サウナは心身のリフレッシュを目的に多くの人々に愛されています。近年では「サ活(サウナ活動)」という言葉が生まれるほど、サウナの人気は急上昇しています。しかし、サウナを利用中に意識を失ったり、救急搬送されるケースが発生していることも事実です。
サウナは本当に安全で健康的なのでしょうか?ここでは、サウナの健康効果と潜在的なリスクについて詳しく解説します。
サウナの発祥地であるフィンランドでは、サウナ利用と健康との関連について多くの研究が行われています。その結果、適切な利用方法を守れば、サウナは心身の健康に良い影響を与える可能性があるとされています。
ある研究では、フィンランドで起きた心筋梗塞や心肺停止のうち、サウナ中に発生したケースはわずか1.8%(1631人中29人)であり、これらの多くは心疾患の既往がある人でした。このことから、サウナが心血管イベントの直接的な原因である可能性は低いと考えられています。
一方、2315人のフィンランド人を対象にした20年の追跡調査では、日常的にサウナを利用している人々が心血管イベントや突然死のリスクを有意に低下させていることが分かりました。こうした効果の理由の一つとして挙げられるのが、ヒートショックプロテイン(HSP)の存在です。
サウナの高温環境にさらされると、体内でヒートショックプロテイン(HSP)が生成されます。このたんぱく質には抗炎症作用や抗酸化作用があり、細胞のストレス耐性を高める働きがあるとされています。
ある実験では、8週間にわたってサウナを利用したグループの血液中で、炎症性サイトカイン(細胞のストレス反応を示す物質)の増加が抑制されることが確認されました。これにより、以下のような健康効果が期待されています:
• 降圧作用:血管の拡張による血圧低下。
• 慢性心不全の改善:心臓への負担を軽減。
• 関節痛や皮膚炎の緩和:抗炎症作用の効果。
• ストレス軽減:心身のリラクゼーション促進。
こうした研究結果から、サウナは適切に利用することで心身に良い影響を与えると考えられています。
一方で、サウナを誤った方法で利用すると、体に大きな負担を与え、重大な健康リスクを引き起こす可能性があります。特に、無理をしたり、体調を無視した利用が危険です。

サウナの高温環境下では大量の汗が分泌されます。この際に十分な水分補給をしないと、脱水症状や熱中症を引き起こす可能性があります。救急搬送される若い人の中には、無理に長時間サウナに滞在して脱水状態に陥ったケースも見られます。
主な症状としては、 めまい、頭痛、 吐き気、嘔吐、 意識混濁、失神などが挙げられます。
また、脱水が進行すると急性腎障害(AKI)を引き起こすリスクもあり、全身の健康に悪影響を及ぼします。
サウナから出た後、水風呂に入るのは一般的な「サ活」の一環ですが、この寒暖差が体に大きな負担を与えることがあります。急激な温度変化は以下のリスクを高めます:
• 血圧の急変動:血管の収縮・拡張が繰り返され、血圧が大きく変化。
• 不整脈の誘発:心拍数の急激な変動が心臓に負担をかける。
• 心臓発作:血管の収縮により冠動脈に負担がかかり、発作を誘発。
特に、もともと心疾患を抱えている人にとっては、この寒暖差が命に関わるリスクをもたらす可能性があります。

サウナを安全に楽しむためには、以下のポイントを守ることが大切です。
1.適切な利用時間を守る 自分の体力や体調に応じて、無理のない範囲でサウナを利用しましょう。我慢して長時間滞在するのは避けるべきです。
2.十分な水分補給 サウナ前後にはこまめな水分補給を心掛けましょう。特に、スポーツドリンクや経口補水液を活用すると、電解質の補充も可能です。
3.アルコールを避ける アルコール摂取後にサウナを利用すると、脱水症状が悪化し、血圧や心拍数の変動を引き起こす可能性があります。
4.寒暖差に注意 水風呂に入る際は急激に体を冷やさないようにしましょう。また、寒暖差が激しい環境で体調不良を感じた場合は、すぐに休むことが大切です。
5.既往症がある場合は医師に相談 心疾患や腎疾患などを抱えている場合、事前に医師に相談することで安全性を確保できます。
サウナは適切に利用することで、心身の健康を支える効果が期待できる健康法です。特に、ヒートショックプロテインの生成による抗炎症作用やリラクゼーション効果が注目されています。
一方で、無理な利用や誤った使い方は、熱中症や脱水、急性腎障害、さらには心疾患発作といった重大なリスクを引き起こす可能性があります。
サウナを安全に楽しむためには、自分の体調や健康状態をよく理解し、適切な方法で利用することが重要です。正しい知識を持って、安全で健康的なサウナライフを楽しみましょう。