飲み会シーズンに多い?急性硬膜下血腫の治療と看護について

急性硬膜下血腫の治療と看護に関する解説

急性硬膜下血腫(Acute Subdural Hematoma)は、頭部の血管が損傷し、硬膜の内側に出血が生じる重篤な脳疾患です。この疾患は、主に頭部外傷によって引き起こされ、脳挫傷を伴う場合が多いことから、治療には迅速な対応が求められます。以下では、疾患の基礎知識、診断、治療、看護のポイントについて詳しく解説します。

1. 疾患の概要

1-1. 解剖学的背景

脳は、頭蓋骨と以下の三層の膜(髄膜)で保護されています:

  • 硬膜:頭蓋骨の直下にある丈夫な膜
  • くも膜:硬膜の下に位置する柔軟な膜
  • 軟膜:脳に直接接する薄い膜

急性硬膜下血腫では、硬膜の内側に存在する動脈や静脈が損傷し、出血が生じます。血液は硬膜と脳表面の間にたまり、脳を圧迫して様々な症状を引き起こします。

1-2. 主な原因

主な発症原因は、頭部外傷です。転倒や交通事故、スポーツ外傷などで頭蓋内の血管が損傷することが一般的です。また、高齢者や抗凝固薬を服用している患者では、軽度の外傷でも発症リスクが高くなります。

2. 症状と診断

2-1. 症状

急性硬膜下血腫の症状は、出血による脳の圧迫によって引き起こされます。

  • 激しい頭痛
  • 嘔吐
  • 意識障害(軽度の混乱から昏睡まで)
  • 呼吸抑制や循環不全(進行した場合)

症状の進行に伴い、最悪の場合は生命の危機をもたらすことがあります。

2-2. 診断

急性硬膜下血腫の診断には、画像検査が不可欠です。

  • CT検査:最も迅速で有効な方法です。三日月型の血腫が硬膜下に認められることが特徴的です。
  • MRI検査:脳の損傷の詳細を評価するために使用されることがあります。

3. 治療

3-1. 緊急治療の重要性

急性硬膜下血腫は、出血の程度や脳の圧迫の程度によって治療方針が異なりますが、緊急対応が求められる疾患です。

3-2. 治療方針

  • 軽度の場合: 出血量が少なく、神経学的異常所見がない場合、経過観察となることがあります。初回CT検査から3時間以内に再検査を行い、出血量の変化を評価します。
  • 重症の場合: 広範囲な出血や神経学的異常所見を認める場合は、外科的治療が必要です。
    • 開頭血腫除去術:頭蓋骨を外して硬膜を開き、血腫を除去し、出血源の血管を修復します。
    • 外減圧治療:脳の腫脹が激しい場合、頭蓋骨を戻さずに脳圧を軽減する方法です。後日、状態が安定すれば頭蓋骨形成術が実施されます。

3-3. 薬物療法

  • 降圧薬(例:ニカルジピン):収縮期血圧を100–140mmHgに管理し、出血の進行を防ぎます。
  • 脳圧降下薬(例:マンニトール、グリセオール):脳ヘルニアを予防するために使用されます。
  • 鎮静剤・鎮痛剤:術後の疼痛や不安を軽減します。

4. 看護のポイント

4-1. 術前・術中

  • 患者の意識レベルや呼吸状態を継続的に評価し、気道確保が必要な場合は迅速に対応します。
  • 血圧や心拍数を適切に管理し、出血の進行を防ぎます。

4-2. 術後管理

  • モニタリング
    • 意識レベルの変化
    • 瞳孔の左右差
    • 呼吸や循環状態の異常
  • ドレーン管理: 血腫除去後のドレーンが適切に機能しているか確認します。
  • 疼痛管理: 鎮痛剤を適切に使用し、患者の快適性を確保します。
  • 合併症の予防: 感染や脳ヘルニアのリスクを最小限に抑えるためのケアが必要です。

4-3. 家族への対応

患者の状態や治療方針について、家族に十分な説明を行い、不安を軽減する支援を行います。

5. 結論

急性硬膜下血腫は、緊急対応が必要な疾患であり、迅速な診断と適切な治療が患者の予後を大きく左右します。看護師は、術前から術後まで一貫した観察とケアを提供し、患者の生命維持とQOLの向上に寄与します。今回の解説が、現場での実践に役立つことを願っています。