【うそ?本当?】プロテインは腎臓に悪い?

プロテインは本当に腎臓に悪いのか?

今回は、「プロテインは腎臓に悪い」と言われることがありますが、それは本当なのか?というお話です。

がんの治療を受けている方にとって、「筋肉を保つ」ことはとても大切です。筋肉は、体力を支え、免疫の働きを助けるうえでも欠かせない存在です。そのため、軽い筋トレなどの運動とあわせて、しっかりとたんぱく質を摂ることが勧められます

目安としては、体重1キログラムあたり1.2~1.5グラムのたんぱく質を摂ることが理想です。つまり、体重が60キロの人であれば、1日に70~90グラムほどのたんぱく質を意識する必要があります。

もちろん、食事から摂るのが一番ですが、実際にはなかなか必要量を食事だけで補うのは難しいものです。そんなとき、手軽にたんぱく質を補えるのが「プロテイン(たんぱく質補助食品)」です。ところが中には、「プロテインは体に悪い」「腎臓を悪くする」という情報を耳にして、不安に思っている方も少なくありません。

そこで今回は、「本当にプロテインは腎臓に悪いのか?」という点を、実際の記事や研究をもとに検証してみたいと思います。

「プロテインを飲んではいけない」という記事の内容

2021年5月、あるニュースサイトに「プロテインを飲んではいけない」というタイトルの記事が掲載されました。これは医師が書いた本の一部をもとにしたもので、「一般の人が健康のために摂っているものの中には腎臓を悪くするものがある。その代表がプロテインだ」という内容でした。

記事の中では、著者が「自分のクリニックの患者で、プロテインを飲み始めたあとに腎臓の数値が悪くなった人がいた」と紹介しています。そして、プロテインをやめたところ、数値が元に戻ったというのです。

確かに、こうした話を聞くと、「やっぱりプロテインは危険なんだ」と感じてしまうかもしれません。しかし、このような1人の例だけでは、「プロテインが原因」とは言い切れません。体調や食生活の変化、他のサプリメントの使用、脱水など、さまざまな要因が関係していた可能性もあります。

プロテインと腎臓の関係を調べた研究

プロテインと腎臓の関係を調べた研究

では、実際に「プロテインと腎臓の関係」についての研究はあるのでしょうか?
調べてみると、2019年に発表された研究がありました。スポーツジムに通う男女107人を対象に、プロテインの摂取量と腎臓の健康状態との関係を調べたものです。

参加者の平均年齢は35歳ほどで、そのうち約半数が、平均16カ月にわたってプロテインを積極的に摂っていました。プロテインを摂っていた人たちは、1日に体重1キログラムあたり1.7グラムほどのたんぱく質を摂っていたそうです。これは、一般的な食事よりやや多めの量です。

研究では、腎臓に負担がかかっていないかどうかを調べるために、尿検査を行いました。その結果、全体の約9%にあたる10人が「たんぱく質の一部が尿に出ている」という軽い異常を示しましたが、プロテインを飲んでいたかどうかと、この結果には関連が見られませんでした。

つまり、プロテインを摂っている人と摂っていない人とで、腎臓の状態に違いはなかった、ということです。

この結果から、「プロテインを摂っても腎臓が悪くなるとは言えない」という結論が出ています。
他にもいくつかの研究がありますが、いずれも「健康な人が適量のプロテインを摂ることで腎臓が悪くなる」という証拠は見つかっていません。

「過剰」と「適量」は違う

もちろん、どんなに体によいものでも、摂りすぎはよくありません。たんぱく質も例外ではなく、「過剰」に摂れば腎臓に負担がかかる可能性があります。特に、すでに腎臓の働きが落ちている人や、腎臓の病気がある人は注意が必要です。

しかし、健康な人が一般的な範囲でプロテインを利用する場合、心配する必要はほとんどありません。メーカーが推奨する量を守り、無理のない範囲で続けることが大切です。

高齢者ほどたんぱく質が大切

高齢者ほどたんぱく質が大切

実は、たんぱく質が不足している人は多いと言われています。特に高齢になると、食が細くなり、自然とたんぱく質の摂取量が減ってしまう傾向があります。その結果、筋肉が落ち、転倒や寝たきりのリスクが高まってしまいます。

厚生労働省がまとめた報告書でも、65歳以上の方は「体重1キログラムあたり少なくとも1グラム以上のたんぱく質を摂ること」が望ましいとされています。
たとえば体重が50キロの人なら、1日50グラム以上が目安です。肉や魚、卵、豆腐などを組み合わせれば摂れる量ではありますが、毎日バランスよく食べるのはなかなか難しいものです。

そのような場合には、プロテインを上手に活用するのも一つの方法です。最近は、味も改良され、飲みやすいものが多くなっています。牛乳由来のホエイプロテインでも、大豆由来のソイプロテインでも構いません。自分の体に合うものを選び、食事の補助として取り入れるのがポイントです。

まとめ:プロテインを上手に取り入れるコツ

まとめ:プロテインを上手に取り入れるコツ

これまでの研究から考えると、「健康な人が適量のプロテインを飲んだからといって、腎臓が悪くなる」という科学的な根拠は見つかっていません。むしろ、たんぱく質は体をつくる基本であり、筋肉や免疫の維持に欠かせない栄養素です。

大切なのは「適量」と「バランス」です。
1日に必要なたんぱく質のうち、できるだけ食事から摂るように心がけ、それでも足りない分をプロテインで補う。これが理想的な使い方です。

そして、もし腎臓の検査で異常を指摘されたことがある方や、持病がある方は、必ず医師に相談してからプロテインを利用してください。

プロテインは、上手に使えば体を守る強い味方になります。
「プロテインは腎臓に悪い」というのは、科学的な根拠がはっきりしていない誤解といえるでしょう。
無理のない範囲で、安心してたんぱく質を摂り、元気な体づくりを続けていきましょう。