足の運動学について

私たちは日々、無意識のうちに

「歩く」
「立つ」
「走る」


など、さまざまな動作を行っています。
その一つひとつの動きの裏には、

足の精密な関節構造と筋肉の働き

があります。

「足はどうやって動いているの?」
「どの筋肉が使われているの?」


本日はそんな疑問に答える形で、足の運動学
についてわかりやすく解説していきます。

足の基本構造

足の基本構造

足は、単に「足首から下」ではなく、

多くの骨と関節が組み合わさってできた複雑な構造体

です。

大きく分けると、

  • 足根骨(そっこんこつ):かかと(踵骨)や距骨など、足の根元を支える骨
  • 中足骨(ちゅうそっこつ):足の甲を形成する骨
  • 趾骨(しこつ):足の指を構成する骨

このように、ひとつの「足」といっても
26個もの骨からできています。

それらの骨同士が関節を作り、筋肉や靭帯に
よって支えられ、しなやかに動くのです。

足の主要な動き

足の関節運動には、大きく分けて次の4つの動きがあります。

  1. 底屈(ていくつ):つま先を下げる動き(例:バレリーナがつま先立ちする姿勢)
  2. 背屈(はいくつ):つま先を上げる動き(例:かかとで立つ姿勢)
  3. 回内(かいない):足の裏が外を向くように倒れる動き
  4. 回外(かいがい):足の裏が内側を向くように傾く動き

これらの動きが組み合わさることで、私たちは凸凹した地面を歩いたり、
ジャンプの着地でバランスを取ったりできます。

底屈・背屈で働く主な筋肉

🦶 底屈(つま先を下げる)

  • 腓腹筋(ひふくきん):ふくらはぎの大きな筋肉。アキレス腱を介してかかとを引き上げる。
  • ヒラメ筋:腓腹筋の奥にある筋。立位姿勢の安定に重要。
  • 長腓骨筋・短腓骨筋:足の外側を通り、足首の動きを支える。

🦶 背屈(つま先を上げる)

  • 前脛骨筋(ぜんけいこつきん):すねの前面にある筋肉。歩行中、つま先を上げる働き。
  • 長母趾伸筋・長趾伸筋:足の指を伸ばすと同時に、足首を引き上げる。

これらの筋肉が協調して働くことで、スムーズに歩行や走行が行えます。

回内・回外の動きと筋肉の関係

回内・回外の動きと筋肉の関係

足を外側に倒す「回内」、内側に傾ける「回外」も、
私たちのバランスにとって重要な動作です。

  • 回内(足裏が外を向く)
     → 主に長腓骨筋・短腓骨筋が働きます。足を外側へ倒し、安定した接地を助けます。
  • 回外(足裏が内を向く)
     → 後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋などが関与します。
    着地の瞬間や地面を蹴るときに、足を引き締めて支える働きをします。

この2つの動きが絶妙なバランスで行われることにより、
足は「ねじれ」と「しなり」を活かして体重を支えることができるのです。

足の指が動くときの筋肉

足の指も独立して動かせるように、多くの小さな筋肉が働いています。

  • 足底の筋肉(足底筋群):指を曲げたり開いたりする。
  • 長母趾屈筋・長趾屈筋:ふくらはぎの奥から指先まで伸び、地面をしっかりつかむ動きを助ける。
  • 短趾伸筋:足の甲にあり、指を伸ばす働きを持つ。

これらの筋肉があるおかげで、私たちは地面をしっかりととらえ、
歩行中にバランスを取ることができます。

足の主要関節とその役割

ここからは、足の動きを生み出す
「関節のメカニズム」について見ていきましょう。

1️⃣ 足関節(距腿関節:きょたいかんせつ)

すねの骨(脛骨・腓骨)と、足首の中心にある
距骨(きょこつ)がつくる関節です。

この関節は、主に底屈と背屈の動きを担当します。

  • 底屈(つま先を下げる)
  • 背屈(つま先を上げる)

つまり、ジャンプや歩行、階段の上り下りといった
上下方向の動きを担うのが距腿関節です。

2️⃣ 距踵関節(きょしょうかんせつ)=距骨下関節

距骨の下にある「踵骨(しょうこつ)」
と距骨が組み合わさってできた関節です。
この関節では、主に回内・回外の動きが生じます。

距踵関節は、足が地面の傾きに合わせて傾くときに活躍します。
例えば、斜めの道を歩いても体が傾かないように、足首の
下で微妙に角度を調整しているのです。

3️⃣ ショパール関節(横足根関節)

距骨・踵骨と前方の舟状骨・立方骨との間
にある関節で、足の柔軟な動きを支えています。

ここがしなやかに動くことで、地面を
蹴るときの力を逃がさず伝えられます。

4️⃣ MP関節(中足指節関節)

足の指の付け根にある関節です。
指の曲げ伸ばしや、地面を押すときの推進力を担っています。

「足の動き」は複数の関節の連携で生まれる

足の動きは一つの関節で完結するものではありません。
実は、複数の関節が同時に少しずつ動くことで、
しなやかで安定した動きを実現しています。

たとえば――

  • 底屈・背屈の動き → 主に「距腿関節」が中心
  • 回内・回外の動き → 主に「距踵関節」が中心

このように、それぞれの関節が役割を
分担しながら、リズムよく連動しているのです。

靭帯が守る、足の安定性

靭帯が守る、足の安定性

足には多数の靭帯があり、関節が必要以上
に動きすぎるのを防いでいます。

特に足首の内側(内果側)には、三角靭帯
と呼ばれる強固な靭帯群があり、
過度な回外やねじれを制御してくれます。

これらの靭帯があるおかげで、私たちは不安定な
地面でも安定して立つことができるのです。

まとめ

1️⃣ 足の動きは主に2つの関節が担っている。
 - 底屈・背屈 → 距腿関節(足関節)
 - 回内・回外 → 距踵関節(距骨下関節)

2️⃣ それぞれの関節が連動し、足全体として多方向への動きを実現している。

3️⃣ 手関節と同じように、動きの方向やリズムを
変えることで、足は地面の形状に柔軟に対応できる。

私たちが一歩を踏み出すたびに、足の中では
数十もの骨と筋肉が絶妙に動いています。

そのおかげで、坂道も階段も不安定な
砂利道も、自然に歩くことができるのです。

足は「第二の心臓」とも呼ばれるほど、体全体の
バランスや血流に関わる大切な部位。

ときには自分の足をゆっくり観察し、その動きに
意識を向けてみると、体の仕組みの奥深さを
感じられるかもしれません。