がん再発のチェック:たくさん検査するほうがいい?

がん再発のチェック:たくさん検査するほうがいい?

がんの再発チェックは多ければいい?少なければいい?──最新研究から考える最適な検査頻度

がんの治療後、多くの患者さんやご家族が気にされるのは「再発の可能性」です。手術や抗がん剤治療を終えたあと、定期的に行われる再発チェックは、安心のためだけでなく、早期発見の手段としても重要と考えられています。しかし、実際にどのくらいの頻度で検査を受けるべきかは、病院や主治医によって大きく異なります。

一般的には、腫瘍マーカーの血液検査と画像検査、特にCT検査を組み合わせて行うことが多いです。その頻度も、3か月おき、6か月おき、あるいは年に1回とさまざまです。患者さんのなかには「少しでも早く再発を見つけたい」と考えて、検査の回数を増やしたい方もいれば、「被爆のリスクや負担を考えて、できるだけ少なくしてほしい」と思う方もいるでしょう。

では、再発のチェックは多ければ多いほどよいのでしょうか。それとも、必要最低限で十分なのでしょうか。今回は、再発チェックの検査回数と生存率の関係について、代表的な研究結果をもとに解説します。

■ 大規模臨床研究から見る「検査回数と生存率」の関係

■ 大規模臨床研究から見る「検査回数と生存率」の関係

2018年に、アメリカの有名医学雑誌 JAMA に掲載された研究は、この疑問に大きな示唆を与えています。対象は、アメリカ国内の1175の病院で治療を受けた、大腸がんの患者8529人(ステージI~III)です。研究では、術後に行われる再発チェックの頻度が、再発発見までの期間や再発切除率、全生存率にどのように影響するかを比較しました。

● 再発チェックの多い病院と少ない病院の比較

  • 再発チェックが多い病院
    • CTなどの画像検査:3年間で平均2.9回(年1回程度)
    • 腫瘍マーカー(CEA):3年間で平均4.3回
  • 再発チェックが少ない病院
    • CTなどの画像検査:3年間で平均1.6回
    • 腫瘍マーカー(CEA):3年間で平均1.6回

つまり、検査が多い病院は、少ない病院の約2倍の検査を行っていました。

■ 検査の回数が多くても生存率は変わらない

■ 検査の回数が多くても生存率は変わらない

研究結果は非常に興味深いものでした。

  • 再発チェックが多い病院と少ない病院で、再発発見までの期間に差はなし
  • 再発が切除できた率にも差はなし
  • 全生存期間にも差はなし

画像検査の回数やCEA検査の回数が多くても、患者さんの生存期間にはほとんど影響がなかったのです。再発を早く見つけられたとしても、それが必ずしも生命予後の改善につながるわけではないことを示しています。

■ 他の研究でも同様の傾向

この結果は、他のがんの研究でも概ね同じ傾向が確認されています。がんの種類や使用する検査方法によって多少の違いはありますが、多くの研究で「再発チェックを多く行っても生存期間は変わらない」という結論が報告されています。

■ 検査の回数が多いことのデメリット

検査の回数が多いと、患者さんには次のような負担がかかります。

  1. 時間的負担
    通院や検査準備など、生活への影響が大きいことがあります。
  2. 経済的負担
    検査費用が増えることで、患者さんやご家族に負担がかかります。
  3. 放射線被爆のリスク
    CT検査などでは微量ですが放射線被曝があります。頻繁に検査することで、将来的なリスクが増える可能性があります。

これらのデメリットを考えると、必要以上に検査を増やすことが必ずしも良いとは言えません。

■ 検査回数の決まりはない

結論として、がんの再発チェックの検査回数や間隔には決まりはありません。患者さんのがんの種類、ステージ、手術内容、悪性度などによって、主治医が最適な頻度を判断しています。検査回数が多いほど良いわけではなく、むしろ適切な間隔で行う方が、患者さんの負担やリスクを減らせると考えられます。

■ 不安な場合は主治医に相談を

■ 不安な場合は主治医に相談を

患者さんのなかには、「もしこの数か月の間に再発していたらどうしよう」と、不安に思う方もいらっしゃいます。そのような場合は、自己判断で検査回数を増やすのではなく、主治医と相談しながら決めることが大切です。

  • 検査の回数が少ない場合でも、科学的根拠に基づいた適切なフォローであれば問題はありません。
  • 不安や症状の変化がある場合は、追加検査を相談することができます。
  • 検査間隔や内容は、患者さんの希望やライフスタイルも考慮して調整可能です。

■ まとめ

  1. 再発チェックは、腫瘍マーカーと画像検査を組み合わせることが一般的です。
  2. 検査の頻度は病院や患者さんの状況によって異なり、決まった基準はありません。
  3. 研究によると、検査回数が多くても再発発見までの期間や生存期間に大きな差はありません。
  4. 検査が多すぎると、時間的・経済的負担や被爆リスクなどのデメリットがあります。
  5. 不安がある場合は、主治医とよく相談して、適切な間隔で検査を受けることが推奨されます。

再発チェックは、あくまで患者さんの安心や治療の参考に行われるものです。過剰な検査で不安を増やすよりも、患者さんの状態や希望に応じた適切な検査を行うことが大切です。日々の生活や体調の変化に注意しながら、医療スタッフと連携してフォローしていきましょう。