くも膜下出血での脳室・脳槽ドレーン管理と看護について解説【なぜ外耳孔に合わせる?】

 寒い冬の季節になると脳卒中の患者さんの救急搬送が増加します。その中でもくも膜下出血は非常に重篤な疾患です。患者さんの約1/3が社会復帰を果たせる一方、残り2/3の患者さんは何らかの後遺症を抱えたり、最悪の場合、命を落とすこともあります。

 このようなくも膜下出血ですが、治療中に再出血が発生することが最も恐れられます。再出血が起きると、頭蓋内に大量の血液が溜まり、頭蓋内圧亢進や脳ヘルニアといった致命的な状態に進展するリスクがあります。看護師はこれらの兆候を早期に発見し、迅速な対応を行う必要があります。


再出血を疑う兆候

再出血を疑う兆候

再出血の可能性がある場合、次のような神経学的異常が観察されることがあります。
 • 強い頭痛
 • 嘔吐
 • 意識障害
 • 麻痺
 • 瞳孔左右差(特に動眼神経の圧迫によるもの)
 瞳孔の左右差は、脳出血や脳ヘルニアが進行している可能性を示す重要なサインです。患者さんが術後鎮静状態である場合、これらの神経学的所見を観察することは難しい場合もあります。

そのため、こうした場面では脳室ドレーンや脳槽ドレーンの管理が重要な役割を果たします。


脳室ドレーンの役割

 脳室ドレーンは、脳室内の髄液や血液を排出するために挿入されるチューブです。特に脳の側脳室に向けて留置され、頭蓋内圧(ICP)の管理や髄液循環の調整に利用されます。

水頭症との関係

 くも膜下出血が発生すると、出血による血液成分が髄液の吸収を担うくも膜顆粒を目詰まりさせます。その結果、髄液の産生と吸収のバランスが崩れ、髄液や血液が脳室に溜まってしまう水頭症に進展することがあります。

 水頭症の進行は頭蓋内圧の上昇や脳ヘルニアを引き起こすため、ドレーンを用いて髄液や血液の排出を促す必要があります。


脳槽ドレーンの役割

 脳槽ドレーンは、くも膜下腔内に溜まった血液や過剰な髄液を排出するために使用されます。特にくも膜下腔内で最も広い脳槽部分に溜まった血液成分を排出する役割があります。

出血成分の影響

 血液成分が放置されると、髄液循環を妨げるだけでなく、脳血管攣縮を引き起こし、脳虚血やさらなる合併症を招くリスクがあります。これを防ぐため、脳槽ドレーンを用いて適切に排液を管理することが重要です。


ドレーン管理と注意点

ドレーン管理と注意点

排液の性状の変化を観察

 脳室ドレーンや脳槽ドレーンの排液は、術後しばらくは血性排液であることが一般的ですが、次第に透明な髄液へと変化していきます。
 しかし、再び血性排液に変化した場合は、再出血の可能性を疑わなければなりません。再出血は緊急性の高い状態であるため、排液の性状変化を確認次第、速やかに医師に報告することが必要です。


排液量とゼロ点の調整

 ドレーンは主に開放式ドレーンが使用され、モンロー孔を基準としたゼロ点を基に管理されます。モンロー孔は外耳孔と同じ高さにあるため、ゼロ点を外耳孔に合わせることで頭蓋内圧を適切に管理することができます。
 • 排液量:正常な髄液産生量は1日約500ml(1時間当たり約20ml)です。これを基準として、排液量が多すぎる場合はドレーンのクランプや設定圧の調整が必要になります。過剰な排液は低髄圧症候群を引き起こし、急性硬膜下血腫などのリスクを伴います。
 • 液面拍動:ドレーン内の液面が拍動しているかを確認することで、ドレーンの目詰まりがないかを判断します。拍動が認められない場合は、詰まりが発生している可能性があるため、速やかに報告しましょう。


看護師の役割と注意点

看護師の役割と注意点

1.ドレーン排液の観察
 o 血性から透明への変化を確認し、再び血性排液になった場合は速やかに報告。
 o 排液量が基準を超えていないか、または少なすぎないかを評価。

2.ドレーンの高さ調整
 o 外耳孔を基準にゼロ点を合わせ、適切な圧管理を維持。

3.異常の早期発見
 o 神経学的所見(意識レベル、瞳孔左右差、麻痺)の変化を注意深く観察。
 o 液面拍動の有無を確認し、詰まりの可能性があれば即座に対応。


まとめ

 • 脳室ドレーンと脳槽ドレーンはくも膜下出血の治療・管理において重要な役割を果たす。
 • 排液の量や性状、液面拍動を日々観察することで、再出血や頭蓋内圧の変動を早期に察知可能。
 • ゼロ点を外耳孔に合わせる理由は、モンロー孔の高さと一致しているため、正確な頭蓋内圧管理を行うためである。

適切なドレーン管理を通じて、患者さんの状態改善と合併症予防に努めていきましょう。