新人看護師が知りたい!心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術(CABG)後はこの合併症に注意しよう!

冠動脈バイパス術後の合併症とその対応

冠動脈バイパス術(Coronary Artery Bypass Grafting; CABG)は、狭窄や閉塞した冠動脈をバイパスし、心筋への血流を改善することを目的とした外科的治療です。この手術は、心筋梗塞や狭心症といった重篤な冠動脈疾患に対して行われます。しかし、患者さんの負担が大きい手術であり、術後に合併症が発生するリスクが高いため、十分な管理が求められます。

本記事では、CABG術後に注意すべき合併症を3つに絞り、それぞれの特徴と対応策について解説します。

冠動脈バイパス術の概要

冠動脈バイパス術の概要

CABGは、患者自身の血管を採取してバイパスを作成することで、狭窄や閉塞した冠動脈を迂回する手術です。この治療法は、以下のような病態に適応されます。

適応疾患

  • 左冠動脈主幹部(根本部分)の狭窄
  • 左冠動脈前下降枝近位部の狭窄
  • 三枝病変(3本の冠動脈すべてが高度に狭窄)
  • PCI(経皮的冠動脈インターベンション)では対応困難な病変

手術の流れとリスク

手術の流れとリスク

手術中は心臓の動きを停止させる場合があり、その際に人工心肺を使用して全身の循環を維持します。しかし、人工心肺や手術操作そのものが患者さんに多大な負担を与え、術後の合併症リスクを高める要因となります。

術後に注意すべき合併症

術後に注意すべき合併症

CABG術後の代表的な合併症として、以下の3つが挙げられます。

1. 術後出血

術後出血はCABG術後によく見られる合併症の一つであり、その要因として以下が挙げられます。

  • 人工心肺の使用:血液が回路内で凝固しないように、手術中は抗凝固薬(ヘパリン)が使用されます。
  • 低体温管理:酸素消費を抑える目的で低体温管理が行われますが、これにより血小板機能が低下します。
  • 血液希釈:人工心肺のプライミング液や輸液により凝固因子が希釈され、止血能力が低下します。

出血管理のポイント

  • 保温:術後は温かい毛布や復温装置を使用し、低体温を予防します。
  • 血圧コントロール:高血圧は縫合部への負担を増大させるため、血圧管理が重要です。
  • ドレーン排液の観察:性状や量を観察し、異常を早期に発見します。

2. 不整脈

CABG術後の不整脈も頻発する合併症です。特に心房細動(AF)は、術後18時間以内や2–3日目に起こりやすいとされています。

要因

  • 循環血液量の減少
  • バイパスグラフトの血流低下
  • 電解質異常(低カリウム血症など)

低カリウム血症は特に注意が必要で、手術中の低体温管理や利尿薬、インスリン製剤の使用が原因となることが多いです。ICU入室時には約30%の患者さんが低カリウム血症に陥っているとされています。

不整脈管理のポイント

  • 心電図モニタリング:バイタルサインと心電図波形を監視し、不整脈の早期発見に努めます。
  • 適切な補正:低カリウム血症が認められた場合、カリウム補充を行います。
  • 緊急時対応:重篤な不整脈に対しては迅速な対応が求められます。

3. 低心拍出量症候群(Low Output Syndrome; LOS)

低心拍出量症候群は、心機能が低下して全身への十分な血液循環が維持できない状態を指します。

要因

  • 術後出血
  • 人工心肺の使用
  • 手術侵襲に伴う血管透過性亢進
  • 周術期心筋梗塞(PMI)
  • 不整脈

低心拍出量症候群が発生すると、末梢冷感、チアノーゼ、尿量減少、血圧低下などの症状が現れます。さらに重篤な場合にはショック状態に陥ることもあります。

管理のポイント

  • 循環動態のモニタリング:スワンガンツカテーテルを用いて心拍出量や肺動脈楔入圧(PAWP)を測定します。
  • 適切な治療
    • フォレスター分類Subset3の場合は、適切な輸液負荷を実施します。
    • Subset4の場合は、強心薬や血管拡張薬を使用し、利尿薬で余剰な水分を排出します。

まとめ

CABG術後にはさまざまな合併症が発生する可能性がありますが、特に以下の3つが注意すべきポイントです。

  1. 術後出血:保温、血圧管理、ドレーン観察を徹底する。
  2. 不整脈:電解質異常の補正や心電図モニタリングを行う。
  3. 低心拍出量症候群:循環動態を把握し、適切な治療を実施する。

これらの合併症は患者さんの生命に関わる重大なリスクとなるため、医師の指示のもと、看護師が適切なケアと早期発見に努めることが重要です。術後管理を徹底し、患者さんが安全に社会復帰できるよう、医療チーム全体でサポートしていきましょう。