
食べものについて調べていると、ときどき「酸性食品」「アルカリ性食品」という言葉を見かけます。
一般的には、「酸性食品は体によくない」「アルカリ性食品は体によい」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。
では、この“酸性・アルカリ性”という分類と「がん」は関係があるのでしょうか?
今回は、この疑問についてわかりやすく紹介していきます。
まず最初に注意しておきたいのは、この分類は食べものそのものが酸っぱい・苦いという味の話ではなく、
体の中で消化・吸収されたあとに、体がどちらに傾きやすいか という観点で分けている、ということです。
そして、研究の世界では食品の酸性・アルカリ性を判断するために、
PRAL(プラル)値 という指標がよく使われます。
これは、「その食品を食べたとき、体がどれだけ酸性に傾くか」を示す値だと思っていただければOKです。
という分類になります。
PRAL値をもとにした食品の分類を、大まかに分けると次のようになります。
日常的に私たちが食べているものの多くが、実は酸性食品に分類されます。
こちらは、健康的なイメージのある食品が多く含まれています。
では、これらの食品の傾向と、がんの発症にはどのような関係があるのでしょうか?
ここでは、実際に報告された研究をもとに紹介します。

2021年にアメリカから発表された、大規模な調査があります。
約9万5千人を対象に、普段の食事内容を細かく調べ、PRAL値を算出した上で、
その後にすい臓がんを発症したかどうかを追跡した研究です。
その結果、
酸性食品を最も多く食べていたグループは、最も少ないグループに比べて、すい臓がんのリスクが約73%高い
ということがわかりました。
つまり、酸性食品が多い食生活は、すい臓がんのリスクを高める可能性があると言えるのです。
2019年に海外から報告された別の研究では、約4万3千人の女性を対象に調査が行われました。
こちらでも酸性食品の摂取量と乳がんの発症との関係を調べています。
その結果、
という結果が示されました。
すい臓がんだけでなく、乳がんでも同じような傾向がみられることが分かります。
ここまでの話を聞くと、「じゃあ酸性食品は減らして、アルカリ性食品だけを食べればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、もうひとつ大事な研究があります。

2021年に栄養学の専門誌で報告された研究では、
酸性食品の量と、がんを含むあらゆる原因での死亡リスクとの関係を調べました。
すると驚くことに、
酸性食品が極端に多い人はもちろん、アルカリ性食品が極端に多い人も、どちらも死亡リスクが高くなる
という結果だったのです。
つまり、
「アルカリ性食品=体に良い」という単純な話ではない
どちらかに偏ると、かえって健康にはよくない
ということが分かってきています。
研究結果をまとめると、次のようなことが言えます。
特に、肉・魚・乳製品・炭水化物・砂糖などに偏った食生活は注意が必要です。
野菜や果物をしっかり摂ることは、多くの研究で良い影響が示されています。
アルカリ性食品だけでは栄養バランスが崩れ、かえって体にはマイナスです。
今回紹介した研究を見ても、最終的にたどり着く答えはとてもシンプルです。
体に良いと言われる食品だけ
体に悪いと言われる食品だけ
――そのどちらにも偏らないこと。
野菜や果物をしっかり摂りつつ、肉や魚、炭水化物も適量。
そして甘いものやお酒も楽しむならほどほどに。
「酸性」「アルカリ性」という分類は、食生活を見直す一つの参考にはなりますが、
それだけで食事を決めてしまうと、かえって健康を損なってしまうこともあります。
がん予防をはじめ、長く元気に過ごすためには、
たくさんの種類の食品を、バランスよく食べることが何より大切
だということが、研究の結果からも読み取れます。