舟状骨とは?

私たちが日常のなかで何気なく行っている動作の多くは、
体の細かな骨や関節の働きによって支えられています。
手首や足首の複雑な運動も例外ではなく、その中には

「舟状骨(しゅうじょうこつ)」

という、とても重要な役割を持つ骨が存在します。
名前の通り、舟のような形をしたこの骨は、
実は手にも足にも存在するという少し珍しい特徴があります。

本記事では、まず手の舟状骨について詳しく説明し、
その後に足の舟状骨についても触れていきます。

■ 手の舟状骨とはどんな骨?

■ 手の舟状骨とはどんな骨?

手首の骨は「手根骨」と呼ばれ、全部で8つあります。
これらは4つずつ2段に並んだ構造になっており、

  • 前腕に近い側:近位手根列
  • 指に近い側:遠位手根列

と分けられています。

この 近位手根列のうち、親指側の端に位置しているのが「舟状骨」 です。

形を見てみると、そら豆のようにくぼんでおり、昔の木製の小舟の形に
似ていることから「舟状骨」という名前がつけられました。

手は橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という前腕の2本の骨に、手根骨が
組み合わさることで複雑な方向へ動かせるようになっています。
舟状骨はその中でも、
橈骨との連結に大きく関わる骨で、手首の動きを支える要となる骨です。

■ 手の舟状骨が「医療でとても重要」な理由

舟状骨はその位置・形状・血流の特徴から、手根骨の中でも
特に臨床上重要な骨とされています。理由は主に次の2つです。

① 舟状骨骨折が起きやすい

転倒したとき、思わず手をついてしまうことがあります。
この動作は強い衝撃が手首に加わるため、橈骨の端が

押し潰されるように折れる「橈骨遠位端骨折」が起こることがありますが、
同時に 舟状骨がパカっと割れるように折れてしまうこともあります。
これが舟状骨骨折です。

② 骨折しても「くっつきにくい」

普通の骨であれば、ギプスで固定して安静にしておけば自然に骨癒合します。
しかし舟状骨は血流が非常に乏しい部分があるため、骨折すると

  • 骨がくっつかない(偽関節)
  • 骨が壊死する(舟状骨壊死)

という問題が起こりやすいのです。

血流不足は治癒を妨げ、反対側の骨が腐ってしまうことも
あるため、治療が難しく、整形外科でも注意が必要とされている骨です。

■ 舟状骨骨折が「見逃されやすい」理由

舟状骨骨折の厄介な点として、レントゲンで写りにくいという特徴があります。
骨折していても、角度によってはレントゲン上で線が見えず、
見逃されてしまうことが珍しくありません。

そのため、

  • 手をついたあとに痛みが続く
  • 親指側の手首が押すと痛い

などの症状がある場合には、舟状骨骨折を疑い、経過観察や
追加の画像検査(CT・MRI)を行う必要があります。

■ 舟状骨が治療で難しいと言われる理由

  1. 血流が乏しく、骨癒合しづらい
  2. レントゲンで折れているかどうか分かりにくい
  3. 見逃すと偽関節になりやすい
  4. 壊死(舟状骨壊死)まで進行することもある

こうした理由から、舟状骨骨折は整形外科でも
注意が必要な骨折として広く知られています。

■ 足にも存在する「舟状骨」

■ 足にも存在する「舟状骨」

ここまで手の舟状骨について解説してきましたが、実は
足にも「舟状骨」という同じ名前の骨があります。
混乱しないように整理しておきましょう。

足の舟状骨は、足首の少し前、内側にある比較的大きめの骨で、
やはりそら豆のようにくぼんだ形をしています。
名前の由来も同じく、舟のような形をしているためです。

足ではこの舟状骨が、

  • 土踏まず(アーチ)の形成
  • 足首の安定性
  • 足の荷重の受け渡し

などに関係しており、こちらも重要な役割を担っています。

■ 手と足の舟状骨の違いを整理すると

部位手の舟状骨足の舟状骨
位置近位手根列の親指側足首の前・内側
大きさそら豆のように小さい手よりやや大きめ
血流非常に乏しく骨癒合が悪い比較的良好
臨床上の問題骨折 → 偽関節・壊死のリスク捻挫・骨折はあるが壊死は稀
名前の由来舟のような形同じく舟のような形

手と足に同じ名前の骨がありますが、働きもトラブルの起こり方も異なります。

■ まとめ

■ まとめ

舟状骨は手にも足にも存在する骨であり、特に手の舟状骨は
骨折しやすく、しかも治りにくいという特徴を持つ非常に重要な骨です。

  • 手首の動きは橈骨・尺骨と手根骨の連携によって生まれている
  • その中で舟状骨は、手首の安定性と動きの中心的役割を担う
  • 舟状骨骨折はレントゲンで見逃されやすい
  • 血流が低いため偽関節や壊死に進行しやすく注意が必要
  • 足にも舟状骨があるが、役割と臨床的な特徴は手とは異なる

手をついて転倒したあとに親指側の手首が痛む場合、舟状骨骨折の可能性があります。
早期に整形外科で診断と治療を受けることが、後遺症を防ぐために非常に重要です。