くも膜下出血の合併症を予防するために必要な治療と看護について 適切な管理がないと予後を大きく左右します

くも膜下出血―治療と看護

くも膜下出血は、主に脳動脈瘤が破裂することで発生し、くも膜下腔内に大量の出血をもたらす非常に重篤な疾患です。この疾患は一時的に止血できたとしても再出血のリスクが非常に高く、早期の治療と看護が極めて重要です。
本記事では、くも膜下出血の合併症と治療、看護のポイントについて詳しく解説します。

くも膜下出血の病態と合併症

1. 再出血

1. 再出血

くも膜下出血の発症直後から24時間以内は動脈瘤の再破裂リスクが極めて高く、再出血が発生すると予後が著しく悪化します。
再出血の際には、以下の症状が見られることがあります。

  • 激しい頭痛や嘔吐
  • 意識障害
  • 瞳孔不動や左右差
  • ドレーン排液の異常(透明から赤色に変化するなど)
  • 血圧の急激な乱高下
管理と看護のポイント
  • 血圧を収縮期120–130mmHgにコントロールするため、高血圧治療薬(例:ニカルジピン)を使用します。
  • 痛みの管理が重要であり、適切な鎮痛剤(例:フェンタニル、トラマドール塩酸塩)を使用して患者の安楽を保つよう努めます。
  • 再出血の疑いがある場合は、速やかにCT検査を行い、出血の有無を確認します。

2. 脳血管攣縮

脳血管攣縮は、発症後4–14日以内に発生しやすい合併症で、脳血流の低下により脳虚血を引き起こします。この状態は患者の約1/3に発生し、手足の麻痺や高次脳機能障害といった症状を伴うことがあります。

原因

  • くも膜下出血による血液成分の影響
  • 中枢性塩類喪失症候群(CSWS)や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)による低ナトリウム血症や循環血液量の低下

治療法

  • トリプルH療法(Hypervolemia, Hypertension, Hemodilution)
    • 循環血液量の増加:輸液管理を徹底し脱水を防ぐ。
      ただし過剰な輸液により肺水腫や心不全を引き起こすリスクがあるため注意。
    • 人為的高血圧:収縮期血圧を140mmHg程度に管理。
    • 血液希釈:貧血症状や脳浮腫のリスクがあるため、ヘマトクリット値を33%程度に管理。

近年では、トリプルH療法の適用は慎重に検討されるようになり、患者の全身状態を細かくモニタリングしながら治療が進められます。

3. 正常圧水頭症

3. 正常圧水頭症

くも膜下出血後、髄液の流れが阻害されることで脳室が拡大し、正常圧水頭症が発生することがあります。
この状態は、以下のような症状を伴います

  • 歩行障害(転びやすい)
  • 尿失禁
  • 軽度の認知機能障害
治療法と看護のポイント
  • 急性期では、脳室ドレーンや脳槽ドレーンを用いて髄液や血液を排出し、脳圧を管理します。
  • 長期的には髄液シャント術が適用される場合があります。
  • 家族や看護師が患者の日常動作を観察し、異常があれば早期に報告します。
くも膜下出血における治療と看護の実際

初期治療

くも膜下出血の治療は、動脈瘤の再破裂を防ぐことが最優先です。
以下の治療法が適用されます

  • コイル塞栓術:カテーテルを用いて動脈瘤内にプラチナ製のコイルを充填し、再出血を予防します。
  • クリッピング術:外科的に動脈瘤の根元をクリップで閉じます。

これらの治療後も、血圧管理や痛みの緩和を中心とした全身管理が必要です。

看護のポイント
  1. 全身状態のモニタリング
    • 血圧、心拍数、酸素飽和度などのバイタルサインを頻回に測定し、異常を早期に発見します。
    • 神経学的観察を徹底し、意識状態や瞳孔の変化を確認します。
  2. 患者の安楽を保つケア
    • 激しい頭痛に対する適切な鎮痛薬の使用。
    • 安静を確保し、患者の心理的負担を軽減するサポート。
  3. 家族への説明と支援
    • 病状や治療方針について分かりやすく説明し、家族の不安を軽減します。
    • 日常生活への復帰に向けたリハビリ計画についても相談します。

まとめ

くも膜下出血は、再出血、脳血管攣縮、正常圧水頭症といった三大合併症が発生するリスクが高く、発症後2週間が特に重要な期間です。
適切な治療と看護を通じて患者の生命予後を改善するためには、医療従事者が各合併症のリスクを理解し、早期発見と対応に努めることが求められます。
患者や家族に寄り添った支援を行うことで、治療の質を向上させることができるでしょう。