しずつ取り入れる」ことが大切です。
オーガニック食品もそのひとつの手段として、無理なく上手に取り入れていけたら理想的ですね。