—— 最新の国際研究からわかることと、いま私たちができる備え
がんは日本人にとって最も身近な病気の一つです。厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、日本人の自覚症状の中で「腰痛」が男性では第1位、女性では第2位とされますが、がんについても生涯でおよそ2人に1人が経験すると言われています。
その中でも特に注意したいのが、**“緊急入院をきっかけに判明するがん”**です。突然の腹痛や体調不良で救急搬送され、検査を受けたところ初めてがんが見つかる――そんな事例が決して珍しくありません。
しかし、実際には どのがんが緊急発見されやすいのか? その場合の予後はどうなるのか? といった点については、一般にはあまり知られていません。
そこで本記事では、2024年5月に医学誌『The Lancet Oncology』に発表された最新の国際研究をもとに、緊急入院で見つかるがんの特徴をわかりやすく解説します。早期発見の重要性を再確認するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
この国際研究は「International Cancer Benchmarking Partnership(国際がんベンチマークパートナーシップ)」によって実施された大規模調査です。
● 対象となった国と地域
● 調査対象のがん(8種類)
● 「緊急診断」とは?

研究によると、8種類のがん患者 約85万7千人のうち、
24%~43%が緊急入院をきっかけに初めてがんと診断されていた
ことが分かりました。
つまり、4人に1人以上が“突然の体調不良”で病院に運ばれて初めてがんが見つかっているのです。
これは想像以上に多い、と感じる方も少なくないでしょう。
緊急入院がきっかけで見つかりやすいがんは、がん種によって大きく異なりました。
緊急診断の割合が高いがん(平均)
もっとも多かったのは「膵臓がん」。
その理由としては、
肝臓がんも同様に症状が出にくいことが多く、卵巣がんは腹痛やお腹の張りなどが見逃されやすいため発見が遅れる傾向があります。

研究では、緊急入院でがんが見つかった患者の特徴も分析されました。
高齢者ほど緊急診断の割合が高い
とくに 85歳以上のグループでは、緊急発見の割合が最も高かったとの結果が示されています。
年齢を重ねると…
といった背景があり、それが突然の入院につながると考えられます。
最も重要な知見はここです。
緊急診断で見つかったがんは、12か月以内に死亡するリスクが約2倍
理由としては、
が挙げられます。
特に膵臓がんや肝臓がんは早期発見が難しく、入院時にすでに高度進行していることが多いため、予後が厳しい傾向があります。
多くのがんは、初期のうちは症状が出にくい、または「疲れ」「年齢のせい」と思い込みやすい、非常にあいまいな症状しか出しません。
● よくある“見逃されがちなサイン”
これらは日常でも感じることがあるため、「そのうち治るだろう」と思ってしまい、受診が遅れてしまうことにつながります。

緊急入院がきっかけでがんが見つかった場合、予後は悪化しやすいというデータを踏まえると、いかに早く異変に気づき受診するかが非常に重要です。
ここでは、すぐに実践できる対策をまとめます。
① 定期的ながん検診を受ける
② 症状を“年のせい”にしない
高齢になるほど我慢しがちですが、
③ 基礎疾患のある人は定期フォローを欠かさない
糖尿病、肝臓病、慢性膵炎などがある場合、特にがんのリスクが上がります。定期的な検査での早期発見が鍵となります。
④ 家族や周囲の見守りも大切
高齢者は「もう歳だから」と痛みを隠してしまうことがあります。周囲が変化に気づき、受診を促すことが命を守ることにつながります。
今回紹介した研究から、次の3つが明らかになりました。
● 緊急入院で見つかるがんは、全体の約4分の1以上
● 最も多いのは膵臓がん、次に肝臓がん・卵巣がん
● 緊急発見のがんは、死亡リスクが約2倍と予後が悪い
こうした事実を知ることは、がんの早期発見・早期治療の重要性を理解する第一歩です。今気になる症状があれば、一度医療機関で相談してみることをお勧めします。
「なんとなく変だな」を放置しないこと。これこそが、あなた自身と大切な人を守る最も確実な行動になります。