変形性腰椎症について

腰の重だるさや、疲れがたまったときに出てくる鈍い痛み。
多くの方が経験するこうした腰の不調の背景には、

変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)


と総称される背骨の変化が隠れていることがあります。

特に中高年以降では、年齢とともに背骨が少しずつ
変形していくため、日常の中で腰痛を感じる人は少なくありません。

この記事では、変形性脊椎症を中心に、腰痛の原因として
よくみられる「すべり症」や「分離症」についても詳しく解説し、
治療や対応のポイントを丁寧にまとめました。

■ 変形性脊椎症とは?

■ 変形性脊椎症とは?

変形性脊椎症は、加齢によって背骨の形が少しずつ変化し、
周囲の神経を刺激して痛みを生じる病気です。
特に腰に生じる場合は、変形性腰椎症 と呼ばれます。

背骨は、椎体という骨と、その間に挟まる
椎間板(クッションの役割)で構成されています。

レントゲンでは骨の形は確認できますが、椎間板は写らないため、
変形の状態を完全に把握するにはMRIなどが必要になることもあります。

● 加齢で起こる骨の変化

年齢を重ねると、椎間板の水分が減少し、クッション性が低下していきます。

その結果、骨同士に負担がかかり、周囲に

「骨棘(こつきょく)」

と呼ばれるトゲのような突起ができることがあります。

この骨棘が神経に触れると、腰の重だるさや違和感が生じます。

● 特徴的な症状

・腰の鈍い痛み
・だるさ、重さ
・長時間同じ姿勢を続けると痛みが悪化する
・疲労がたまると痛みが強くなる

日によって痛みの強さは変わりやすく、

「今日は楽だけれど、別の日はつらい」

といった波があるのも特徴です。

■ 知っておきたい2つのポイント

変形性脊椎症については、多くの方が誤解している点があります。
特に重要な点を2つ紹介します。

● ① 骨の変形の程度と痛みの強さは比例しない

レントゲンで大きな骨棘が見つかっても、まったく痛みのない人もいます。
逆に、軽度の変形で強い痛みが出る人もいます。

痛みは、神経への刺激、筋肉の緊張、生活習慣など
多くの要因が複雑に関わって生じるため、
画像だけでは痛みの強さを判断できません。

● ② 痛みが今後ずっと続くわけではない

変形性脊椎症は“老化現象の一部”ですが、
痛みが永続的に続く病気ではありません。

生活習慣の工夫や治療によって症状は改善し、
日常生活を問題なく送れるようになる方がほとんどです。

■ 腰痛の原因として多い「すべり症」

■ 腰痛の原因として多い「すべり症」

変形性脊椎症に関連して、背骨が前後にズレてしまう
腰椎すべり症 がみられることがあります。
特に多いのが 変性すべり症 と呼ばれるタイプです。

● 変性すべり症とは?

加齢によって椎間板や靭帯が弱くなり、背骨の一部が
前後にずれる病気です。
中年以降の女性に多く、特に「第4腰椎」でよく見られます。

・立っていると腰が重い
・疲れると痛みが増す
・脚にしびれや脱力感が出ることがある

このような症状が続く場合、すべり症の可能性があります。

■ 分離症と分離すべり症

すべり症のなかには、もう一つ別のタイプがあります。
それが 脊椎分離症 および 分離すべり症 です。

● 脊椎分離症とは?

背骨の一部(椎弓)が疲労骨折を起こして分離した状態を指します。
激しいスポーツ、特にジャンプや反り返りの動作が多い競技で
起こりやすく、成長期の子どもに多くみられます。

● このまま進行すると“分離すべり症”へ

分離した部分が不安定になり、椎体が前へずれると
分離すべり症 へ進行することがあります。

症状は腰の痛みが中心で、長く同じ姿勢を
続けると悪化しやすいのが特徴です。

■ 治療の基本は「保存療法」

変形性脊椎症、すべり症、分離症はいずれも、まず
保存療法(手術以外の治療) が基本となります。

● 1. 薬物療法

痛みを和らげる薬や、炎症を抑える薬が処方されます。
必要に応じて神経の興奮を抑える薬を併用することもあります。

● 2. 装具療法

腰を支えるコルセットを使用し、負担を軽減します。
すべり症では特に有効です。

● 3. 運動療法

背筋・腹筋を強化し、姿勢を安定させるトレーニングを行います。
腰痛予防には継続が重要です。

● 4. ブロック療法

神経の周囲に局所麻酔薬を注射して、痛みを一時的に和らげる治療です。

■ 保存療法で改善しない場合は手術へ

■ 保存療法で改善しない場合は手術へ

神経症状が強く、日常生活に支障が出ている場合は手術が検討されます。

● 代表的な手術:腰椎後方進入椎体間固定術

すべての症例で行うわけではありませんが、骨のずれが大きい場合には、
背骨を安定させるための固定術が選択されることがあります。

手術では、

・神経を圧迫している部分を取り除く「除圧」
・金属のスクリューで骨を正しい位置に固定する「固定」


を組み合わせて行います。

術後はリハビリを行い、筋力を取り戻すことで再発予防につながります。

■ まとめ

変形性脊椎症と関連疾患は、加齢や生活習慣に
よって発生しやすい“身近な腰の病気”です。

・骨の変形は痛みと必ずしも比例しないこと
・痛みはずっと続くものではなく、多くの場合改善すること
・適切な治療と生活の工夫が症状軽減につながること

これらを理解しておくと、不安を抱えすぎずに向き合うことができます。

腰痛は、「歳だから仕方ない」と放置するのではなく、適切に
対処すれば必ず改善の道がひらけます。

気になる症状がある場合は、早めに
専門医に相談し、正しい治療を受けることが大切です。