がんの原因は遺伝それとも生活習慣?予防はできるの?

がんの原因は遺伝それとも生活習慣?予防はできるの?

がんの原因を理解する──遺伝・生活習慣・感染がもたらす影響

がんの原因を理解する──遺伝・生活習慣・感染がもたらす影響

がんは、私たちの体を形づくる「設計図」である遺伝子に異常が生じることで発生します。この遺伝子異常を引き起こす要因は多岐にわたり、親から受け継ぐ遺伝的素因、生活習慣、環境要因、さらには偶然生じるDNAの複製エラーなどが知られています。

日本における大規模な疫学調査では、がんの原因として次のような割合が報告されています。

  • 喫煙:20%
  • 飲酒・食事・運動などの生活習慣:10%
  • 感染:20%
  • 原因不明:50%

この結果から、日本人では生活習慣が全体の約30%の要因を占め、さらに感染の影響が比較的大きいという特徴が浮かび上がります。

感染が引き起こすがんと、主な病原体

日本人において特に注目すべきは、感染によるがんのリスクです。がんの原因となるウイルス・細菌には次のようなものがあります。

  1. ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)
    胃がん
  2. B型・C型肝炎ウイルス(HBV・HCV)
    肝臓がん
  3. ヒトパピローマウイルス(HPV)
    子宮頸がん、陰茎がん、外陰部がん、膣がん、肛門がん、口腔がん、中咽頭がん
  4. エプスタイン・バーウイルス(EBV)
    上咽頭がん、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫
  5. ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)
    成人T細胞白血病・リンパ腫

これらの感染を適切にチェックし、治療・予防を行うことで、がん発症のリスクを下げることができます。

遺伝が関わるがん──家族歴から見えるリスク増

近年の研究により、遺伝の影響を受けやすいがんが明らかになってきました。日本人の40〜60歳男女、10万人以上を17年以上追跡した研究では、以下のがんで「家族歴」によるリスク上昇が確認されています。

  • 肺がん:1.5倍
  • 食道がん:2.1倍
  • 胃がん:1.4倍
  • 肝臓がん:1.7倍
  • 膵臓がん:2.6倍
  • 子宮がん:1.9倍
  • 膀胱がん:6.1倍

親や兄弟姉妹にこれらのがんにかかった人がいる場合、本人の発症リスクも高まります。遺伝だからといってすべてを避けられるわけではありませんが、リスクを知ることは重要です。

がんを予防するためにできること

がんの原因は多様であり、原因不明のケースも少なくありません。しかし、日々の行動によってリスクを低減させることは可能です。

生活習慣の改善

  • 禁煙・受動喫煙の回避
  • 節度ある飲酒
  • バランスのよい食事
  • 適度な運動
  • 適正体重の維持

感染症の予防

  • ピロリ菌検査と治療
  • 肝炎ウイルス検査
  • HPVワクチンの接種

早期発見

がんを完全に防ぐことは不可能ですが、がん検診・健康診断・人間ドックの活用によって早期発見できれば、治療の成功率は大きく高まります。

おわりに

おわりに

がんは、遺伝・生活習慣・感染・偶然といった多くの要因が複雑に絡み合って生じる病気です。すべてを防ぐことは難しいものの、正しい知識を持ち、できることから対策を積み重ねることで、未来の健康を守ることができます。