がん患者さんの不安・心配・精神的ストレスに負けない「折れない心」のつくり方5つ

がん患者さんのための「折れない心」をつくる方法

がん患者さんのための「折れない心」をつくる方法

がんと向き合っている方の多くは、日々さまざまな不安や心配を抱えながら生活しています。がんと診断されたときのショックは非常に大きく、心の負担は計り知れません。診断を受けて間もない時期は、気持ちが大きく揺れ動き、何も手につかないこともあります。時間とともに少しずつ落ち着きを取り戻していくといわれていますが、だからといってその後の不安がすべてなくなるわけではありません。

治療がうまく進んでいるときでも、「この先どうなるのだろう」「また悪くなってしまうのではないか」という気持ちは自然とわいてきます。また、仕事のこと、お金のこと、今後の生活のことなど、現実的な不安も重なることがあります。定期的に行われる検査の結果が出るまで落ち着かない、少し体調を崩しただけで「再発では?」と心が揺れる……そんな状況は、決してめずらしいものではありません。

さらに、治療がひと段落した後に再発がわかったときのショックは、告知を受けたとき以上に大きいこともあります。「あれだけ頑張ったのに」と思うほど、深い落ち込みに包まれてしまうこともあるでしょう。

こうした心の負担があまりにも強く、長く続いてしまうと、生活に影響が出たり、治療を続ける意欲がわかなくなってしまうことがあります。心の健康は「気持ちの問題」と片付けられがちですが、実は体の状態にも大きく関わっています。気持ちが弱ってしまうと体力も落ち、逆に前向きな気持ちが保てていると体の回復がスムーズになることもあります。それほど「心」は治療にとって大切な力を持っているのです。

とはいえ、大きな不安をすべてなくすことは誰にもできません。そこで今回は、がんと向き合う中で心を守り、少しでも「折れない心」に近づくための5つの方法をご紹介します。

1.家族や身近な人に話を聞いてもらう

不安をひとりで抱え込んでしまう方は少なくありませんが、気持ちを誰かに打ち明けるだけでも心はずいぶん軽くなります。解決策が見つからなくても、「話す」こと自体に大きな意味があります。

中には、「家族を心配させたくない」「余計な負担をかけたくない」と思って黙っている人もいます。しかし、気持ちを押し込めてしまうことで心が限界に近づいてしまうと、かえって周りの人が心配することになりかねません。家族や信頼できる友人に「少しだけ話を聞いてほしい」と伝えてみてください。あなたの気持ちに寄り添おうとする人は必ずいます。

2.不安なことをノートに書き出してみる

心配ごとが頭の中でぐるぐると回り続けていると、気持ちはどんどん重くなっていきます。そんなときには、思いついた不安をすべてノートに書き出す方法が効果的です。

書き出してみると、同じ不安が繰り返し浮かんでいることや、考えてもどうしようもないことをずっと気にしていたことに気づくかもしれません。また、頭の中だけで考えていると不安が大きく見えがちですが、紙に書くことで不思議と冷静になれることがあります。

「気になること」「怖いと思うこと」「怒りを感じたこと」など、どんな小さなことでもOKです。書くことで自分の心を整理し、感情を客観的に見ることができるようになります。

3.好きなことをする時間を意識してつくる

気持ちが沈んでいると、何もしたくない日もあるでしょう。それでも、ほんの少しでよいので「自分の好きなこと」を試してみてください。気分転換は心のケアにとても大切です。

お気に入りの音楽を聴く、好きな動画を見る、散歩してみる、趣味に触れるなど、あなたの心が少しでも軽くなるものなら何でも構いません。

また、「笑うこと」は体にも心にも良い影響があることが知られています。お笑い番組やコメディ映画を見て思いきり笑うと、緊張していた心がゆるみ、気持ちがふっと軽くなることがあります。「笑い」は心の体力を回復させてくれる、手軽で力強い方法のひとつです。

4.主治医や看護師、専門の相談窓口に相談する

4.主治医や看護師、専門の相談窓口に相談する

治療に関する不安や疑問は、遠慮せず主治医や看護師に相談してください。質問してみることで、気になっていたことが解決し、不安がやわらぐことがあります。治療について十分に理解できていないことが、不安の原因になっている場合も多いものです。

また、「眠れない」「落ち着かない」など、日常生活に影響するほど気持ちがつらいときには、病院の相談窓口を利用することをおすすめします。

全国のがん診療連携拠点病院には「がん相談支援センター」が設置されており、治療のことだけでなく、お金や仕事、生活に関する不安も無料で相談できます。通院している病院以外でも利用できるので、気軽に問い合わせてみてください。

さらに、「日本対がん協会」では、電話で相談できる「がん相談ホットライン」も開設しています。専門の相談員が丁寧に話を聞き、あなたの状況に合ったアドバイスをしてくれます。

5.心療内科や精神科など専門の医療機関に相談する

心のつらさが強く、「生活に影響が出ている」「気持ちが追いつかない」という場合は、心の専門家に相談することを検討してください。日本では、がん患者さんの心のケアがまだ十分に知られていませんが、専門家のサポートはとても重要です。

とくに、不安や恐怖で眠れない、食事がとれない、何も手につかないなどの状態が続くときには、主治医に相談して、心療内科や精神科、精神腫瘍科を紹介してもらうとよいでしょう。近くにメンタルクリニックがあれば、直接受診してもかまいません。

心の調子を整えることは、決して弱さではありません。「心が苦しい」と感じたときに専門家に助けを求めることは、あなたが自分自身を大切にしている証拠です。

おわりに

おわりに

がんと向き合う中で、不安や恐怖をまったく感じない人はいません。心が折れそうになるのは、あなたが弱いからではなく、それだけ真剣に向き合っている証です。

今回ご紹介した5つの方法は、どれも特別なものではありませんが、続けることで心の負担を少しずつ軽くし、前を向く力を取り戻す助けになります。

どうか、自分ひとりで抱え込まず、頼れるものには遠慮なく頼ってください。あなたの心が少しでも穏やかに過ごせるよう、応援しています。