【注意】危険すぎる人工甘味料?腸内細菌へ与える影響が・・・

人工甘味料は本当に安全?──最新研究が示す腸内環境と健康への影響

人工甘味料は本当に安全?──最新研究が示す腸内環境と健康への影響

 近年、「糖質オフ」「ゼロカロリー」「シュガーレス」といった言葉をよく目にするようになりました。健康志向の高まりとともに、砂糖の代替として「人工甘味料」を使用した食品や飲料が増えています。たとえば、「コカ・コーラ ゼロ」などの清涼飲料水には、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースといった人工甘味料が含まれています。これらの成分は、砂糖に比べてカロリーが低く、血糖値を上げにくいとされてきました。そのため「健康的」「太らない」といったイメージを持たれてきた方も多いのではないでしょうか。

 しかし、近年の研究では、人工甘味料が決して「無害」ではない可能性が指摘されています。むしろ、長期的に摂取することで糖尿病や肥満、さらにはがんのリスクを高めるおそれがあるというのです。今回は、2022年に国際的な科学誌『Cell』に掲載された最新研究をもとに、人工甘味料が私たちの腸内環境や健康に与える影響について詳しくご紹介します。

■ 人工甘味料は腸内で何を起こすのか?

■ 人工甘味料は腸内で何を起こすのか?

 イスラエルの研究チームは、以前から人工甘味料が血糖値を上昇させることを報告してきました。マウスを使った実験では、サッカリン、スクラロース、アスパルテームといった人工甘味料を摂取したマウスの血糖値が、砂糖を摂取したマウスよりも高くなるという結果が得られています。

 そもそも人工甘味料は、砂糖とは異なり体内で完全に消化・吸収されにくいという特徴を持ちます。そのため、多くが大腸まで届き、腸内細菌(腸内フローラ)に直接影響を及ぼすと考えられています。研究チームはこの点に注目し、人工甘味料が人間の腸内細菌にどのような変化をもたらすのかを調べました。

■ 120人のボランティアを対象にした実験

 研究では、これまで人工甘味料を摂取したことのない120人の健康な成人を対象に、4種類の人工甘味料──サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビア──のいずれかを2週間にわたり摂取してもらいました。比較のために、人工甘味料を含まないプラセボ(偽薬)を与えられたグループも設定されました。

 その結果、人工甘味料を摂取した一部の被験者では、腸内細菌の種類やバランス、さらには腸内で作られる代謝物の構成に変化が見られました。特に、サッカリンやスクラロースを摂取した人では、耐糖能(血糖を下げる力)が低下し、食後の血糖値が上昇しやすくなっていたのです。

 このような反応を示した人たちは「レスポンダー(responder)」と呼ばれ、人工甘味料に対して腸内細菌が敏感に反応したことが示唆されました。一方、反応が見られなかった人たちもおり、個人差が大きいこともわかりました。

■ 人からマウスへ──腸内細菌の移植実験で分かったこと

 さらに興味深いのは、この研究で行われた「腸内細菌の移植実験」です。人工甘味料を摂取した人の便から採取した腸内細菌を、無菌状態のマウスに移植したところ、マウスでも人間と同様に耐糖能の低下が確認されたのです。つまり、人工甘味料そのものよりも、「腸内細菌の変化」が血糖値の上昇や糖代謝の異常を引き起こしている可能性が示唆されました。

 この結果は、人工甘味料が腸内環境を変化させることで血糖コントロールを乱すという新しいメカニズムを裏づける重要な証拠といえます。研究期間は2週間と短いものでしたが、それでも腸内環境や血糖反応に影響が出るというのは、見逃せない事実です。

■ 糖尿病・肥満・がんとの関係

 血糖値が高い状態が続くと、インスリンの分泌や作用に異常が生じ、糖尿病のリスクが高まります。さらに、糖尿病が進行すれば心血管疾患や肥満などの合併症を引き起こす危険性もあります。近年の疫学研究では、人工甘味料の多量摂取と、これらの疾患リスクの上昇との関連が明らかになりつつあります。

 たとえば、フランスで行われた大規模な観察研究では、アスパルテームやアセスルファムKなどの人工甘味料を多く摂取する人は、がんの発症リスクが13%高いという結果が報告されました。さらに、ヨーロッパ10か国・約45万人を対象にした前向き研究では、砂糖入り飲料を多く飲む人の死亡リスクが8%上昇していたのに対し、人工甘味料入り飲料を多く飲む人の死亡リスクは26%も上昇していたという驚くべき結果が出ています。

 つまり、「砂糖よりも人工甘味料の方が健康的」というこれまでの常識は、必ずしも正しいとは言えない可能性があるのです。

■ では、どの人工甘味料に注意すべきか?

■ では、どの人工甘味料に注意すべきか?

 研究で特に注意すべきとされたのは、スパルテーム、アセスルファムK、サッカリン、スクラロースの4種類です。これらは多くの清涼飲料水や菓子類、調味料、さらには健康食品にまで幅広く使われています。一方で、天然由来とされるステビアも、摂取量や個人の体質によっては腸内環境に影響を及ぼす可能性があると指摘されています。

 もちろん、現時点で「人工甘味料が直接がんを引き起こす」と断定できるわけではありません。しかし、腸内細菌の変化や耐糖能への影響など、健康に対して無視できない作用があることが次第に明らかになってきています。

■ 健康のためにできること

 私たちが日常的に口にする食品の多くに、人工甘味料は含まれています。特に、ダイエット目的で「ゼロカロリー飲料」や「糖質オフ食品」を常用している場合、知らず知らずのうちに摂取量が増えているかもしれません。健康のためには、以下のような点に注意することが大切です。

  1. 清涼飲料や加工食品の成分表示を確認する
     アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリンなどが含まれていないかチェックしましょう。
  2. 「ゼロカロリー」や「糖質オフ」に惑わされない
     カロリーが低いからといって、健康に良いとは限りません。
  3. 自然な甘味を取り入れる
     どうしても甘味が欲しいときは、はちみつや果物など、自然由来のものを少量使うのがおすすめです。

■ まとめ

 人工甘味料は一見すると「砂糖より健康的」で「太らない」ように思えますが、実際には腸内環境や血糖コントロールに悪影響を与える可能性があることが、科学的に示されつつあります。短期間の摂取でも腸内細菌が変化する人がいること、そしてその結果として糖尿病や肥満、がんなどのリスクが高まるかもしれないという事実は、私たちが「甘味」とどのように付き合うかを考え直すきっかけになるでしょう。

 健康のためには、人工的な甘味料に頼りすぎず、できるだけ自然な食材から甘みを摂ること。そして、過剰な甘味そのものを控えることが、長い目で見て最も確実な健康法といえるのではないでしょうか。