同じ種類のがんで、同じステージ、同じような治療を受けているにもかかわらず、早期に再発してしまう人もいれば、再発せずに長く健康を保っている人もいます。
また、手術が難しいほど進行したがんと診断されたにもかかわらず、数年間にわたって元気に生活を続けている方も少なくありません。
こうした患者さんたちを長年見ていると、不思議なことに「がんをうまく乗り越えている人」には、ある共通点があることに気づきます。性格や環境はさまざまですが、彼らには共通した“ものの見方・感じ方”――つまり「メンタルのあり方」に特徴があるのです。
今回は、がんを克服し、前向きに生きる人たちに共通する7つのメンタルについてご紹介します。

がんを告知されたとき、多くの人はショックを受けます。「自分はいつまで生きられるのだろう」「これからどんな苦しみが待っているのか」と不安が押し寄せ、落ち込むのは自然な反応です。中には再発への恐怖から、うつ状態になる人もいます。
しかし、がんを克服した人たちは、やがてその現実を受け入れ、「がんと共に生きる」という姿勢を持つようになります。もちろん不安はありますが、必要以上に怖れません。なぜなら、「怖れても何も変わらない」と知っているからです。恐怖や悲観はストレスを生み、免疫機能の低下や体調不良を引き起こすこともあります。
「自分は大丈夫」と思い込むことも、心の支えになります。根拠がなくても構いません。がんを必要以上に怖れず、「今できること」に意識を向けることが、前に進む第一歩となるのです。
「がんになって笑えるわけがない」と感じるかもしれません。ですが、笑顔には不思議な力があります。無理をしてでも笑ってみると、心が少し軽くなり、気持ちが前向きになります。
医学的にも、笑うことで「ナチュラルキラー細胞」と呼ばれる免疫細胞の働きが活発になることがわかっています。笑顔は免疫力を高め、治療を支える“自然の薬”のようなものです。
調子が悪い日もあるでしょう。そんなときこそ、鏡の前で一度だけでも笑顔をつくってみてください。その小さな習慣が、あなたの体と心を少しずつ変えていきます。
がんを克服する人は、医師任せにせず、「医療をうまく利用する」姿勢を持っています。そして、治療と並行して「自分でできること」を探し続けます。
たとえば、食事や運動の工夫、サプリメント、イメージ療法、瞑想など。自分に合う方法を試行錯誤しながら、主体的に取り組みます。
「自分で決め、自分で行動する」という姿勢は、前向きなエネルギーを生み出します。ときに困難な治療を乗り越える力にもなります。自分の人生の舵を自分で握る――この意識が、治療を支える原動力になるのです。
がん治療は、必ずしも順調に進むとは限りません。腫瘍マーカーが上がることもあれば、副作用に苦しむ日もあります。
そんなときでも、がんを克服する人は「落ち込むけれど立ち直りが早い」という特徴があります。悪い結果にとらわれすぎず、「今日は悪くても、明日はきっと良くなる」と前を向くのです。
悩んでもがんが良くなるわけではありません。心配なことがあれば、医師や看護師に相談し、不安を溜め込まないようにしましょう。気持ちを切り替える力こそが、長く生きる人に共通する強さです。

がんと診断されると、治療や通院に時間を取られ、以前のように生活できなくなることがあります。しかし、がんを克服した人たちは、趣味や楽しみを手放しません。
むしろ「がんになったからこそ、やりたいことをやる」と決める人もいます。旅行、読書、絵画、園芸など、楽しみを持つことが生きる力になります。
「できなくなったこと」ではなく、「今できること」に目を向ける。その姿勢が人生を豊かにし、心の支えとなるのです。
がんになると、家族や友人が気を遣って何でもやってくれるようになります。それはありがたいことですが、すべてを任せてしまうと、自分の生きる力が少しずつ失われていきます。
がんを克服した人は、まわりの助けに感謝しつつも、「自分の役割」を手放しません。家事や仕事、地域での活動など、自分にできることを見つけ、続けようとします。
「自分はまだ必要とされている」「自分にしかできないことがある」という意識は、生きるエネルギーを生み出します。役割を持つことは、治療におけるモチベーションにもなるのです。

がんになると、自分の不幸ばかりに目が向いてしまうことがあります。ですが、がんを克服した人は、常に感謝の気持ちを忘れません。
家族や友人、医療スタッフ、そして日々の生活に対して「ありがとう」と言葉にする。それだけで、心の中に温かいエネルギーが生まれます。
感謝の気持ちはストレスを和らげ、治療にも良い影響を与えるといわれています。「今日も生きている」――その事実に感謝できる人は、どんな困難にも負けません。
ここで紹介した7つのメンタルは、すべての人に当てはまるわけではありません。ですが、長年多くの患者さんを見てきて、筆者は強く感じます。
がん治療の結果を左右するのは、医療技術だけではなく、患者さん自身の心の持ち方だということです。
「がんが治ったから前向きになれた」のではなく、「前向きだったから治療を乗り越えられた」という人が、確かに存在します。
がんを怖れず、笑顔を忘れず、自分らしく生きる――その積み重ねが、治療の効果を高め、人生をより豊かにしてくれるのです。