私たちの身体を支える「足」は、日常生活のすべての動作に関わる大切な部位です。しかし、足は複雑な構造をしているため、さまざまな疾患が起こりやすい場所でもあります。今回は特に多くみられる5つの病気を中心にまとめて解説いたします。

偏平足は広く知られた足の変形で、足裏のアーチが崩れ、土踏まずが地面に接するように平らになった状態です。関節リウマチの患者にみられることもありますが、リウマチ以外でも発症します。原因は完全には解明されていませんが、足底のアーチを保つ筋力の衰えや靭帯の緩みなどが影響していると考えられています。
正常な足では、足の骨がアーチを描くように並び、足底腱膜がそれを支えることで、衝撃吸収の役割を果たします。しかし偏平足では骨が地面にべったりと接してしまい、アーチが消失しています。
偏平足が進行すると、踵の骨(踵骨)の上にある距骨が内側へ倒れこみ、足首の内側が大きくくびれる「外反変形」を伴うことがあります。これが「外反偏平足」です。足首の骨が本来の位置から崩れていく様子は、動画などで確認すると非常に理解しやすく、距骨が内側へ傾く過程がよくわかります。
偏平足や外反偏平足は強い痛みを伴わないことも多く、手術になることは稀です。主な治療は保存療法で、特に アーチサポート付きのインソール がよく使用されます。土踏まずを支えることで衝撃吸収を補助し、進行を抑える効果が期待できます。
足関節捻挫は日常でもスポーツでも頻繁に起こる外傷です。多くの場合、足首を内側へひねる「回外」動作で生じ、外側にある前距腓靱帯が最も損傷しやすい部位です。
靱帯は本来、関節の安定を保つために存在しており、異常方向への動きを防ぎます。しかし強いひねりが加わると、靱帯が伸びたり断裂することで捻挫が起こります。
足首には複数の靱帯がありますが、特に外側の前距腓靱帯が損傷の中心で、捻挫の多くはこの靱帯の部分断裂または完全断裂を含みます。
前距腓靱帯は関節包の外側にあるため血流が良く、自然治癒力が高い靱帯です。したがって 手術ではなく保存治療が基本 となり、足首の動きを制限するサポーターや装具が用いられます。

捻挫と似たメカニズムで発生しますが、靱帯の強さが勝っている場合には靱帯ではなく骨が負け、外くるぶし(外果)の部分が骨折することがあります。
特に足首を強くひねった際、腓骨が上下にずれるように折れ、これを外果骨折と呼びます。また、強い回外で距骨が内くるぶしを押すと、内くるぶしが骨折することもあります。
踵骨(かかとの骨)は、人体で最も大きな足の骨であり、強い衝撃を受けると複雑な骨折を起こします。特に高所からの落下時に発生しやすく、卵を割ったようにさまざまな方向へ割れるため、骨折の型は非常に多様です。
踵骨は距骨との間に複雑な関節面を持っています。骨折によりこの関節面に段差ができると、体重が集中して大きな負担がかかるため、痛みが残りやすいという特徴があります。手術で段差を整復しても完全に元の状態に戻すのは難しく、長期的な不快感が残ることもあります。

関節リウマチは全身の関節に炎症と変形を引き起こします。足も例外ではなく、以下のような変化がみられます。
レントゲンでは、足の指の付け根にあたるMP関節が上下にずれる特徴的な変形を示します。骨が皮膚側へ突出するため、タコや痛みが強くなり、手術が必要となるケースもあります。一般的な手術では、突き当たりを作る中足骨の先端を切除し、骨の位置関係を改善する方法が用いられます。
通常、加齢による足首の変形は少ないのですが、リウマチの場合は軟骨が大きくすり減り、関節が潰れてしまうほどの変形が起こることがあります。その場合、関節鏡手術、足関節固定術、人工関節置換術などが検討されます。しかし、人工足関節は膝に比べ耐久性が低く、10〜15年で再手術が必要となる例も多いため、慎重な判断が必要です。
足の病気は日常生活に大きな影響を与えますが、正しい知識を持つことで早期発見・早期治療が可能になります。偏平足から捻挫、骨折、そしてリウマチによる変形まで、足の状態は全身の健康を映す鏡ともいえるため、違和感を感じた際には早めの受診が大切です。
この記事が皆さまの健康管理の一助となれば幸いです。