
がん、とくに治療が長く続く進行がんと向き合うには、もちろん適切な治療を選び、受けていくことが欠かせません。しかし、それと同じくらい大切だと感じるのが「心の持ち方」です。
もちろん、人それぞれ性格も違い、感じ方も違います。すぐに考え方を変えようといわれても、難しいと感じる方も多いでしょう。それでも、少しずつでも、その方向に近づいていくことで、気持ちが楽になり、前に進む力が生まれてくるはずです。
ここでは、がんを乗り越えた人たちが実際に持っていた「5つの心の力」についてお話しします。
がんと向き合う上で、もっとも大切なのは「希望を捨てないこと」です。どんな状況であっても、心のどこかに希望の光があれば、人は前に進むことができます。
たとえ厳しい数字を示されても、「自分は大丈夫」「きっとよくなる」という心の声を大切にしてほしいと思います。再発があっても、新しい治療が見つかるかもしれない。治療が難しいと言われても、自分に合う方法や生活習慣の工夫で、状況が変わることだってあります。
「今日はうまくいかなかったけれど、明日はきっといいことがある」。
そんな希望を胸に歩んでいくことが、気持ちを支える力になります。
実際にがんを乗り越えてきた多くの人は、「希望を持ち続けること」が心の支えになったと語っています。
次に大切なのは、「信頼」と「感謝」です。
治療を続ける間には、どうしても不安がつきまといます。治療の選択肢が多いほど迷いも生まれます。そのとき必要なのは、最後には自分で選び、その治療を信じることです。
特に主治医との関係はとても重要です。疑いながら治療を受けると、心も揺れ、気持ちが落ち着きません。わからないことや不安をぶつけつつも、最終的には「この先生を信じて、治療を受けよう」という気持ちが、前向きな姿勢につながります。
また、ご家族や周囲の人の支えは、患者さんにとって心の大黒柱です。身の回りのことを手伝ってくれたり、気持ちに寄り添ってくれたりする家族の存在に、「ありがとう」という気持ちを持つことは、患者さん自身を温かく支えます。
がんを乗り越えた人たちは、医療者とも上手く信頼関係を築き、家族との関係もとても良好な場合が多いと感じます。信頼と感謝は、心を柔らかくし、治療に向かう力になります。
がんと向き合うと、どうしても不安な情報や心が沈む話に触れることが増えます。インターネットで検索をすると、気持ちが落ち込むような内容もたくさん出てきます。
しかし、楽天的な人のほうが、現実的すぎる人や悲観的になりやすい人より、結果的に元気で過ごしていることが多いのです。
つらい情報を見たら、「これは自分のこととは限らない」と軽く流す。
うまくいかないことがあっても、「なんとかなるさ」と思ってみる。
こうした楽天的な考え方は、気持ちを暗い場所に閉じ込めないためにとても大切です。
日々の生活では、ネガティブな出来事が続くこともあるでしょう。しかし、心の奥に小さな「何とかなる」というゆとりを持つことができれば、それが前を向く力になります。

がんが見つかったこと。再発してしまったこと。検査の結果がなかなか出ず、落ち着かない日々。
こうした「どうにもならない事実」は、誰の身にも起こりえることです。
「どうして自分が?」「なんでこんなことに?」と考え続けると、心が疲れてしまいます。答えの出ない問いに囚われると、気力が消耗してしまうのです。
そこで大切なのが、「ありのままを受け入れる」という姿勢です。
これはマインドフルネスに近い考え方で、今この瞬間の自分の気持ちを、良い悪いと判断せずに、そのまま認めてあげることです。不安や恐れ、怒りや悲しみが湧いてきたら、「いま私は、こう感じているんだな」と静かに受け止める。
それだけで、気持ちは少し軽くなります。
事実を受け入れたからこそ、次の一歩が見えてくることもあります。
最後に大切なのが「レジリエンス」、つまり心と体の回復力です。
がんの治療中は、心も体も落ち込む日がどうしても出てきます。そんなときに必要なのが、元気を回復させる力です。
回復力を育てるには、日々のちょっとした心がけが役に立ちます。
・しっかりと睡眠をとる
・バランスの良い食事をする
・無理のない範囲で、散歩などの軽い運動をする
・好きなこと、心が落ち着くことを少しでも取り入れる
・疲れたら休む
これらの積み重ねが、気力と体力の回復につながります。
「今日はこれだけできた」と自分を認めることも、回復力を高める大切な習慣です。レジリエンスは生まれつきのものではなく、日々の工夫で育てることができます。

以上、がんを克服するために役立つ「5つのメンタル」についてお伝えしました。
1.希望
2.信頼と感謝
3.楽天的な心
4.ありのままを受け入れる姿勢
5.レジリエンス(回復力)
これらは一度にすべて身につくものではありません。しかし、少しずつ意識するだけで、心の持ち方が変わり、治療や日々の生活に前向きな力が生まれてきます。
がんと向き合う道のりは長く、簡単なものではありません。でも、心の力を育てながら一歩ずつ進んでいくことで、その道は必ず変わっていきます。
あなたの毎日が、ほんの少しでも明るく、軽くなりますように。