私たちが立つ・歩く・走るといった動作を行うとき、下肢の骨や
関節は複雑な連動をしながら体重を支えています。
その中でも、あまり意識されることの少ない
「脛腓関節(けいひかんせつ)」
は、膝から足首までの機能を安定させるうえで非常に重要な役割を果たしています。
脛腓関節とは、向こう脛の骨である
「脛骨(けいこつ)」
と、その外側に並行して走る
「腓骨(ひこつ)」
の間にある関節のことです。
普段は意識しない場所ですが、足の安定性や捻挫のしやすさにも関わる大切な部分です。
本記事では、この脛腓関節の構造と役割を丁寧に解説していきます。

膝から足首にかけては、脛骨と腓骨という2本の細長い骨が並行して走っています。
向こう脛として触れることができるのが脛骨で、
その外側に細長く伸びているのが腓骨です。
膝関節の下部で体重を受け止めるのはほとんどが脛骨です。
立つ・歩く・走るといった基本的な動作では、身体の重さは
脛骨にしっかりと伝わり、膝から足首へと受け渡されています。
腓骨は脛骨の横を並行して走っていますが、ほとんど体重を受けません。
その代わり、筋肉の付着部として働いたり、足首の形を
作る重要な骨として役割を果たしています。
この、「体重を支える脛骨」 と 「構造を補助する腓骨」
という役割の違いを覚えておくと、これから説明する
脛腓関節の機能がより理解しやすくなります。
脛骨と腓骨が接している部分は2か所あります。
どちらも同じ2本の骨の関節ですが、役割は大きく異なります。

近位脛腓関節は、膝のすぐ下、腓骨の上端(腓骨頭)が脛骨と接している関節です。
腓骨頭は丸い形をしており、膝関節に直接体重を伝えるわけではありませんが、
実は下肢の動きにとても重要な位置づけがあります。
腓骨頭には「大腿二頭筋腱(ハムストリングスの一部)」が付いています。
大腿二頭筋は膝を曲げる動作の主役であり、スポーツ動作や歩行に大きく関わります。
つまり、腓骨自体は体重を受けないものの、
“膝を曲げる力を伝える重要な支点”
として機能しているのです。
次に、足首のあたりにある遠位脛腓関節です。ここは脛骨の内くるぶし(内果)
と、腓骨の外くるぶし(外果)が距骨(きょこつ)という骨を挟むように位置しています。
距骨は丸みのあるドーム状の形をしており、この骨が
足首の上下運動(底屈・背屈)を可能にしています。
このように、距骨を左右から挟み込む形を作ることで、足首の動きが
滑らかになり、安定して上下に動くことが可能になります。
ここで重要になってくるのが、脛骨と腓骨をつなぐ靭帯です。
関節が必要以上にぶれたり広がったりすると、足首が不安定になり、
捻挫の原因となってしまいます。
遠位脛腓関節は、以下の靭帯が前後から支えています。
脛骨と腓骨の前面をつなぎ、骨同士が離れすぎないように前側でしっかり支える靭帯。
足の裏側の深い部分にあり、後方から脛骨と腓骨を固定し、関節の安定を守る靭帯。
これら前後2本の靭帯によって、脛骨と腓骨は適切な距離を保ち、距骨をはさむ“受け皿”の形を崩さないようにしています。

足首はさまざまな方向に動きますが、その中でも上下運動(底屈・背屈)は特に大切です。
この運動をスムーズにするため、遠位脛腓関節にはわずかな動きが許されています。
もし脛骨と腓骨がガッチリ固まってしまうと、
距骨が動くスペースを失い、足首全体の可動域が減ってしまいます。
しかし、動きすぎても不安定になるため、靭帯が“適度なゆるみ”を持たせつつ、
“大きくずれないように固定”するという絶妙なバランスを保っているのです。
脛腓関節は、普段ほとんど意識されませんが、膝から足首の動作に深く関わっています。
● 近位脛腓関節(膝の近く)
● 遠位脛腓関節(足首の近く)
脛腓関節を理解することで、膝や足首の痛みの原因、
また捻挫の仕組みがより分かりやすくなります。
普段は見えない場所だからこそ、体の構造を知ることが、
ケガ予防や身体のコンディションを整えるうえで大切なヒントになります。
ぜひ、日常の動きの中でも
「脛骨と腓骨が協力して体を支えてくれている」
ことを意識してみてください。