足の仕組みと病気について

足の仕組みと代表的な疾患について

――アキレス腱障害・足底腱膜炎・外反母趾を中心に――

私たちが日常生活を送るうえで、歩く・走る・立つといった基本動作を支えている「足」。その構造は非常に精密で、数多くの骨や腱、筋肉が連動しながら、身体全体のバランスや推進力を生み出しています。しかし、足は負担を受けやすい部位でもあり、過度な運動や長年の使用、歩き方の癖などによって様々なトラブルが生じます。本稿では、まず足の構造について整理し、その後「アキレス腱周囲炎」「アキレス腱断裂」「足底腱膜炎」「外反母趾」といった代表的な疾患について解説していきます。

■ 足の骨と関節の基本構造

■ 足の骨と関節の基本構造

足は手の構造とよく似ていますが、体重を支えるためにより強固で安定した形状を持っています。足の指は第1指(母趾)から第5指まであり、母趾は基節骨・末節骨の2つ、その他の指は基節骨・中節骨・末節骨の3つの骨から構成されます。

足の甲には、中足骨が5本並び、その根元には内側楔状骨・中間楔状骨・外側楔状骨・立方骨の4つの骨が配置されています。さらに足首に近い部分には舟状骨・距骨・踵骨(かかとの骨)が存在し、このうち距骨と踵骨が上下に重なる構造となっている点が、手との大きな違いです。

特に距骨は、脛骨と腓骨という2本のすねの骨に挟まれるように位置し、いわゆる「距腿関節(足関節)」を構成します。この関節は、主に背屈(足を上に反らす動き)と底屈(つま先を下に向ける動き)という上下方向の運動を担っています。

■ 足のアーチ構造と足底腱膜

足の骨は、横から見ると弓のようにアーチを描いています。アーチは以下の3つに区分されます。

・内側縦アーチ

・外側縦アーチ

・横アーチ

これらのアーチは、足底腱膜(足底筋膜)という強靭な腱膜によって支えられています。足底腱膜は踵骨から足先方向へ広がり、弓に張られた「弦」のように骨を引き締めることでアーチを維持しています。この構造により、歩行時やジャンプ時に、力を効率的に地面へ伝えることができます

■ 代表的な足の疾患

■ 代表的な足の疾患

ここからは、足に生じやすい4つの疾患について詳しく見ていきます。

① アキレス腱周囲炎(アキレス腱炎)

アキレス腱周囲炎は、アキレス腱やその付着部に炎症が生じる疾患で、ランニングやジャンプなどの反復動作により発症します。下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の力がアキレス腱を通じて踵骨に伝わるため、歩行・走行のたびに負荷が累積することが原因です。

● 主な症状

・かかとの上部やアキレス腱周囲の痛み

・運動開始時に強く、温まると軽快する傾向

・圧痛や熱感

● 治療(保存的治療が中心)

・安静にして足首を動かしすぎないことが最重要

・消炎鎮痛薬や湿布の使用

・アキレス腱への負担を軽減するサポーター・装具の装着

・ストレッチやリハビリは痛みが落ち着いてから段階的に実施

アキレス腱周囲炎は手術が必要となることはほとんどなく、適切な安静と装具による保護が治療の主体となります。

② アキレス腱断裂

アキレス腱断裂は、「ブチッ」という断裂音を感じることもある、急激な強い筋収縮によって起こる外傷です。ジャンプやダッシュの瞬間、下腿三頭筋が強力に収縮し、アキレス腱が耐え切れず切れてしまいます。

● 主な症状

・ふくらはぎやアキレス腱部に激痛

・歩行困難

・つま先立ちができない

● 診断:トンプソンテスト

ふくらはぎをつまむと、通常は足首が底屈(下に動く)しますが、断裂があると動きません。この簡易検査に加え、MRIで確定診断を行います。

● 治療

・基本は手術(アキレス腱縫合術)

・術後1〜1.5か月間はギプスまたは装具で固定

・その後リハビリを行い、機能回復を図る

アキレス腱は強固な組織ですが、一度断裂すると自然治癒は難しく、確実な治癒のためには手術が推奨される場合が多いです

③ 足底腱膜炎

足底腱膜炎は、足底腱膜が踵骨に付着する部分で炎症を起こす疾患で、ランナーや立ち仕事の人に多くみられます。足底腱膜は歩行のたびに伸縮しており、その繰り返しによる負担で炎症が生じます。

● 主な症状

・かかとの底部の痛み

・朝の第一歩が特に痛い

・長時間歩行後に悪化

● 治療

・症状が落ち着くまで可能な限り安静

・足底への負担を軽減するインソール(靴の中敷き)

・消炎鎮痛薬の使用

・ふくらはぎや足底のストレッチ

足底腱膜炎は治療に時間がかかることが多く、根気強い保存療法が求められます。

④ 外反母趾

外反母趾は、母趾が第2趾の方向へ「く」の字状に曲がり、母趾の付け根の関節が突出して見える状態を指します。この突出部分が靴に当たり、痛みを引き起こします。

● 原因

・遺伝的要因

・横アーチの崩れ

・つま先の細い靴の長期使用

・女性に多い傾向

第1中足骨が内側に倒れ、同時に母趾が外側に傾くことで足の横幅が広がるという構造的変化が起こります。

● 程度分類(外反母趾角)

20度以上:外反母趾

20〜30度:軽度

30〜40度:中等度

40度以上:重度

● 治療

市販・医療用ともに多くの外反母趾装具がありますが、決定的な改善効果のあるものは限られています。靴幅の調整やインソールの使用で痛みを軽減する保存治療が基本です。

重度(40度以上)の場合や痛みが強い場合は、手術による矯正が選択されることがあります

■ おわりに

■ おわりに

足は複雑な構造を持ち、私たちの身体を支える非常に重要な部位です。しかし、日常生活や運動によって大きな負担を受け続けており、様々な疾患が生じやすいという特徴もあります。痛みや違和感を早期に察知し、無理をせず適切な治療を行うことが、長く健康な足を保つために大切です。

今回取り上げた4つの疾患は、いずれも身近で発症しやすいものですが、構造と仕組みを理解しておくことで予防にもつなげることができます。足の健康を守るためにも、日々のメンテナンスと適切なケアを心がけていきましょう。