膵臓がんの標準治療と代替医療: パート1

すい臓がんの標準治療と代替医療について

すい臓がんは早期発見が難しく、治療も難しいがんの一つです。治療を考えるとき、まず知っておきたいのが標準治療代替医療の違いです。ここでは、一般の方にもわかりやすく解説します。

標準治療とは?

標準治療とは?

標準治療とは、科学的根拠に基づき、最も効果があるとされる治療法のことです。医療ガイドラインに沿って推奨され、状況に応じて内容が更新されます。すい臓がんの標準治療は、主に次の3つです。

  1. 手術
    がんの塊を取り除く治療です。短期間で完了しますが、体への負担が大きく、入院が必要です。合併症や後遺症のリスクもあります。
  2. 抗がん剤(化学療法)
    がんの広がりに関わらず全身治療が可能です。種類や量を調整でき、外来でも受けられる場合がありますが、副作用が出やすく、すい臓がんでは単独で完治させるのは難しい場合があります。
  3. 放射線治療
    がんがある場所に集中的に照射する治療です。痛みの緩和にも使われますが、照射量に制限があり、効果が出るまでに時間がかかります。

近年では、免疫チェックポイント阻害剤など、免疫の力を利用した新しい治療法も登場しています。

すい臓がんの分類と手術の対象

すい臓がんは、大きく分けると次の2種類です。

  • 切除可能膵がん:手術で完全に取り除けると見込まれるがん
  • 切除不能膵がん:手術では完全に取り除けないがん
    • 局所進行がん:周囲の血管に広がっている
    • 転移性がん:肝臓や肺などに転移している

また、手術が可能か微妙な「切除可能境界膵がん(ボーダーライン膵がん)」もあり、血管に接触している場合は手術だけでは取りきれない可能性があります。

手術の対象は、がんを完全に取り除ける見込みがあること日常生活が自立していること心臓や肺などに重い持病がないこと、そして本人が手術に納得していることです。年齢は基本的に制限されません。

手術の種類

  • 膵頭十二指腸切除術:膵臓の頭部、十二指腸、胆管、胆嚢を切除する
  • 膵体尾部切除術:膵臓の左側(体部・尾部)を脾臓とともに切除する
  • 拡大手術(DP-CARなど):がんが血管に接している場合に血管ごと切除する

再発や転移に対しては、状況によって再手術が検討されることもあります。特に肺への少数転移(オリゴメタ)では、再手術で長期生存が期待できることがあります。

術前・術後の準備で結果が変わる

手術前に行うプレハビリテーションは、術後の回復や合併症予防に役立ちます。主な内容は次の3つです。

  1. 運動:有酸素運動+筋トレで体力維持
  2. 栄養サポート:タンパク質中心の食事、発酵食品
  3. 精神的ケア:カウンセリングや瞑想、イメージ療法

さらに、口腔ケアや呼吸訓練も肺炎などの術後合併症を防ぐ効果があります。手術は、**症例が多い病院(ハイボリュームセンター)**で受けることが推奨されます。

抗がん剤治療

抗がん剤治療

進行がんや転移がんには抗がん剤が中心です。代表的な治療法は以下の通りです。

  • FOLFIRINOX(フォルフィリノックス):強力な治療で生存期間を延ばすが副作用も多い
  • ゲムシタビン+ナブパクリタキセル:がんに届きやすくした組み合わせ治療

初回治療で効果が不十分な場合、二次治療に切り替えることもあります。また、遺伝子検査で特定のタイプ(MSI-HighやNTRK陽性)が見つかれば、免疫療法や分子標的薬が選択肢になります。

代替医療の注意点

代替医療の注意点

標準治療を受けずに代替医療だけに頼るのは危険です。海外の研究では、代替医療のみの場合、死亡率が標準治療を受けた場合の約2.5倍になることが報告されています。

非標準治療としては以下があります。

  • 未承認抗がん剤(治験)
  • 重粒子線、ナノナイフ、ラジオ波焼灼、凍結療法、温熱療法
  • 免疫療法、丸山ワクチン、ウイルス治療など

まずは、標準治療を基本とし、必要に応じて補助的に代替医療を検討するのが安全です。

まとめ

  • すい臓がんの標準治療は手術・抗がん剤・放射線治療
  • 手術は負担が大きいため、術前準備(プレハビリテーション)が重要
  • 進行・転移がんには抗がん剤が中心で、副作用対策と体力維持も必要
  • 代替医療だけに頼るのは危険、標準治療と併用する場合に慎重に検討

すい臓がんは厳しい病気ですが、標準治療を理解し、体力や生活を整えた上で治療に臨むことが、最良の結果につながります。