がんが進行するスピード:癌ができてから転移して死亡するまでの期間は?

がんが進行するスピード:癌ができてから転移して死亡するまでの期間は?

がんはどのくらいのスピードで進行するのか?

がんはどのくらいのスピードで進行するのか?

―知っておきたい成長の実態―

がん患者さんからの質問に、「このがんは、いつ頃できたのでしょうか?」というものがあります。実際のところ、正確に特定することは難しいのですが、一般的には「数年前にはすでに存在していたのではないでしょうか」とお伝えすることが多いです。では、がんはどのようなスピードで成長し、転移していくのでしょうか。

がんの進行速度は、がんの種類、悪性度、そして患者さんの免疫力など、さまざまな要因によって異なります。同じ部位に発生した同じ種類のがんでも、ゆっくり進む人もいれば早く進行する人もいます。このため、研究者たちは遺伝子変異の解析や画像診断のデータなどをもとに、がんの成長を推定するモデルを作成してきました。しかし、研究方法によって結果は異なり、「これが正解」と言えるものはありません。

そんな中でも、興味深い結果が示されている研究があります。今回は、進行が早いとされる「すい臓がん」を例に、実際の進行スピードについて考えてみましょう。

すい臓がんの成長は本当に早いのか?

アメリカのジョンズホプキンス大学医学部が発表した研究では、すい臓がんの遺伝子変異のパターンを詳しく調べることで、がんが発生してから転移に至るまでの時間を推定しました。その結果は、一般的なイメージとは大きく異なるものでした。

研究によると、最初のがん細胞が誕生し、前がん病変を経て、検査で確認できる「がん」として発見されるまでには、平均でなんと約12年もの時間がかかるとされています。さらに、そこからがんが周囲の組織やリンパ管、血管に広がる「浸潤がん」に成長するまでに7年。そして、その後転移が起こり、最終的に死亡に至るまでにはさらに3年かかるという推定結果でした。

つまり、すい臓がんでさえ、発生から死亡に至るまでに20年以上を要する可能性があるというのです。「進行が早い」と言われがちなすい臓がんでこの結果であることを考えると、ほかのがんではさらに長い時間をかけて成長する可能性があります。

もちろん、これはあくまでひとつのモデルであり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。最近の研究では、がんの転移はこれまで考えられていたよりも早い段階、場合によっては前がん病変の段階からすでに起こっている可能性も指摘されています。

がんは初期段階では非常にゆっくり進行する

とはいえ、確実に言えるのは、がんは発生してすぐに急成長するわけではなく、初期の段階では非常にゆっくり進行するという点です。

たとえば、60歳でがんと診断された場合、そのがんのもとになる前がん病変や、検査では見つからないほど小さながんは、50歳、あるいは40歳頃にはすでに体内に存在していた可能性があります。そのため、医師は「数年前にはできていたはずです」と説明するわけです。

しかし、症状が出ない初期段階のがんは、本人が「自分は健康だ」と思っている間にも静かに存在し続けます。そして、がんについて無関心であったり、検診を受けていない場合ほど、進行後に見つかり治療が難しい状態になるケースが多くあります。

定期的な検診が命を守る

定期的な検診が命を守る

だからこそ、定期的ながん検診を受けること、そして日頃から体の変化に注意を払うことが重要です。気になる症状があれば早めに受診することも大切です。がんは早期に発見できれば、治療の選択肢が広がり、予後も大きく改善します。

今回のお話からわかるように、がんは多くの場合、長い年月をかけてゆっくりと育つ病気です。日常生活の中で健康管理を怠らず、検診を習慣にすることが、がんから身を守る最も効果的な方法と言えるでしょう。