発達性協調運動障害(DCD)って何!?

今回は知的障害に伴う主要な併存症である発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder)について、その状態像、原因、アセスメント、治療方法について詳しく解説します。

1・発達性協調運動障害(DCD)とは

発達性協調運動障害(DCD)は、明らかな運動麻痺や筋疾患を伴わないものの、走る、登るなどの粗大運動や、物をつまむ、食事動作、ハサミを扱うといった微細運動が苦手な状態を指します。
手や足、身体全体を協調して動かす必要があるときに、その難しさが顕著に現れます
かつては「不器用児」とも呼ばれていましたが、現在はDSM-5において「神経発達症」の一つとして分類されています。粗大運動と微細運動のどちらも、または一方が難しい場合があります。

2・DCDの状態像

発達性協調運動障害(DCD)って何!?

幼児期:生まれつき体が柔らかく、転びやすい、スプーンや箸の操作がぎこちない、道具をよく落とす、物や身体をぶつける、ボタンを留めたり靴紐を結ぶのが難しいなどの症状があります。
また、走る、縄跳び、ジャンプ、自転車に乗るといった体を動かす遊びが苦手です。

就学期:書字、板書、体育、音楽などの学習課題において困難さが見られます。
発生率は学齢児の5~6%と報告されています。また、DCDは他の神経発達症との併存が多く、
自閉症スペクトラム(ASD)児の89%、注意欠如・多動症(ADHD)児の約56%、限局性学習症(SLD)児の約18%に見られます。

成人期:50~60%のケースで青年期・成人期以降にも残存します。
その為早期からの介入が求められます。

3・原因

DCDの不器用さは怠けや練習不足ではなく、中枢神経系の機能不全に起因すると考えられています
研究では、F-MRIやNIRSを用いた調査により、小脳の一部の活動低下、機能的コネクティビティの異常、感覚情報処理の問題、運動イメージを実行するプロセスの不具合などが指摘されています。
DCDについての研究はまだ進行中であり、今後さらなる解明が期待されています。

4・アセスメント

国際的評価:DCDQ(Developmental Coordination Disorder Questionnaire)は、微細運動や全般的な協応性に関する15項目の質問紙で、保護者が回答します。
現在、日本語版の出版に向けて標準化が進められています。

協調運動機能の評価:M-ABC2(Movement Assessment Battery for Children)は、3~16歳を対象とし、
手先の器用さ、ボールスキル、静的・動的バランスを評価します。
こちらも、日本語版の出版が進行中です。

日本版評価:JMAP(日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査)は、2歳9ヶ月から6歳2ヶ月を対象とし、感覚、運動、認知、複合能力を評価します。JPAN感覚処理・行為機能検査は3~10歳を対象とし、
姿勢、平衡反応、体性感覚、視知覚、目と手の協調、行為機能を評価します。

5・治療・リハビリテーション

課題志向的アプローチ:CO-OP(Cognitive Oriented Occupational Performance in daily life)や
NTT(Neuromotor Task Training)が代表的であり、治療的エビデンスが高いです。
子どもが目標とする運動や作業について、自身で戦略を発見できるようにセラピストが介入します。

感覚統合療法(SIT):外界からの感覚刺激を適切に処理し、適応行動に結びつけることを目指します。
子どもの主体的な遊びを基盤とし、姿勢保持、身体機能、情動面の改善を図ります。
近年、不器用さを主とする事例に対しての感覚統合療法の有効性も報告されています。

発達性協調運動障害(DCD)って何!?

治療には焦らせず、一緒に解決策を考え、達成感を感じられるように関わることが重要です。
また、就学期以降の集団行動場面では、握りやすい鉛筆ホルダーや姿勢保持用の椅子カバーなどの道具を工夫することも有効です。

以上が、発達性協調運動障害(DCD)についての解説です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。