がんが治る可能性は「サバイバー生存率」を参考にしましょう:5年相対生存率とサバイバー生存率のちがい

がんが治る可能性は「サバイバー生存率」を参考に

がんと診断された方が、これから自分はどれくらい生きられるのだろう、治る見込みはあるのだろうかと考えたとき、まず目にするのが「5年生存率」という数字ではないでしょうか。多くの情報サイトや書籍でも紹介されているため、がんの治りやすさを判断する目安として広く知られています。

しかし、この「5年生存率」という数字には、じつは大きな特徴があります。それは、診断された瞬間の患者さん全員を対象にまとめた数字であるという点です。

たとえば、がんと診断された時点で体力が落ちている方、高齢の方、治療が難しく診断から短い期間で亡くなる方も、すべて同じグループに含まれています。つまり、「診断されたその日からの5年間を、平均するとどれくらい生きられるか」を示した数字なのです。

しかし、すでに治療を受け、1年、2年、3年と時間が経っている患者さんにとっては、診断直後の平均を示す「5年生存率」が、そのまま自分に当てはまるとは限りません。なぜなら、多くのがんでは、時間が経つほど再発する可能性が低くなり、治る可能性が高くなる傾向があるからです。

たとえば、診断された直後の患者さんと、そこから4年生き延びた患者さんでは、同じ「5年後の生存率」を見るべきではありません。すでに数年間がんと共に歩み、治療を重ねてきた人は、スタート地点とは別の場所に立っているのです。

そこで注目したいのが、「サバイバー生存率」という考え方です。

■サバイバー生存率とは?

■サバイバー生存率とは?

サバイバー生存率とは、がんと診断されてから一定の期間、生存している人を対象に、その後どれくらい生きられるかを示した数字です。

たとえば、
・「1年サバイバーの5年生存率」
これは「診断から1年後に元気に過ごしている方が、その後5年のあいだ生きられる確率」を表します。
診断から数えると6年後の数字になります。

つまり、診断から1年、2年、3年と生き延びるごとに、患者さんは新しい地点に到達し、そこからの未来予測は変わっていくのです。診断された瞬間の平均的な数字ではなく、「今のあなた」に近い条件で計算された数字だと言えるでしょう。

■サバイバー生存率の特徴

■サバイバー生存率の特徴

サバイバー生存率には、次のようなわかりやすい特徴があります。

時間が経つほど、生存率が上がる傾向がある

これは多くのがんで共通して見られる現象です。治療がうまくいき、再発せずに時間がたつと、その後に大きなトラブルが起きる可能性は徐々に低くなっていきます。

つまり、診断された直後の「厳しい数字」ばかりに気を取られず、「今の自分の地点から見た生存率」に目を向けることで、より現実的で前向きな状況を見ることができるのです。

■具体的な例:すい臓がんの場合

すい臓がんは、一般的に「予後(先の見通し)が悪い」と言われる代表的ながんです。診断された直後の5年生存率は10%以下とされています。しかし、サバイバー生存率を見ると、まったく違う風景が広がります。

国立がん研究センターが公開しているデータによると、

  • 1年サバイバー … 約20%
  • 2年サバイバー … 約40%
  • 3年サバイバー … 約60%
  • 4年サバイバー … 約70%
  • 5年サバイバー … 約80%

このように診断からの時間が経つほど、治る可能性がぐんと高くなることがわかります。

実際に、すい臓がんと診断されて手術を受け、1年、2年と再発なく過ごしている方では、その後に再発する可能性は少しずつ低くなります。さらに3年、4年と無事に過ごすことができれば、その後5年、10年と長生きされる方も決して珍しくありません。

「すい臓がんは治らない」といったイメージを持たれがちですが、サバイバー生存率を見ると、診断直後とはまったく違う現実が見えてきます。

■横ばいになるタイプのがんもある

一方で、前立腺がん(男性)や乳がん(女性)のように、サバイバー生存率が大きく上がらず、比較的横ばいになるがんもあります。

これには理由があります。

  • もともと生存率が高い
  • 時間が経っても再発が一定の割合で起こる
  • そのため100%に近づきにくい

とはいえ、これらのがんでは、もともとの生存率が比較的高いため、長い期間にわたって落ち着いた経過をたどる方も多くいらっしゃいます。

■「3年生きたら見える景色は変わる」

多くのがんで共通していることですが、診断から3年以上経過している方のその後の生存率は、一部を除けば大きく高くなります。

特に、肺がんやすい臓がんの患者さんでは、「時間の力」が強く働きます。治療を乗り越え、再発なく年数を重ねることで、その後の生存率が大きく上昇します。診断直後の厳しい数字からは想像できないほど、未来の見通しが明るくなるのです。

このことは、患者さんにとって大きな励みになります。

■サバイバー生存率を見る意味

がんと診断された瞬間は、誰もがショックを受け、未来に対して不安を抱きます。そこで見た「5年生存率」の数字が、自分の未来を暗く見せてしまうこともあります。

しかし、「今のあなた」に近い条件で示されたサバイバー生存率を見ると、まったく違う可能性が見えてきます。

時間が経ち、生き延びてきた分だけ、あなたは確実に前進しています。
そして、その前進は数字の上でもしっかり示されています。

■まとめ

■まとめ
  • 診断直後の「5年生存率」は、その時点の患者さん全体の平均
  • 治療を受け、時間を重ねた人には当てはまりにくい
  • 時間が経つほど治る可能性が高くなるがんが多い
  • 今の自分に近い数字を見るには「サバイバー生存率」が有用
  • 特に肺がんやすい臓がんなどでは年数が経つほど生存率が大きく上昇
  • 診断直後の数字にとらわれず、「今からの生存率」を見ることが大切

がん患者さんにとって、生きてきた年月は、ただ過ぎた時間ではありません。
確実に再発の心配が減り、治る可能性が上がる大切な時間です。

ぜひ、診断されたときの数字だけで判断するのではなく、今の地点からの生存率=サバイバー生存率にも目を向けていただきたいと思います。
それは、未来をより前向きにとらえるための大きな支えになるはずです。