
病気を治すうえで大切なのは、病院の規模や設備だけではありません。何より重要なのは、あなたの体を任せる「主治医」と、どれだけ信頼関係を築けるかです。どれほど優れた治療があっても、担当してくれる医師との相性が悪ければ、治療が順調に進まないこともあります。
とくに、がん治療では主治医との付き合いが長くなります。治療前の相談から始まり、治療を受けている期間、さらに治療が終わってからの経過観察まで、数年単位で同じ医師と顔を合わせることもめずらしくありません。だからこそ、「この医師に任せても大丈夫だろうか?」という気持ちはとても大切です。
患者さん自身が前向きに治療を頑張ろうと思っていても、主治医とのコミュニケーションがうまくいかず、不信感が募ってしまうケースもあります。そんなときは、思い切って主治医を変えてもらう、あるいは別の病院に移るという選択肢も決して悪いものではありません。
もちろん、手術だけ、あるいは短期的な治療だけで関わる医師であれば、「相性が少し合わなくても、この期間だけは我慢しよう」という判断もあるかもしれません。しかし、長期間にわたって向き合う必要がある治療であれば、話しやすさや信頼感は欠かせません。
では、自分に合った主治医かどうかは、どのように見極めればよいのでしょうか。最も簡単な判断基準は、初めて会ったときの直感です。「この医師なら話しやすい」「信頼できそうだ」と感じられるかどうか。こうした直感は意外に当たっているものです。
とはいえ、それだけでは不安だという方のために、注意したほうがよい医師の傾向をいくつかまとめました。
電子カルテが主流になってから、パソコン画面にばかり向かって話す医師が増えました。しかし、人と向き合う以上、顔を見て話すのは基本です。画面だけ見て会話する医師は、どうしても信頼しにくいものです。
せっかく相談したいことがあっても、話しかけにくい雰囲気の医師だと、患者さんの不安が置き去りになります。治療の副作用など、大事な情報が伝わらない可能性もあります。
画像検査の報告書や血液検査の結果を見せてくれない医師もいます。本来、受けた検査の説明は患者さんが受ける当然の権利です。説明を省いたり、重要な情報を共有しない態度は信頼につながりません。
専門的な言葉を並べられたり、早口で説明されても、患者さんには伝わりません。わかりやすく話そうとする姿勢がないと、気持ちの距離も開いてしまいます。
質問したときに嫌そうな顔をしたり、はっきり答えなかったりする医師もいます。こうした態度は、患者さんの気持ちに寄り添う気持ちが不足しています。
「治りたいならこの治療しかありません」と言い切る医師もいます。もちろん、最も効果が期待できる治療を勧めることは大切ですが、最近は複数の治療が選べるケースも増えています。選択肢を示さない医師は注意が必要です。
代替療法やサプリメントなど、患者さんの希望を頭ごなしに否定する医師もいます。すべてを肯定する必要はありませんが、「調べてみます」「一緒に考えましょう」といった柔軟さは信頼につながります。
「ほかの病院に相談するなんて無駄だ」「そんなことを考えているなら治療できません」など、セカンドオピニオンに否定的な態度を取る医師は問題です。セカンドオピニオンは患者さんの権利であり、治療をよりよくするための大切な手段です。
「今すぐ決めてください」「迷っているなら手術がどんどん先になりますよ」など、時間を与えない医師もいます。命に関わる大切な選択を急がせるような態度は信頼できません。
これらの特徴のうち、2つ以上当てはまる場合は、主治医を変えることを検討してもいいかもしれません。しかし、「直接医師には言いにくい」という方も多いでしょう。
その場合は、まず病院の「患者相談窓口」へ相談してください。病院側が調整してくれることも多く、医師に直接言わなくても大丈夫です。スタッフが少ない病院では難しいこともありますが、それでも努めて対応策を考えてくれるはずです。
もしどうしても主治医を変えられない場合や、病院自体を変えたい場合は、「がん相談支援センター」がおすすめです。これは、がん医療の拠点病院に設置されている相談窓口で、通院していない人でも無料で利用できます。近隣の病院の情報など、幅広くアドバイスしてくれます。

医師との信頼関係は、治療の流れを大きく左右します。「この人なら任せられる」と思える主治医と出会えることは、治療に前向きに向き合うための大きな力になります。
もし今の主治医に疑問を感じているなら、一度立ち止まって考えてみてください。あなたには選ぶ権利がありますし、相談できる場所もあります。