がん患者さんへ ― スポーツジムで無理なく運動をはじめませんか
がんの治療中や治療後の生活の中で、「運動は大切」と耳にする機会が増えた方もいらっしゃると思います。しかし体力への不安や外出のしづらさ、どう始めればよいかわからないといった理由で、一歩を踏み出せない方も少なくありません。
ここでは、がん患者さんがスポーツジムで運動することの利点と、通うときに気を付けたいポイントを、やさしくまとめてご紹介します。以前ジムに通っていたけれど、コロナ禍で足が遠のいてしまった方にも参考にしていただければ幸いです。

① 有酸素運動と筋トレを同じ場所で実践できる
がん患者さんには、体力を高める有酸素運動と、筋力を維持・向上させる筋トレの両方が推奨されています。しかし、自宅でこれらをバランスよく行うのは意外と難しいものです。
その点、ジムにはトレッドミルやエアロバイク、筋トレ用のマシンなどが揃っており、効率よく運動を組み合わせることができます。ストレッチ → 筋トレ → 有酸素運動という流れが理想的で、無理なく運動習慣を作りやすくなります。
② 天候に左右されず、運動を続けやすい
屋外でのウォーキングや散歩は気持ちが良いものですが、天候が悪い日や真夏の暑さ、冬場の寒さなどにより、どうしても運動量が減ってしまいます。
ジムであれば、気温や天気に関係なく運動できるため、安定して運動を続けられます。また、屋外で一人で運動していて体調が悪くなった場合、すぐに助けを求められない不安がありますが、ジムにはスタッフがいるため、安心して取り組めるという大きなメリットがあります。
③ 専門のトレーナーに相談できる
多くのジムでは、トレーナーが個別に運動のアドバイスをしてくれます。運動に慣れていない方や体力に不安がある方でも、現在の体調や筋力に合わせたメニューを組んでもらえるため、無理のないペースで始められます。
自己流の筋トレでは姿勢や重さが適切でないことがあり、ケガにつながることもあります。専門家のサポートを受けることで、安全で効果的に運動が進められます。
④ 人との交流が増え、気持ちが前向きになる
コロナ禍で人と会う機会が減り、孤独を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。がん患者さんにとって、社会とのつながりが少なくなることは心の負担につながることがあります。
ジムではスタッフやインストラクター、運動仲間と自然にコミュニケーションが生まれます。軽い会話をかわすだけでも気持ちが明るくなり、「また行こう」という活力にもつながります。
⑤ 生活に小さな目標ができる
運動を続けていると、「週に数回はジムへ行こう」「このプログラムに参加してみよう」といった目標が自然と生まれます。こうした小さな目標は、治療中や治療後の生活にメリハリや楽しみをもたらしてくれます。
スタジオレッスンに参加すれば、「振り付けを覚えたい」「お気に入りのインストラクターに会いたい」など、毎日の楽しみにつながることもあります。入院などでしばらく通えない期間があっても、「退院したらまた運動を再開したい」という励みにもなります。

① 主治医の許可を得て、体調に合った運動を
運動を始める前に、必ず主治医に相談してください。
貧血が強い場合、心臓や肺の機能が落ちている場合、あるいは骨に転移がある場合には、運動を控えるよう指示されることがあります。骨転移がある方は骨折のリスクもあるため、専門家の判断が必要です。
② マシンの負荷を重くしすぎない
筋トレでは、重すぎる負荷で行うと関節や骨に負担がかかり、ケガの原因になります。最初は軽い負荷から始め、身体が慣れてきたら少しずつ調整するようにしましょう。
③ 疲れている日は無理をしない
がん治療中は、その日の体調に波があるのが自然なことです。「今日は疲れている」「体が重い」と感じたら、無理に運動せず休むことが大切です。数日休んでも問題ありません。体調が整ってから再開しましょう。
④ 腹部手術後の方は、お腹に負担のかかる動作に注意
お腹の手術(特に開腹手術)を受けた方は、腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアという合併症のリスクがあります。これは、手術で縫ったお腹の膜が弱くなり、内臓や脂肪が外にふくらむ状態を指します。
重いものを持ち上げる動作や、お腹に強く力が入る運動は、このヘルニアを引き起こす可能性があるため注意が必要です。もしお腹のふくらみや違和感を感じたら、すぐ医師に相談しましょう。

スポーツジムを活用した運動は、がん患者さんにとって身体の健康だけでなく、気持ちのリフレッシュにもつながります。もちろん無理は禁物ですが、主治医やジムのスタッフと相談しながら、自分のペースで取り組めば、安全に運動を習慣化できます。
小さな一歩が、毎日の生活に活力や喜びをもたらしてくれます。無理のない範囲で、できるところから運動を取り入れてみてください。