日本では、年間およそ9万人の女性が新たに乳がんと診断されています。これは、女性のがん全体の約20%を占め、働き盛りの世代を中心に大きな脅威となっています。乳がんの発症には、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関わっており、このホルモンにさらされる期間が長いほど、発症リスクが高まることが知られています。また、喫煙や飲酒、肥満、食生活といった生活習慣も一部の乳がんに影響を及ぼすと考えられています。
こうした背景の中、特に注目されているのが 食事と乳がんリスクの関係 です。過去の研究により、野菜やフルーツを多く摂取する女性は乳がんのリスクが低いことが示されてきました。近年、海外から発表された非常に大規模な研究により、どのような種類の野菜やフルーツが乳がん予防に有効なのか、さらに詳しいことが明らかになっています。

2019年、 International Journal of Cancer にアメリカから大規模な疫学研究が報告されました。この研究では、27〜59歳の女性看護師182,145人を対象に、フルーツや野菜の摂取量をアンケートで調査。平均23.7年という長期にわたって追跡し、その間に約1万人が乳がんを発症しました。
研究では、総摂取量だけでなく、特定の種類のフルーツや野菜の摂取量と乳がん発症との関連が詳細に分析されました。さらに、乳がんの種類(ホルモン受容体の有無、HER2の状態など)との関係についても検討されています。

研究の結果、以下の重要な事実が明らかになりました。
サービング量の目安は、
と、日常的に取り入れやすい量です。
さらに、
という、乳がんのタイプ別でも興味深い効果が示されています。
特に乳がん予防に関連がみられたフルーツは、以下の2つでした。
これらは、とくにER陰性乳がんのリスク低下と関連していました。ベリー類に豊富なポリフェノールは抗酸化作用に優れ、細胞のダメージを抑える働きが知られています。
乳がん予防に効果的とされた野菜は次のとおりです。
特に、ブロッコリーやカリフラワーといったアブラナ科の野菜 が注目されました。これらには ファイトケミカル と呼ばれる天然成分が多く含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用を通して、がん細胞の発生や増殖を抑える可能性があります。
また、悪性度の高いタイプの乳がんに対しても、これらの野菜がリスク低下に寄与していることは大きな意味を持ちます。

今回の研究から得られた重要なメッセージは、
「毎日の食事に、より多くの野菜とフルーツを取り入れることが乳がん予防につながる」
という点です。
特に以下を意識するとよいでしょう。
味や調理法のバリエーションも豊富で、日常の食卓に無理なく取り入れられる食材ばかりです。
乳がんは早期発見が重要であると同時に、日々の生活の中でリスクを下げる工夫も大切です。今回紹介した大規模研究は、フルーツや野菜の積極的な摂取が乳がん予防に役立つことを明確に示しました。
毎日の食事に彩り豊かなフルーツや野菜を加えることが、未来の健康への確かな一歩となります。健康的な食生活を楽しみながら、乳がん予防に役立ててみてはいかがでしょうか。