近年、健康や筋トレの分野だけでなく、医療現場でも注目されるようになった「ホエイプロテイン」。タンパク質を効率よく摂取できるサプリメントとして知られていますが、がん治療との関わりについても関心が高まっています。「ホエイプロテインを飲めばがんが治るの?」という質問もありますが、結論から言えば、ホエイプロテイン自体にがんを治す作用はありません。しかし、がん治療中や治療後の体力・栄養状態を維持するためのサポートとしては大きな意味があります。
本記事では、ホエイプロテインの基本的な特徴から、がん患者における栄養管理の重要性、具体的な摂取方法まで、丁寧に解説します。

ホエイプロテインは、牛乳からチーズを作る過程で残る「乳清(ホエイ)」から抽出されるタンパク質です。特徴として以下があります。
がん治療中の患者さんは、手術、抗がん剤、放射線治療などによって体力や筋肉量が減少しやすくなります。その原因は主に以下です。
この結果、体重減少や筋肉減少(サルコペニア)が進み、体力や免疫力が低下します。筋肉や体力が落ちると治療の耐性が下がったり、日常生活の質(QOL)が低下したりするため、十分な栄養補給が不可欠です。
ホエイプロテインは、不足しがちなタンパク質を効率的に補える食品として、治療中の体力維持に有用です。

インターネットや健康雑誌で「プロテインでがんが治る」といった情報を目にすることがあります。しかし、臨床試験でホエイプロテイン自体にがん細胞を縮小させる効果は確認されていません。
あくまで役割は次の通りです。
タンパク質量の目安
一般的ながん患者のタンパク質の目安は、体重1kgあたり1.0〜1.5g/日です。
例えば体重60kgの人なら、60〜90gのタンパク質を1日で摂取することが推奨されます。食事だけで足りない場合、ホエイプロテインを補助的に取り入れると効率的です。
摂取タイミングの例
1回あたりの目安は20〜30g。1日2〜3回に分けて摂取すると吸収効率も良くなります。
食事との組み合わせ方
このように食事に組み合わせると、消化吸収もスムーズで取り入れやすくなります。

医師や栄養士と相談して、自分の体調や治療計画に合った量を決めることが大切です。
一部の研究では、ホエイプロテインに含まれるアミノ酸やラクトフェリンなどが、免疫細胞の働きをサポートする可能性があります。ただしこれは間接的な効果であり、がん細胞を直接攻撃する作用ではありません。
とはいえ、免疫チェックポイント阻害薬などの新しい免疫治療では、体力や栄養状態が治療効果に影響することが分かっています。筋肉量や体力を維持することは、治療の成功に間接的に貢献する可能性があるのです。
ホエイプロテインは特に以下の患者さんに向いています。
ただし、食事で十分なタンパク質が摂れている場合は、必ずしも必要ではありません。
ホエイプロテインは、がんそのものを治療する薬ではありません。しかし、がん治療中の体力維持や栄養補助、筋肉量維持に役立つ食品です。
がん治療は体への負担が大きく、体力や栄養状態の維持が治療の効果や生活の質に直結します。ホエイプロテインはあくまで「補助」ですが、適切に取り入れることで、治療をより安全・効果的に進める手助けとなります。
がん治療中の栄養管理は、単に食事の量を増やすことではありません。筋肉や体力を維持し、治療に耐える力を整えることが重要です。ホエイプロテインを上手に活用することで、毎日の生活の質を少しでも維持しながら、治療に向き合うことができるでしょう。