急性心筋炎は、免疫力の低下した状態で感冒(風邪)などのウイルスが心筋に侵入し、心筋に炎症を引き起こす疾患です。
患者さんは発熱、下痢、嘔吐、胸痛、呼吸困難感などを訴えることが多く、「風邪をひいた数日後に胸痛が出現した」というエピソードが診断の手がかりになる場合があります。
心筋炎では、心筋に侵襲が加わり炎症反応が起きることで心筋がむくみ、心臓の収縮機能が低下します。この炎症反応とは、体内に侵入したウイルスを排除するために起こる免疫反応です。
例えば蚊に刺された際に赤く腫れる現象と同じように、心筋でもウイルスの侵入に対して炎症が起きるのです。
炎症が進行すると心臓のポンプ機能が低下し、心不全や血圧の低下、呼吸困難を引き起こすことがあります。さらに、心臓の機能が著しく低下し、血液循環を維持できない場合、ドブタミンやノルアドレナリンなどの薬剤や、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、PCPS(経皮的心肺補助装置)といった補助機械が必要となります。
このように、補助装置が必要な状態を劇症型心筋炎と呼びます。

急性心筋炎の症状は、心筋の炎症や浮腫が心臓の機能に影響を及ぼすため、多岐にわたります。
具体的には以下のような症状や所見があります。
• 発熱
• 胸痛
• 呼吸困難感
• 下痢・嘔吐
心筋の炎症により心臓全体がむくむと、刺激伝導系や心筋自体が障害されます。
その結果、以下のような特徴的な所見が現れることがあります。
• 不整脈(房室ブロック、期外収縮)
• ST上昇(心筋梗塞に似た所見)
• 低電位(QRS波の振幅が小さい)
※特に、QRS波の幅が広い場合や致死性不整脈が頻発する場合は、予後不良とされています。
急性心筋炎の診断は簡単ではありません。症状が心筋梗塞に似ており、心電図や心エコーだけでは確定診断が難しいため、以下の検査が行われます。
1.冠動脈造影検査(CAG)
急性心筋梗塞の可能性を除外するために実施されます。
急性心筋梗塞は生命に関わる危険な疾患のため、速やかに心筋炎と鑑別することが重要です。
2.心筋生検
CAGで心筋梗塞が否定された場合に行われる検査です。
心筋の組織を採取し、顕微鏡で調べることで、心筋炎の確定診断とタイプ別分類が可能になります。
この分類により治療方針が決定されます。

急性心筋炎の治療では、感染症の管理と心不全や不整脈への対応が中心となります。
看護師としては、患者の状態を的確に把握し、異常の早期発見と適切なケアを行うことが重要です。

急性心筋炎は適切な治療により改善することが多いですが、劇症型に移行するリスクがあるため、早期発見と迅速な治療が重要です。
退院後も定期的な検査や通院が必要で、心機能のモニタリングを続けることが推奨されます。
<退院後の生活指導>
• 適度な運動を取り入れるが、過度な負担は避ける。
• 感染予防のため、手洗いやマスクの着用を徹底する。
• 医師の指示に従い、心臓に負担をかけない生活習慣を心がける。
急性心筋炎は主にウイルス感染が原因で発症し、心筋の炎症によって心機能が低下する疾患です。
症状が心筋梗塞と似ており、診断が難しいことから、迅速かつ適切な検査が求められます。
劇症型心筋炎に進行すると生命に関わるため、早期発見と治療が重要です。
看護師は、患者さんの変化に敏感になり、適切なケアを提供することで、回復を支える役割を担います。