脊椎について「そもそも人体運動器」

私たちの体の中心を縦に貫く

「脊椎(せきつい)」。

この背骨は、骨格の中でもとくに重要な働きを担っており、

姿勢を保つだけでなく、

体を曲げたりひねったりする際

の中心となる構造です。

さらに、体の神経の

大動脈ともいえる脊髄を外部から守る

という、大切な役割も担っています。

普段はあまり意識することがありませんが、脊椎の内部では
複雑で精巧な仕組みが働いています。

本記事では、脊椎の構造や役割、背骨を支える筋肉や靭帯、
そして脊髄神経の通り道まで、丁寧にわかりやすく解説していきます。

■ 脊椎はどのように分類されているのか

■ 脊椎はどのように分類されているのか

脊椎は一本の長い骨ではなく、椎骨(ついこつ)
と呼ばれる個々の骨が積み木のように重なった構造です。

大きく次の5つの部分に分類されます。

  1. 頚椎(けいつい):7個
     首にあたり、頭部を支える役割があります。
    可動域が広く、上下左右に自由に動かせる構造です。
  2. 胸椎(きょうつい):12個
     背中の部分にあり、肋骨と連結しています。
    可動性は少なく、体幹を安定させる役割が大きい部分です。
  3. 腰椎(ようつい):5個
     上半身の体重を支えるため特に大きく頑丈です。
    前後に曲がりやすく、体の動きの中心となります。
  4. 仙椎(せんつい):5個(融合して1つの骨)
     骨盤の後面に位置し、仙骨として強い支持性を持ちます。
  5. 尾椎(びつい):3~5個(融合し尾骨)
     人間では退化した部分で、大きな可動性はもちません。

このように、全部で 24個の可動性のある椎骨 と、仙骨と尾骨
からなる構造が脊椎を形成しています。

■ 椎骨はどんな形をしているのか

椎骨はすべて同じ形ではありませんが、共通した基本構造を持っています。

  • 椎体(ついたい):前方にある円柱状の部分で、体重を支える土台となります
  • 椎弓(ついきゅう):椎体の後ろにアーチ状に伸び、脊髄を守るトンネルを形成
  • 棘突起(きょくとっき):背中側に飛び出す突起で、触れると背中の中央に感じられる部分
  • 横突起(おうとっき):左右に伸びる突起、筋肉や靭帯の付着部
  • 上・下関節突起:上下の椎骨と連結し、背骨全体にスムーズな動きを生み出す部分

椎骨は、一つひとつが動くことで、背骨全体
として大きな可動性を生み出しています。

■ 椎間板は何のためにある? どんな構造?

■ 椎間板は何のためにある? どんな構造?

椎骨と椎骨の間には、

**椎間板(ついかんばん)**


というクッションがあります。
椎間板は次の二重構造になっています。

  • 髄核(ずいかく):中央にあるゼリー状の物質で、衝撃を吸収する役割
  • 線維輪(せんいりん):髄核を取り囲む強固なリング状の組織で、変形を抑える役割

椎間板は、

  • 体重による衝撃を吸収し、
  • 背骨をしなやかに動かし、
  • ねじれや曲げの動作を可能にする

という重要な働きを担っています。

■ 背骨はどうやって体重を支えているのか

脊椎はS字カーブを描くように湾曲しており、この形状が体重を効率よく分散しています。

  • 首は前側に反り(前弯)
  • 胸は後ろ側へ丸くなり(後弯)
  • 腰は前に反っています(前弯)

このカーブによって、歩行時の衝撃や体重の負荷を
柔らかく受け止め、力を均等に分散することができます。

また、椎体と椎間板、さらに椎骨につく筋肉や靭帯が協力し、全身をしっかりと支えています。

■ 脊椎はどのようにして体を曲げ伸ばししているのか

背骨の動きは、以下のような動作で構成されています。

  • 前屈(前に曲げる)
  • 後屈(後ろに反る)
  • 側屈(横に倒す)
  • 回旋(ひねる)

1つの椎骨の動きはごく小さいものですが、複数の椎骨が
連動することで大きな可動性が生まれます。

特に腰椎は前後方向に曲げ伸ばししやすく、頚椎は回旋運動が得意です。

■ 脊柱全体を動かす筋肉は?

背骨の動きは多くの筋肉が支えていますが、代表的なのは次の筋群です。

● 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)

背中をまっすぐ起こす働きをもつ大きな筋肉で、姿勢保持の中心になります。

● 多裂筋(たれつきん)

椎骨ひとつひとつに付着し、微妙な姿勢調整や安定性に寄与します。

● 腸腰筋(ちょうようきん)

腰椎から股関節につながり、上半身と下半身をつなぐ“コア”となる筋肉。

● 広背筋・僧帽筋

背中の大きな筋肉で、腕や肩の動きと密接に関わります。
これらの筋肉が強調し合うことで、脊柱は安定し、柔軟性のある動きが可能になります。

■ 背骨にはどんな靭帯があるのか

■ 背骨にはどんな靭帯があるのか

脊椎は強靭な靭帯によって補強されています。

  • 前縦靭帯(ぜんじゅうじんたい):椎体の前面を縦方向に走り、反り過ぎを防ぐ
  • 後縦靭帯(こうじゅうじんたい):椎体の後ろ側を走り、椎間板の突出を防ぐ
  • 黄色靭帯(おうしょくじんたい):椎弓同士をつなぎ、しなやかなバネのように働く
  • 棘間靭帯・棘上靭帯:棘突起同士をつなぎ、背骨の安定に寄与

靭帯は筋肉とは違い、常に張力を持って背骨の形態を保持する“固定装置”として働いています。

■ 脊髄神経はどこを通っているのか

脊髄は、椎骨の中央に形成される

「脊柱管(せきちゅうかん)」

というトンネルを通っています。

  • 椎体
  • 椎弓
  • 椎間板
  • 靭帯

などで囲まれており、外部からの衝撃や圧迫を受けないよう強固に守られています。

さらに、椎骨の左右には

「椎間孔(ついかんこう)」

という穴があり、ここから神経が
枝分かれして全身へと向かっていきます。

■ 脊髄にはどんな神経が走っているのか

脊髄を走る神経は、身体中に張り巡らされた神経ネットワーク
の“幹線道路”のような役割を果たします。

  • 運動神経:筋肉を動かす指令を送る
  • 感覚神経:痛み・触覚・温度などの情報を脳へ伝える
  • 自律神経:心臓・血管・消化器などの働きを調整

脊髄から出た神経は、

  • 頚神経
  • 胸神経
  • 腰神経
  • 仙骨神経

として全身に広がり、体の隅々まで情報を送受信しています。

■ まとめ

・脊椎は24個の椎骨と仙骨・尾骨から構成され、体を支えながら広い可動性を実現している
・椎間板は衝撃吸収と動きの滑らかさを担う重要なクッション
・背骨を動かすのは脊柱起立筋や多裂筋などの深層筋
・強靭な靭帯が背骨の安定性を守っている
・脊髄は脊柱管の中で守られ、そこから全身へ神経が枝分かれする

脊椎は、単なる“体の支柱”ではなく、体の動き・安定・神経
の保護すべてを担う重要な器官です。

日々の姿勢や運動習慣によってその状態は大きく変わるため、

普段から背骨を大切にすること

が健康の基本と言えるでしょう。