魚のオメガ3脂肪酸(EPA・DHA・DPA)でがん死亡率低下:がん患者さんは魚を食べましょう!

魚のオメガ3脂肪酸(EPA・DHA・DPA)でがん死亡率低下:がん患者さんは魚を食べましょう!

がん患者さんにすすめたい海洋性オメガ3脂肪酸──研究が示す「生存率改善」の可能性

がん患者さんにすすめたい海洋性オメガ3脂肪酸──研究が示す「生存率改善」の可能性

がん患者さんに適した栄養素として、近年注目を集めているもののひとつに オメガ3脂肪酸 があります。オメガ3脂肪酸は、体内でさまざまな機能を支える重要な脂肪酸であり、とくに炎症を抑えたり細胞の酸化を防いだりする働きがあることから、がんの予防や治療後の経過に良い影響を与える可能性が多くの研究で示されています。

まず脂肪酸の分類について簡単に触れておきましょう。脂肪酸は大きく 飽和脂肪酸不飽和脂肪酸 に分けられます。飽和脂肪酸はバターやラードなどに多く含まれ、常温で固まりやすい特徴があります。一方、不飽和脂肪酸はさらに 一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸 に分かれます。一価不飽和脂肪酸にはオメガ9脂肪酸が含まれ、オリーブオイルや菜種油が代表的です。

そして多価不飽和脂肪酸の中に、私たちの健康に深く関わる オメガ3脂肪酸オメガ6脂肪酸 が存在します。オメガ3脂肪酸には、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)などが含まれます。なかでも 海洋性オメガ3脂肪酸 と呼ばれるEPA・DHA・DPAは、魚やオキアミ(クリル)などの海洋生物に多く含まれ、健康への効果が特に高いとされています。

■ 海洋性オメガ3脂肪酸ががん生存率を改善する可能性

海洋性オメガ3脂肪酸ががんの死亡リスクを低下させる可能性については、多くの研究から示唆されています。今回はその中でも特に注目されている2つの論文をご紹介します。

■ 1. 大腸がんの死亡リスクを約40%低下(2017年・Gut 掲載)

2017年、医学雑誌「Gut」に発表された研究は、大腸がん患者1659人を対象に、診断後の食生活に関するアンケートを行い、海洋性オメガ3脂肪酸の摂取量と死亡率の関係を調べたものです。

研究の結果、海洋性オメガ3脂肪酸を 最も多く摂取している患者は、ほとんど摂取しない患者に比べて、およそ40%も大腸がんによる死亡リスクが低い ことがわかりました。

さらに興味深い点は、診断後にオメガ3の摂取量を増やした患者では、診断後も摂取量を変えなかった患者に比べて 約70%も死亡リスクが低かった ということです。

この結果から、がんの診断後であっても食生活を見直し、魚を積極的に食べることで海洋性オメガ3脂肪酸を補うことが生存率改善に役立つ可能性が示されました。

■ 2. がん全体の死亡リスクを約10%低下(2021年・Nature Communications 掲載)

二つ目は、2021年4月に「Nature Communications」に掲載された大規模解析研究です。これは17件の前向き研究を統合し、血液中のオメガ3脂肪酸濃度と死亡リスクの関係を調べたものです。

アンケートによる摂取量の推定ではなく、血液検査で実際のオメガ3濃度を測定していることから、より正確に体内の状態を反映している点が特徴です。

解析の結果、海洋性オメガ3脂肪酸の構成成分である EPA・DHA・DPAの血中濃度が高い人は、低い人に比べて、すべての種類のがんによる死亡リスクが約10%低くなる ことが示されました。

また、日本人を対象とした研究でも、血液中のEPAとアラキドン酸(オメガ6脂肪酸)の比率が高いほど、がんの死亡率が低いという結果が報告されています。これは、オメガ6脂肪酸に偏らず、オメガ3脂肪酸とのバランスを保つことが重要であることを示唆しています。

■ がん治療の副作用軽減にも期待

海洋性オメガ3脂肪酸は、がんの死亡リスクを低下させるだけでなく、 抗がん剤治療による副作用の軽減 にも役立つ可能性があります。

研究では、オメガ3脂肪酸が

  • 末梢神経障害(手足のしびれ)
  • ケモブレイン(記憶力・集中力など認知機能の低下)

といった副作用の発生や悪化を防ぐ作用を持つことが報告されています。

ケモブレインは、抗がん剤により日常生活に支障をきたすほど認知機能が低下する状態を指し、多くの患者さんが悩む副作用です。オメガ3脂肪酸の抗炎症作用や神経保護作用が、この症状の改善に寄与する可能性が考えられています。

■ どの食品から摂ればよい?──青魚・魚の缶詰が手軽で有効

海洋性オメガ3脂肪酸を豊富に含む代表的な食品は、以下のような 脂ののった青魚 です。

  • さば
  • いわし
  • あじ
  • さんま
  • ブリ
  • まぐろ
  • かつお
  • さけ

これらの魚は、白身魚に比べて格段にEPA・DHAが多く含まれています。

さらに、手軽に摂取できる選択肢として 魚の缶詰 があります。
特に、

  • いわし
  • さば
  • さんま

などの 水煮かば焼き の缶詰には多くのオメガ3脂肪酸が含まれています。料理の手間がかからず、保存も効くため、毎日の食事に取り入れやすい食品です。

ただし製品によってEPA・DHAの含有量は異なるため、購入の際は 成分表示を確認すること をおすすめします。

■ まとめ

■ まとめ

海洋性オメガ3脂肪酸は、炎症抑制や抗酸化作用などを通じて、がんの進行や再発のリスクを軽減する可能性があることが多くの研究で示されています。
特にEPA・DHA・DPAといった海洋由来のオメガ3脂肪酸を摂取することで、

  • 大腸がんの死亡リスクを約40〜70%低下
  • すべてのがんによる死亡リスクを約10%低下
  • 抗がん剤の副作用軽減にも寄与

といった効果が期待されています。

がんの診断後であっても、魚を中心とした食生活に切り替え、海洋性オメガ3脂肪酸を意識して取り入れることは、生存率を改善し、治療中の生活の質を高めるうえでも大きな助けとなる可能性があります。

これからの食生活に、ぜひ無理のない範囲で青魚や魚の缶詰を取り入れてみてください。

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