感染症による敗血症:看護師も知っておきたいqSOFA(クイックソーファ)について解説

 敗血症とは、細菌やウイルスなどの感染症が原因で全身性の炎症反応が引き起こされ、臓器障害を伴う状態です。放置すると多臓器不全に至り、生命に危険を及ぼす重篤な疾患であるため、早期発見と迅速な対応が重要です。

 ICUではSOFAスコアを用いて詳細な評価が行われますが、一般病棟や外来では簡便なqSOFA(クイックソーファ)が役立ちます。

 今回は、看護師も活用できるqSOFAについて詳しく解説し、敗血症の早期発見につなげる方法を紹介します。


敗血症とは?

敗血症とは?

 敗血症は、感染症が原因で全身性の炎症反応(SIRS)が引き起こされ、臓器機能に障害をきたす状態を指します。主に以下のようなメカニズムで進行します。

敗血症の進行メカニズム

  1. 感染症の発生
    細菌やウイルスが体内に侵入し、局所で炎症が発生します。
  2. 全身炎症反応の波及
    局所炎症が全身に広がり、血液を通じて各臓器にダメージを与えます。
  3. 臓器障害の発生
    血流の低下や炎症反応の過剰な活性化により、腎臓や肝臓などの重要な臓器が機能不全に陥ります。

    ※敗血症が進行するとショック状態(敗血症性ショック)となり、急速に死亡率が高まります。重症度の評価は患者さんの予後や治療計画において重要です。

ICUで使われるSOFAスコアとは?

 SOFAスコアは、敗血症による臓器障害の程度を評価するためのスコアリングシステムです。以下の6つの臓器機能をそれぞれ0~4点で評価し、合計点を算出します。

 0   1  2       3           4      
呼吸機能
PaO2/FiO2
(mmHg)
400以上400未満300未満200未満
(人工呼吸)
100未満
(人工呼吸)
凝固機能
血小板数
(×10^3/μL)
150以上150未満100未満50未満20未満
肝機能
ビリルビン(mg/dL)
1.2未満1.2以上1.9以下2.0以上
5.9以下
6.0以上11.9以下12.0超
循環機能
平均動脈圧
(mmHg)
70以上70未満DA:5未満DA:5.1~15、
NA:0.1以下
Ad:0.1以下
DA:15超、
NA:0.1超、
Ad:0.1超
中枢神経機能
意識レベル(GCS)
1513~1410~126~96未満
腎機能
クレアチニン(mg/dL)
1.2未満1.2以上1.9以下2.0以上
3.4以下
3.5以上4.9以下、
尿量500mL/day未満
5.0超、
尿量200mL/day未満

※DA:ドーパミン、NA:ノルアドレナリン、Ad:アドレナリン

敗血症の診断基準
 • 感染症が疑われ、SOFAスコアが2点以上の増加を認めた場合、敗血症と診断されます。
 • SOFAスコアが高いほど死亡率が上昇し、11点以上では95%と報告されています。


一般病棟や外来で使えるqSOFAとは?

 SOFAスコアはICUでの精密評価に適していますが、一般病棟や外来では迅速な評価が難しい場合があります。そのため、簡便かつ迅速に評価可能なqSOFAが用いられます。

qSOFAの評価項目
qSOFAは、以下の3つの項目を評価します。2点以上を認めた場合、敗血症の可能性が高いとされます。

点数
意識レベルGCSが15未満1
呼吸回数22回/分以上1
収縮期血圧100mmHg以下1


 敗血症は急速に進行し、適切な治療が遅れると予後が悪化します。バイタルサインを確認し、qSOFAスコアを算出することで、迅速に敗血症のリスクを評価でき、治療につなげられます。


敗血症の治療の流れ

敗血症の治療の流れ

敗血症が疑われた場合、以下のような治療が迅速に行われます。

  1. 診断の確定
    o 血液培養や感染源の特定、炎症マーカーの測定。
    o 血液ガス分析や臓器機能評価。
  2. 抗菌薬の投与
    o 可能な限り早期に広域スペクトラムの抗菌薬を投与。
  3. 循環動態の安定化
    o 適切な輸液負荷を行い、循環血液量を確保。
    o 必要に応じて昇圧剤を使用し、血圧を維持。
  4. 臓器サポート
    o 人工呼吸管理や腎代替療法(透析)など、臓器機能を支える治療が行われます。

看護師が果たすべき役割

  1. バイタルサインの観察 :qSOFAの3項目を中心に患者さんの状態を頻回にチェックします。
  2. 迅速な医師への報告 :qSOFAスコアが2点以上の場合は、速やかに医師に報告し、診断と治療を促します。
  3. 患者さんと家族への対応: 状況を丁寧に説明し、不安を軽減するためのコミュニケーションを図ります。
  4. 治療の補助: 抗菌薬の投与や輸液管理、モニタリング機器の設定など、医師の指示に基づいて適切な対応を行います。

今回のまとめ

  1. 敗血症は感染症による臓器障害を伴う重篤な病態で、早期発見と迅速な治療が重要。
  2. ICUではSOFAスコアを用いた詳細な評価が行われるが、一般病棟や外来ではqSOFAが有用。
  3. qSOFAスコアの3項目(意識レベル、呼吸回数、血圧)で2点以上を認めた場合、敗血症を強く疑い、迅速に医師へ報告する。

敗血症の治療は時間との勝負です。

看護師がqSOFAを活用し、早期発見と適切な対応を行うことで、患者さんの救命率を高めることができます。日々の観察にぜひ取り入れてみてください。