がんの治療法は日々進歩しており、新しい薬や手術法、放射線治療が次々と開発されています。治療の選択肢が増える一方で、すべての標準治療を終え、「次に何をすればよいのだろう」と不安を抱える患者さんやご家族も少なくありません。主治医から「標準治療は出そろいました」と告げられると、多くの方は当然ながらほかの手段を探そうとします。インターネットには数多くの情報があふれ、民間療法や効果の証明が十分ではない免疫療法に行き着いてしまうこともあります。
しかし、現実には、十分な科学的根拠がない治療に大きな費用や時間をかけても、期待通りの効果が得られないことも少なくありません。残された時間や体力を消耗してしまうことを考えると、慎重に判断する必要があります。
一方で、「がん治療」と聞くと病院で受ける医療だけを連想しがちですが、実はそれだけが治療ではありません。自分自身で日常生活の中で取り組めるセルフケアも、科学的な根拠を持つ“治療の柱”の一つなのです。

セルフケアとは、特別な機械や薬を使うことではありません。
たとえば、
こうした習慣が、免疫機能を整え、体力を維持し、がんの再発予防や治療後の回復に役立つことが研究によって示されています。
たとえば、大腸がんの患者を対象とした研究では、診断後に積極的に体を動かす習慣をもった人は、再発や死亡のリスクが低下したという結果があります。単純に抗がん剤治療と比較できるわけではありませんが、それほど運動が強力な効果を持つことを示しています。
毎日のウォーキング、軽い筋トレ、ストレッチなど、特別な環境が必要なく、今日からでも始められるものばかりです。体を動かすことが「治療」になるという考え方は、多くの患者さんにとって大きな励みになるでしょう。

食事だけでがんを治すことはできません。しかし、体力を保持し、治療の副作用に負けないための重要な土台となります。ある研究では、大腸がん患者で植物性食品を中心とした食事を習慣とした人は、死亡率が低い傾向にあったと報告されています。
こうしたシンプルな食事の工夫が、確かな意味を持つのです。

瞑想、ヨガ、音楽療法などは、生活の質(QOL)を高めるだけでなく、ストレスホルモンの低下や睡眠改善にもつながることが知られています。がんと向き合う過程では、精神的な負担も大きくなりがちです。心が整っていることは体の回復にも影響します。
セルフケアのもう一つの大きな価値は、「自分で自分の健康を支えている」という実感が得られることです。
病院での治療が中心だと、どうしても「受け身」になりがちです。しかし、生活習慣を整え、自分の体に向き合う時間を持つことで、「自分にもできることがある」という前向きな気持ちが生まれます。この心理的な変化は、生活の質を大きく高める力を持っています。
ある女性は、病状や治療の選択について悩んだ末、自身の生活習慣を見直すことを中心に体づくりを続けました。毎日の運動や心身を整える習慣を大切にし、自分が納得する形で治療と向き合い続けた結果、時間の経過とともに体調の改善を実感したと語っています。
もちろん、これは一例であり、標準治療を否定するものではありません。医学的な比較もできません。しかし、セルフケアが確かに患者さんの心と体を支え、日々の力となることを示す貴重な体験談といえるでしょう。
繰り返しになりますが、がん治療は病院で受ける治療だけではありません。
自分で取り組めるセルフケアも、科学的な根拠を持つ大切な治療の一部です。
「もうできる治療がない」と感じたときこそ、
こうした積み重ねを、自分にできる確かな治療として見つめ直してみてはいかがでしょうか。
一歩ずつの積み重ねが、あなたの体と心を着実に支えてくれるはずです。