がんの遺伝子(ゲノム)検査 だれが受けるの?

がんの遺伝子検査、誰が受けるの?

がんの遺伝子検査、誰が受けるの?

最近、「がんの遺伝子検査」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、実際には遺伝子検査にもいくつか種類があり、それぞれ目的が異なります。そのため、一般の方にとっては区別が難しく、何をどう受ければよいのか迷ってしまうことも少なくありません。今回は、がんの遺伝子検査の種類と、それぞれの目的についてわかりやすく解説します。

まず、がんの遺伝子検査は大きく分けて二つのタイプがあります。一つは、「将来がんになりやすい体質を調べる」ための検査です。もう一つは、「すでにがんと診断された人が、自分のがんの特徴を調べたり、より適した治療法を探す」ための検査です。それぞれの特徴を順に見ていきましょう。

将来のがんのリスクを調べる検査

最初に紹介するのは、がんになりやすさを知るための検査です。これは最近、インターネットなどで購入できる検査キットとして広く知られています。一般の方でも気軽に受けることができます。検査では、たとえば唾液などからDNAを採取し、がんに関係があるとされる遺伝子の違いを調べます。

遺伝子の中には、人によってわずかに違う部分があり、この違いを調べることで病気や体質の傾向を知ることができます。たとえば、ある遺伝子のタイプを持っている人は乳がんや大腸がんになりやすいといったデータがあります。こうした情報をもとに、将来がんになる可能性や、糖尿病や肥満などの病気のリスクをおおよそ知ることができます。

この検査のメリットは、あらかじめ自分の体の傾向を知ることで、生活習慣を改善したり、定期的に検診を受けたりする計画を立てられることです。たとえば、乳がんになりやすい体質だとわかれば、マンモグラフィーなどの検査を早めに始めることができますし、生活習慣を見直すきっかけにもなります。

一方で注意すべき点もあります。遺伝子検査でリスクが高いと出ても、必ずしも病気になるわけではありません。あくまで統計上の傾向であり、結果を見ただけで不安になることもあります。また、検査で異常が見つかっても、それだけで治療が必要になるわけではないことも理解しておく必要があります。

がん患者さんが受ける検査

がん患者さんが受ける検査

次に紹介するのは、すでにがんと診断された方が受ける検査です。これは、自分のがんの特徴や性質を知るために行われます。医療の現場では「遺伝子パネル検査」や「コンパニオン検査」と呼ばれることもあります。

この検査では、手術で切除したがんの組織や、生検(がんの一部を採取する方法)で得た組織から遺伝子情報を取り出し、がんに関連する変化を調べます。最近では、血液からがんの遺伝子情報を調べる方法も研究されており、こちらは「リキッドバイオプシー」と呼ばれています。

遺伝子パネル検査の大きな特徴は、多くの遺伝子の変化を一度に調べられることです。これにより、どの治療薬が効く可能性があるかを知ることができ、より効果的な治療計画を立てることができます。たとえば、大腸がんでは特定の遺伝子の変化を調べることで、その人に合った薬を選ぶことができます。また、肺がんなどでも同じように、遺伝子の状態を確認して最適な治療を選ぶのが一般的になってきました。

ただし、この検査には費用や条件があります。2019年からは保険が使えるようになりましたが、費用はもともと高額で、自己負担でも十数万円かかる場合があります。また、すべてのがん患者さんが受けられるわけではなく、標準的な治療が終わった後や、他に治療法がない場合など、限られた条件で行われます。

検査を行うことで、遺伝的に家族に影響がある可能性のあるがんかどうかがわかることもあります。さらに、より効果が期待できる薬を選ぶことができる場合もあります。このように、遺伝子の情報をもとに治療方針を決める医療のことを「がんゲノム医療」と呼び、今後ますます広がっていくと考えられています。

遺伝子検査を受けるかどうかの考え方

遺伝子検査を受けるかどうかの考え方

まとめると、がんの遺伝子検査は大きく二つに分かれます。一つは「将来のがんのリスクを知るため」、もう一つは「がん患者さんのがんの性質を知り、治療に活かすため」です。どちらも自分の健康や治療に役立つ情報を得られる可能性がありますが、同時に結果に一喜一憂してしまうリスクもあります。

将来のがんリスクを調べる検査は、生活習慣の改善や定期的な検診に役立ちますが、結果だけで不安にならないことが大切です。一方、がん患者さん向けの検査は、より適した治療を選ぶための重要な手段ですが、費用や受けられる条件があることを理解しておく必要があります。

いずれの場合も、検査の結果をどう受け止め、どのように活かすかが重要です。遺伝子検査は便利なツールですが、それだけで病気を防いだり治したりするものではありません。生活習慣の見直しや医師と相談しながら、検査結果を上手に活用することが、健康を守るためのポイントとなります。