地中海式ダイエット、あるいは地中海食という言葉を、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは、ギリシャ・クレタ島やイタリア南部で古くから受け継がれてきた伝統的な食文化を指します。世界でもっとも有名な食事法のひとつといっても過言ではありません。
1960年代、これらの地域で心血管病をはじめとする生活習慣病が非常に少なく、長寿の人が多いことが報告されたことで、地中海式ダイエットへの注目が一気に高まりました。以来、健康寿命を延ばす食事法として国際的な支持を集めてきましたが、近年では がんの予防や、がんを経験した方(がんサバイバー)の日常生活をサポートする食事法としても強い関心が寄せられています。
今回は、これまでに報告されている研究をもとに、地中海式ダイエットがどのようにがんの予防や治療を支えるのか、その具体的な内容とともにご紹介します。
まず取り上げたいのは乳がんに対する予防効果です。
スペインで行われた大規模なランダム化比較試験では、7,500人以上の参加者を
その二次解析として、4,000人以上の女性を対象に乳がんの発症リスクを比較したところ、驚くべき結果が示されました。
オリーブオイルやナッツに含まれる豊富な抗酸化物質や健康的な脂質が、がんの発症メカニズムに影響を与えている可能性が示唆されています。
さらに、別の観察研究では、大腸がんの発症リスク低下と地中海式ダイエットの関連が指摘されており、がん全般の予防に有益であることが示唆されています。
地中海式ダイエットが注目されるのは、予防効果だけではありません。
すでにがん治療を受けている患者さんや、治療後の生活を送るがんサバイバーにとっても、心身の状態を整える助けになる可能性があります。
最近の乳がん患者を対象とした臨床試験では、地中海式ダイエットを取り入れたグループで以下のような改善がみられました。
これは、地中海式ダイエットが炎症を抑える食材を多く含み、体の回復力を高め、精神的な安定にもつながることが背景にあると考えられています。
このように、地中海式ダイエットは単なる「健康食」ではなく、がんの予防、治療のサポート、そして生活の質の改善という三つの側面から恩恵が期待できる食事法といえます。

では、具体的にどのような食事が地中海式ダイエットなのでしょうか。
要点をまとめると次のようになります。
◎ 控えめにするもの
◎ 積極的に摂るもの
◎ 生活習慣も含めて「地中海式」

地中海式ダイエットで特に重要なのは、
といった、植物性食品と健康的な脂質を中心とした食事です。
これらの食材は抗酸化作用、抗炎症作用、腸内環境の改善など、多方面から体を守る働きを持っています。がんに限らず、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸に役立つことは、多くの研究が支持しています。
本来の地中海食をそのまま再現するのは、日本の生活スタイルでは難しい部分があります。しかし、重要なのは「できる範囲で地中海式の考え方を取り入れる」ことです。
たとえば、
こうした小さな習慣の積み重ねが、長い目で見て大きな健康効果につながっていきます。

地中海式ダイエットは、
という多方面から健康を支える力を持った食事法です。
「何を食べるか」は、毎日の生活の中で自分自身が選び、実践できる“セルフケア”の一つ。今日からできる範囲で、地中海式ダイエットのエッセンスを取り入れてみてはいかがでしょうか。