膝関節は、からだの中でも特に負担の大きい関節です。
歩く・走る・しゃがむといった日常の動作はもちろん、
スポーツでの急な切り返し動作やジャンプの着地など
でも力がかかるため、障害が起こりやすい部位といわれています。
この記事では、膝を支える4つの主要な靭帯、代表的な靭帯損傷の症状
と治療、そして半月板の役割と損傷について、丁寧に解説していきます。
膝関節は、基本的に
「曲げる」
「伸ばす」
という前後方向の動きに特化した関節です。
肩や股関節のように大きく回したり、横に大きく
揺らす動きは本来できない構造になっています。
それでも私たちが安心して歩けるのは、膝の周りに
ある靭帯が、関節をしっかり安定させているからです。

膝を安定させる靭帯は4つあり、それぞれが
異なる方向へのぐらつきを制御しています。
これらの靭帯は日常生活で常に働いており、
膝が無理な方向へ動かないよう守ってくれています。
スポーツ選手に特に多く、膝の靭帯損傷の中でも最も知られているものです。
ジャンプの着地や急な方向転換で膝が内側にねじれたときに
発生しやすく、「ブチッ」という断裂音を感じる人もいます。
ACLが切れているかどうかは、いくつかの検査で確かめられます。
・前方引き出し検査:脛骨が前に引き出されるかを確認する
・Pivot shift test:膝をひねりながら安定性をチェックする
どちらもACLが正常に働いているかを評価する重要な検査です。
ACL損傷の特徴として、次の3点が非常に重要です。
手術では、切れてしまったACLの代わり
となる腱を体の別の場所から採取します。
・半腱様筋腱
・大腿四頭筋腱
などが代表的です。
大腿骨と脛骨に細いトンネルを作り、その中に代用の腱を通して
固定することで、新しい靭帯として再生していきます。
PCLはACLよりも強力な靭帯ですが、強い衝撃が
脛骨前面に加わったとき(交通事故、転倒など)に損傷することがあります。
・後方押し込み検査(Posterior drawer test)
で脛骨が後ろへずれないかを確認します。
PCL損傷はACL損傷に比べて自然治癒しやすい傾向
がありますが、重症の場合は手術を検討します。
膝が横方向へぐらつく力を受けたときに損傷します。
膝に外側から力が加わって内側へ押し込まれることで損傷します。
・外反ストレステストで内側の不安定性を確認します。
MCLは血流が比較的良いため、保存療法で
改善することが多い靭帯です。
膝に内側からの力が加わり、膝が外側へ倒れることで起こります。
・内反ストレステストで外側の不安定性を確認します。
LCLはMCLより治りにくく、損傷が大きい場合は手術を検討します。

膝の中には、「半月板」という軟骨組織があります。
・外側半月
・内側半月
の2つが存在し、これがクッションとして
働き、膝にかかる衝撃を吸収します。
全体の約1割の人は、生まれつき外側の
半月板が「三日月形」ではなく「円盤状」になっています。
この形状の場合、通常の半月板に比べて断裂が起こりやすい傾向があります。
半月板は特に内側部分の血流が乏しく、
外側の30%ほどしか血液が届きません。
そのため、
・外側の血流がある部分の断裂は縫合すれば治る
・内側の血流がない部分の断裂は縫合しても治らない
という違いがあります。
膝を曲げ伸ばしする動作では、半月板も一緒に滑るように動いています。
もし半月板に断裂があると、その断端が関節内で引っかかり、痛みが生じます。
この引っかかりを再現する検査を行うことで、損傷の有無を判断します。
・膝の屈伸
・回旋
といった動作中の痛みが重要なサインです。

膝関節は、全身の中でも最も複雑な仕組みを持ち、同時に大きな負担を受ける関節です。
そのため、靭帯損傷や半月板損傷などの障害が起こりやすいのですが、
・どの靭帯が損傷しているか
・半月板のどの位置が傷ついているか
によって治療方針は大きく異なります。
膝に違和感がある場合、自己判断せず整形外科で診察を受けることが大切です。
早い段階で適切な治療を受けることで、将来のスポーツ復帰や
日常生活への支障を最小限にすることができます。