今回は、自閉症スペクトラム(ASD)と知的障害に伴う感覚調整障害について、詳しくわかりやすく解説します。
1・感覚調整障害(SMD)とは

感覚調整障害(SMD)とは、環境や身体からの感覚入力に対して過剰または不足な反応を示すことを指します。これは、自閉症スペクトラムの診断基準に新たに追加された項目で、現在注目されています。
ただし、DSM-5の診断カテゴリーには含まれていません。
感覚統合理論では、SMDは感覚統合障害の一部とされ、特に環境や身体からの感覚入力に対して過反応や低反応を示す状態を指します。
2・感覚調整障害(SMD)の状態像

日常生活では、私たちは外界の環境や自分の身体から様々な感覚情報を得ています。
この感覚情報を脳で適切に処理することで、適切な行動が取れます。
しかし、感覚情報処理に問題があると、過剰に感覚を受け取ったり、必要な感覚に注意を向けられなかったりします。これが、過反応や低反応として現れます。
重度の知的障害児や発達障害児が見せる常同行動や自己刺激行動、パニック状態などの行動には、
感覚調整障害が影響している可能性があります。
3・ 感覚について
感覚とは、五感(触覚、聴覚、視覚、味覚、嗅覚)だけでなく、
前庭感覚や固有受容感覚も含まれます。
まず前庭感覚は、揺れや傾き、回転の刺激を感じる感覚で、姿勢保持や眼球運動のコントロールと関連しています。
次に固有受容感覚は、筋肉や関節から感じる感覚で、これにより微妙な運動のコントロールや姿勢保持が可能になります。
これらの感覚系は情動反応、注意、覚醒の問題とも関係しています。
4・アセスメント
感覚プロファイル(Sensory Profile SP)は国際的に用いられる標準化された評価方法で、
乳幼児版(0~6ヶ月、7~36ヶ月)、感覚プロファイル(3歳~82歳)、青年・成人版(11歳以上)
があります。日本でも標準化されており、養育者や支援者が回答します。
もう一つ、日本感覚統合インベントリー(JSI-R)は、4歳から6歳を対象としたチェックシート形式の評価で、日本感覚統合学会のホームページからチェックシートをダウンロード可能です。
アセスメントには、日常生活での観察や聞き取り情報も重要です。
例えば、大きな声を発して落ち着かない、パニックになる、人に手を挙げるなどの行動の記録を取ることで、原因を考え、状況を整理するのに役立ちます。
5・ 支援方法
これらの支援には、感覚の特性について周囲が理解し、本人も自分の感覚特性に気づくことが重要です。
感覚過敏の場合は、苦手な刺激から遠ざけることが望ましいです。
物理的に離れることが難しい場合は、イヤーマフやノイズキャンセリングヘッドホン、洋服のタグを切るなどの方法があります。
行動障害と見なされがちな行動(例:くるくる回る、跳び続ける、頭を打つ、人や自分を噛む)については、社会的に受け入れられる形でできる方法や場所を提案することが必要です。
例えば、トランポリンで跳び跳ねる時間を設けるなどです。
以上が、感覚調整障害(SMD)についての解説です。
お読みいただき、ありがとうございました。