私たちは普段の生活のなかで多少の体調の変化があっても、「しばらく様子を見てみよう」と考えることが少なくありません。しかし、なかには早く気づくことで命を守れるサインが潜んでいることがあります。そのひとつが「がんの症状」です。
以前、がんのサインとして「体重が減ってくること」を取り上げました。体重が減ることで見つかったがんの約半分が、すでに病気が大きく進んだ段階であったという報告があるため、注意が必要だという内容でした。
今回はそれよりもさらに、重い状態で見つかる割合が高い“キケンながんの症状”についてお話しします。2020年に国際的な医学誌で発表された、イギリスでの研究が元になっています。この研究では、約8千人のがん患者さんを調べ、どんなサインで見つかったときに病気が重くなっていることが多いのかを詳しく分析しています。
調べられた症状は20種類。その中でも、もっとも深刻な状態で見つかりやすかった症状を、上位5つ取り上げていきます。

もっとも重い状態で見つかる割合が高かったのは「首のしこり」でした。なんと 80% の人が病気がだいぶ進んだ状態だったという結果です。
首にしこりができた場合に多かったのは、口の奥やのどの病気が進んだもの、次に肺の病気が首のリンパ節に広がったものです。
もちろん、首のしこりの原因がすべて深刻というわけではありません。風邪やむし歯、喉の炎症でもしこりが出ることはあります。しかし、がんが関わっているしこりには特徴があります。
こうした特徴がある場合は放置せず、内科や耳鼻科を受診するのが安全です。
2番目に危険度が高かったのは「胸の痛み」です。こちらは 62% の人が重い状態で見つかっています。
胸の痛みで見つかったがんのうち、大部分を占めていたのは肺の病気でした。
通常、肺自体には痛みを感じる神経が多くないため、痛みが出る頃には病気が周囲の組織に及んでいることが多いと考えられます。
胸の痛みは、心臓や筋肉、胃の不調など原因がさまざまですが、「普段の痛みと違う」「息を吸うと痛い」「長引く」といった場合は要注意です。

3番目は「背中の痛み」で、こちらも 61% の人が進行した状態でした。
背中の痛みで見つかったがんの約9割は肺がんであり、肺の病気が後ろ側に広がって出るサインのひとつと考えられています。
背中の痛みも多くの人が日常的に経験する症状ですが、「今までにない種類の痛み」「横になっても治らない」「何週間も続く」といった場合には、念のため検査を受けることが安心につながります。
4番目は「息苦しさ」で、 56% の人が進行した段階でした。
これも肺に起きた病気が広がったときに起こりやすい症状です。
肺が大きくふくらめなくなったり、胸の中に水がたまることで呼吸がしづらくなることがあります。「ちょっと動いただけで息が切れる」「前より息が浅い」「深呼吸ができない」など、いつもの呼吸と違うと感じたら早めに相談することが大切です。
5番目は「呼吸器の感染」、つまり 肺炎などの症状をきっかけに見つかった肺がん です。
肺の中の空気の通り道がふさがれてしまうと、その部分が炎症を起こしやすくなり、肺炎をくり返すことがあります。このような形で病気が見つかることも少なくありません。
「風邪や肺炎が治りにくい」「同じ場所の肺炎を何度もくり返す」というのは、注意したいサインです。
ここまで紹介した5つの症状には共通点があります。
・長引く
・いつもと違う
・痛みや息苦しさがある
・「気のせい」では済まない変化を感じる
特に「痛み」は、がんが進んだ場合に出やすいサインとされており、胸や背中の痛みが続く場合は慎重に対応したいところです。
今の時代、病院やクリニックを受診しづらいと感じている人も多いと思います。しかし、今回紹介したような症状が 2週間以上続く場合は、早めに医療機関に相談することが非常に大切 です。
がんは「早く見つかるほど治療の幅が広がる」病気です。
そして、危険なサインを知っておくことが、ご自身の命を守ることにつながります。

今回紹介した「キケンながんの症状」は次の5つでした。
すべての症状ががんに結びつくわけではありませんが、これらのサインが続く場合は、早めに受診して原因を確かめることが安心への近道です。
「気になるけど、忙しいからまた今度」「様子を見れば治るかも」と先延ばしにしてしまいがちですが、早く気づくことで守れる命があります。
ぜひ、この機会にご自身や身近な人の体調の変化に、少しだけ敏感になってみてください。