乳がんの再発・転移を防ぐ7つの食品

―研究報告から読み解く日々の食生活へのヒント―

日本人女性に最も多いがんは乳がんです。2019年には約9万2,200人が新たに診断され、いまや「11人に1人」が乳がんを経験する時代となりました。治療成績は向上していますが、乳がんは治療後も長期にわたる経過観察が必要な疾患であり、再発予防に向けた生活習慣の見直しは、多くの患者さんにとって重要な関心事です。

一方で、現時点で乳がんの再発を確実に防ぐ食事療法や特定食品は存在していません。ランダム化比較試験で有効性が示された食品もなく、食事についての統一したガイドラインも整備されていません。しかし、多くの疫学研究や基礎研究の蓄積から、いくつかの栄養成分が乳がんの進行や再発に関与する可能性があると報告されています。

2016年、栄養学雑誌 Nutrients では「乳がん再発を減らすための栄養成分」についての総説が発表され、
ポリフェノール ②フラボノイド ③イソフラボン
の3成分に注目が集まりました。以下では、これらの成分を豊富に含む食品の中から、再発予防に役立つ可能性が示唆されている7つを紹介します。

1.オリーブオイル(エキストラバージン)

1.オリーブオイル(エキストラバージン)

オリーブオイルにはポリフェノールの一種であるフェノール酸が豊富に含まれ、古くから抗がん作用が期待されてきました。特にエキストラバージンオリーブオイルに含まれる「オレオカンタール」は、がん細胞を選択的に傷害する可能性が示されています。
2015年のスペインの研究では、エキストラバージンオリーブオイルを多く取り入れた地中海式食事が乳がん発症率を約70%低下させたと報告され、注目が高まっています。

2.たまねぎ

たまねぎには強力な抗酸化作用を持つフラボノール「ケルセチン」が多く含まれています。また硫化アリルやイソチオシアネートなど抗酸化成分も豊富で、細胞損傷を抑える働きが期待されています。近年は新たな成分「オニオンA」も発見され、がん研究の対象となっています。

3.ブロッコリー

ブロッコリーやブロッコリースプラウトには、フラボノールに加えて「スルフォラファン」という成分が含まれています。スルフォラファンは細胞の酸化ストレスを軽減し、がん細胞の増殖抑制に関わる可能性が報告されており、再発予防の観点からも注目されています。

4.リンゴ

果物の摂取量が多い人では乳がんのリスクが低いとする報告がいくつかあります。リンゴや柑橘類はフラボノイドを多く含み、抗酸化作用によって細胞のダメージを抑える働きが期待されています。特にリンゴ、バナナ、ブドウをよく食べる人で乳がん発症率が低かったという報告もあります。

5.柑橘系フルーツ

5.柑橘系フルーツ

オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどの柑橘系フルーツにはフラボノイド、ビタミンC、カロテノイドが多く含まれ、強い抗酸化作用を持ちます。2013年のメタ解析では、柑橘類の摂取量が多い女性で乳がんリスクが10%低下したと報告されています。日常的に取り入れやすい食品の一つです。

6.緑茶

緑茶に含まれるカテキン類、とくにEGCG(エピガロカテキンガレート)は強い抗酸化作用を持ち、乳がんを含む様々ながん細胞の増殖を抑える可能性が研究されています。日本人にとって最も取り入れやすい“抗酸化食品”といえるでしょう。

7.大豆食品(豆腐・豆乳など)

7.大豆食品(豆腐・豆乳など)

大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモン様の作用を持つ一方で、乳がんの再発や死亡リスクを低下させたとの研究結果もあり、世界的に注目されています。特に「適量」を継続して摂取することが重要とされています。豆腐、納豆、豆乳などは日常食に取り入れやすく、バランスのよい食生活に役立ちます。

日々の食事に「無理なく、続けられる形」で取り入れることが大切

これらの食品は、乳がんの再発予防に「可能性がある」とされるものであり、確実な効果が証明されているわけではありません。しかし、いずれも健康的な食生活に役立つ食品であり、日常に取り入れやすい点が共通しています。

乳がん治療後の食生活では、

  • 偏りすぎない
  • 過剰摂取を避ける
  • バランスのよい食事を心がける
    ことが最も大切です。

そのうえで、今回紹介した食品を少しずつ生活に取り入れることで、健康維持と再発予防への「前向きな一歩」となるでしょう。