がん患者さん「サプリメント」飲むならこの5つ

がんの治療中、「自分でも何かできることはないだろうか」と考える方は少なくありません。
そんなとき真っ先に思いつくのが“サプリメント”です。健康食品や栄養補助食品など、今では薬局やネットでも簡単に手に入りますよね。
では実際、がん患者さんにサプリメントは必要なのでしょうか?

医師の反応と、実際のところ

医師の反応と、実際のところ

まず、主治医に相談するのが一番です。
多くの医師は「サプリメントは必要ありません」「がんに効くサプリメントはありません」と答えるでしょう。これは間違いではなく、がんを治す“薬”としてのサプリメントは存在しないからです。

しかし現実には、アメリカなど海外のデータを見ると、多くのがん患者さんが自己判断でサプリメントを利用しています。
それは、「エビデンス(科学的根拠)」の有無にかかわらず、サプリメントを飲むことが“自分の手でできるケア”として心の支えや安心感につながっているからです。

筆者自身も、がん患者さんにサプリメントを積極的にすすめることはしませんが、完全に否定もしません。
なぜなら、適切に使えばいくつかのメリットがあるからです。

サプリメントに期待できる4つの効果

サプリメントに期待できる4つの効果

がん患者さんがサプリメントを上手に取り入れることで、次のような効果が期待できます。

  1. 栄養状態の維持
     治療や食欲低下で不足しがちな栄養素を補い、体力の低下を防ぎます。
     たとえば、たんぱく質が足りない場合にはプロテインを補うことで筋肉量の減少を防ぐことができます。
  2. 免疫バランスの維持・向上
     体の防御システムを支えることで、治療中の感染症予防にも役立ちます。
  3. 生活の質(QOL)の向上
     抗がん剤の副作用によるだるさや味覚の変化などをやわらげ、日常生活を少しでも快適にします。
  4. 治療効果のサポート
     直接「がんを治す」わけではありませんが、体調を整えることで結果的に治療の効果を高めるサポートになる可能性があります。
  5. 注意してほしい5つのポイント

サプリメントを取り入れるときは、次の点に気をつけましょう。

  1. まずは食事を基本に。
     サプリはあくまで補助。食事からの栄養摂取が最優先です。
  2. 高額な商品に注意。
     「がんに効く」と高額で売られるものもあります。価格に疑問を感じたら立ち止まりましょう。
  3. 数を増やしすぎない。
     いくつも飲み始めると相互作用のリスクもあります。必要最小限に。
  4. 信じて続ける心も大事。
     「効くかもしれない」という前向きな気持ちが、心の安定につながります。
  5. 体に合わないときは中止。
     異変を感じたらすぐにやめ、主治医へ相談を。

がん患者さんにおすすめのサプリメント5つ

ここからは、現在の研究結果や臨床データを踏まえて、比較的安全性と有用性が確認されている5つのサプリメントを紹介します。

① ビタミンD ― がん治療のサポートに注目

ビタミンDは、骨や免疫機能の維持に欠かせない栄養素です。
日本で行われた臨床試験では、肺がんの術後患者において、血中ビタミンD濃度が低い人に限り、ビタミンDサプリメントを摂取した群で生存期間の延長が確認されました。
つまり、ビタミンDが不足しているがん患者さんには、補うことで一定のメリットがあると考えられています。

② EPA(フィッシュオイル)― 炎症を抑え、体力を守る

EPA(エイコサペンタエン酸)は青魚に含まれるオメガ3脂肪酸です。
心臓病予防で有名ですが、がん患者さんにも有用であることがわかってきました。
研究では、大腸がん患者がEPAを多く摂取していた場合、がんの再発率や死亡率が低下したとの報告があります。
また、EPAは炎症を抑える作用があり、治療中の疲労感や筋肉量の減少を防ぐ効果も期待されています。

③ マルチビタミン+ミネラル ― 栄養の“土台”を整える

がん治療中は、食欲不振や味覚の変化で栄養が偏りがちです。
その結果、カルシウム・マグネシウム・亜鉛などの不足が起こり、代謝の乱れや味覚障害の原因になることも。
食事が思うように取れないときには、マルチビタミン+ミネラルのサプリで“体の基礎”を整えることが役立ちます。

④ メラトニン ― 睡眠を整え、がんの進行を抑える可能性

メラトニンは「眠りのホルモン」として知られていますが、がんに対しても注目されています。
特に乳がんや前立腺がんなどホルモン依存性のがんでは、発がんを抑える働きがあるという報告があります。
また、メラトニンを摂取していた前立腺がん患者の方が、生存期間が長かったという研究も。
夜眠れない患者さんにもおすすめのサプリメントです。

⑤ クルクミン(ウコン)― 古くて新しい抗炎症成分

クルクミンはウコンに含まれる黄色のポリフェノールで、強い抗酸化・抗炎症作用を持ちます。
実験ではがん細胞の増殖を抑える働きが報告されており、臨床試験でもすい臓がん患者の転移が縮小した例が報告されています。
ただし、吸収率が低いのが難点。
脂溶性のため、食事と一緒に摂るか、吸収率を高めたサプリを選ぶのがポイントです。
また、春ウコンよりも秋ウコンのほうがクルクミンの含有量が多いとされています。

まとめ ― 自分に合った“続けられるサプリ”を

まとめ ― 自分に合った“続けられるサプリ”を

がん患者さんがサプリメントを考えるとき、大切なのは「何を飲むか」よりも「どう取り入れるか」です。
今回紹介した5つ ― ビタミンD、EPA、マルチビタミン+ミネラル、メラトニン、クルクミン ― は、エビデンスの蓄積もあり比較的安全性が高いと考えられています。

とはいえ、すべての人に合うわけではありません。
まずは医師や薬剤師に相談し、自分の体調や治療内容に合わせて取り入れてください。

サプリメントは「がんを治す薬」ではなく、「自分の体をいたわるサポーター」です。
焦らず、無理せず、自分の体と向き合いながら続けていきましょう。