
私たちが日々口にする食べ物は、体内で“炎症”を引き起こすことがあります。この炎症が長く続くと「慢性炎症」となり、さまざまな病気の発症に関わることが明らかになっています。近年では、慢性炎症ががんのリスクを高めることも分かってきました。
では、なぜ慢性炎症ががんを招き、どのような食事が炎症に影響するのでしょうか。
2017年、医学雑誌 Gastroenterology に、食事と炎症、そして大腸がんとの関連を調べた大規模研究が報告されました。
この研究は12万人を対象に、食習慣を詳しく調査し、「経験的炎症性食事パターン(EDIP)」という炎症の起こりやすさを示すスコアを算出したものです。
EDIPスコアは、実際の炎症マーカー(CRPなど)の変化に基づき、食品を“炎症を促すもの”と“炎症を抑えるもの”に分類して作られています。
研究では、次の食品を多く摂るほど炎症が高まりやすいとされました。
トマトのように一般的に健康食とされるものが含まれている点は意外ですが、あくまでも「炎症マーカーが上昇した」という観点に基づく分類です。
一方で、次の食品は炎症の指標を下げる傾向がありました。
こちらも一見「体に悪そう」と思われるものが含まれていますが、炎症との関係だけを見ると低下傾向が示されたという結果です。

研究の結論は明確でした。
炎症性食事スコアが高い人ほど、大腸がんの発症リスクが有意に高かった。
さらに興味深いことに、炎症性食事スコアが高いほど、がんを攻撃するリンパ球(免疫細胞)が腫瘍にほとんど集まらない“免疫反応の弱いタイプ”の大腸がんが増えていたのです。
つまり――
炎症を促す食事 → 免疫反応が低下 → がんを防ぐ力が弱まり、発症リスクが上昇する
という可能性が示されたと言えます。

私たちの毎日の食事は、知らず知らずのうちに体内の炎症を高めたり、逆に静めたりしています。慢性炎症は免疫力の低下を通じてがんのリスクを高める可能性があるため、毎日の食事選びはとても大切です。
「何を食べるか」は、私たちの未来の健康を形作る重要な選択と言えるでしょう。