三角筋とは

肩の動きを支える三角筋とは

私たちが日常生活で何気なく行っている「腕を上げる」「荷物を持ち上げる」「手を横に広げる」といった動作は、さまざまな筋肉の連携によって実現しています。中でも、肩まわりの動きの中心として活躍しているのが 三角筋(さんかくきん) です。
本記事では、肩の形と動きを決める重要な筋肉である三角筋について、構造や働きを丁寧に解説してまいります。

■ 三角筋の基本的な位置と形

■ 三角筋の基本的な位置と形

三角筋は肩の外側に大きく広がっている筋肉で、腕の付け根を包み込むように存在しています。肩を横から見たとき、丸いフォルムが感じられますが、その膨らみこそが三角筋です。

名前にある「三角」という言葉は、筋全体が扇状に広がり、逆三角形のような形に見えることからつけられました。肩甲骨や鎖骨といった複数の骨から上腕骨へとつながり、広い範囲で付着しているため、腕を多方向へ動かすことが可能になっています。

■ 三角筋は3つの部分からできている

三角筋はひとつの筋肉として語られることが多いものの、実際には性質の異なる3つの部位が組み合わさって成り立っています。それぞれの部位が担当する動きが明確に違うため、三角筋の働きを理解するうえで欠かせないポイントです。

① 前側を担当する「三角筋前部(鎖骨部)」

三角筋の中で最も体の前方に位置するのが前部です。鎖骨の外側から始まり、上腕骨の上部へ向かって伸びています。

この部分は、腕を体の前へ動かす「肩の屈曲」に大きく関わっています。たとえば手を前に差し出す、前方向に荷物を持ち上げるなど、生活の中で頻繁に行う動作を支える筋肉です。

また、スポーツではボールを投げる準備動作や、身体の前で物を扱う場面で特に重要になります。

② 肩の丸みをつくる「三角筋中部(肩峰部)」

三角筋の中央に広がる部分が中部で、肩甲骨の先端にある「肩峰」という骨の突起から始まります。この中部こそが、肩のふくらみを最も大きく形づくっている部分です。

役割として最も重要なのは、腕を横へ広げる 肩の外転 です。
横からまっすぐ腕を上げる動作は、ほとんどこの中部の働きによって支えられています。肩の可動域や腕の動きの滑らかさに直結するため、日常生活でも非常に重要な筋肉です。

③ 背中側を支える「三角筋後部(肩甲棘部)」

三角筋の後方に位置するのが後部で、肩甲骨の裏側にある「肩甲棘」という突起からスタートしています。肩甲骨は薄い板状の骨ですが、その一部が屋根のように突き出しており、そこに後部の三角筋が付着しています。

後部の主な働きは、腕を後方へ引く「肩の伸展」です。
背中側の物を取る、後ろに手を回すといった動作の際に後部が活躍します。普段は意識されにくい部分ですが、前部や中部とバランスよく働くことで肩の安定性を保つ大切な存在です。

■ 三角筋と注射の関係について

■ 三角筋と注射の関係について

三角筋は、医学の現場でもしばしば扱われる筋肉です。新型コロナウイルス感染症のワクチンやインフルエンザワクチンなどの筋肉注射は、この三角筋に打たれることが一般的です。

三角筋の奥には橈骨神経などの重要な神経が存在しますが、それらは筋肉から比較的離れた位置を走行しているため、通常の注射で神経を傷つける可能性は極めて低いとされています。

接種時の姿勢について「腕を伸ばした方がよいか、軽く曲げた方がよいか」といった議論が起こることもありますが、医療従事者は解剖学的な位置を理解したうえで、安全な角度と深さを保って注射を行っているため、どちらの場合でも基本的には問題ありません。

■ 三角筋が果たす大切な役割

■ 三角筋が果たす大切な役割

三角筋は、前・横・後ろという多方向の動きをそれぞれ担当する3つの部位によって構成されているため、肩を立体的に動かすための「中心軸」といえる存在です。

・前部は腕を前に
・中部は腕を横に
・後部は腕を後ろへ

このように、三角筋が連動することで、私たちはスムーズで自然な腕の動作が可能になります。スポーツや日常の動作はもちろん、姿勢の安定にも関与しているため、三角筋の働きは想像以上に広範囲に及んでいます。

■ まとめ

三角筋は肩の形を作るだけでなく、腕を思い通りに動かすための要となる筋肉です。前・中・後の三部位がそれぞれ異なる働きを担いながら、肩の動きを支えています。
人体の構造を知ることは、自分の身体をより大切にする第一歩です。三角筋のしくみを理解しておくことで、姿勢の改善や運動時のケガ予防にも役立つでしょう。